肺炎かどうかは画像を撮影すればわかるのだろうか?
また、わかるならばどんな特徴を持った画像所見から、肺炎を疑うのだろうか?
などと肺炎の画像診断に対する疑問・悩みは尽きないものです。
レントゲンやCTで影がある=肺炎 という単純なものではないからです。
そこで今回は肺炎のCT画像診断について、まとめました。
先に結論:肺炎のCT画像診断
- 肺炎の多くは症状・診察・胸部レントゲンで診断でき、CTはレントゲンでわかりにくい場合や、ほかの病気との区別が必要な場合に役立ちます
- CTで肺炎(感染症)らしい所見は、小葉中心性の粒状影・tree-in-bud(木の芽のような分岐状の影)、気管支に沿って区域性に広がる浸潤影などです
- 一方、影がある=肺炎とは限らず、肺がん・心不全・間質性肺炎・薬剤性肺炎なども似た影になるため、経過や検査結果とあわせて判断します
- CTでの肺炎の見え方は、大葉性肺炎・気管支肺炎・間質性(非定型)肺炎の3つの型に分けると整理しやすく、型から原因をある程度しぼりこめます
※発熱・せき・息苦しさが続くときは、早めに受診してください。
肺炎か否かの鑑別にCT画像は有用?ガイドラインは?

まずレントゲンとCT検査では、一般的にCT検査の方がより細かく肺の状態を見ることができます。
レントゲンでわかるような肺炎は、あえてCT検査をする必要もなく治療を開始することもありますが、レントゲンでわからないような肺炎に対してCT検査をすると、肺炎が見つかったということがあるのです。
では、肺炎かどうかを診断するのにCT検査は有用なのでしょうか?
肺炎の診断そのものは、多くの場合、症状・診察と胸部レントゲンで行われ、CTがいつも必要なわけではありません5)。
一方で、原因となる病原体を推定したり、肺炎以外の病気と区別したりするにはCTが役立つとされています2)。
わかりやすくいうと・・・
「CTだけで肺炎と決められるわけではないけど、より肺炎らしい所見があるので、それらを見つけられれば肺炎の可能性が上がるよ」
ということです。なお、日本の画像診断ガイドラインでの推奨は最新版を確認してください。
より肺炎らしい所見を次に説明しますね。
肺炎のCT画像所見で有用なものは?
肺炎か肺炎以外かの鑑別で手がかりになる所見は、
- 小葉中心性結節
です。気管支周囲の結節、とくにtree-in-budは感染症にかなり特異的と報告されています2)。
しょ、しょうようちゅうしんせい???・・・詳しく説明しますね。
小葉中心性結節とは?
胸部CTで小葉中心性の分布とは次のような分布を指します。

小葉中心性の分布についてはこちらで詳しくまとめました。→胸部CTにおける小葉中心性分布とは?
こちらの症例が小葉中心性分布を理解するのでわかりやすいです。
目に焼き付けましょう。
症例 70歳代 熱源精査

右の下葉に小葉中心性の粒状影を認めます。
細気管支炎〜気管支肺炎を疑う所見です。
そのほか、
- 区域性分布
- 区域気管支を中心とした楔状コンソリデーション
- 小葉中心性分岐状構造(tree-in-bud appearance)
も、気管支肺炎(感染症)を疑う手がかりになります1)2)5)。
区域性分布・区域気管支を中心とした楔状コンソリデーションとは?
区域性分布・区域気管支を中心とした楔状のコンソリデーションとは次のような分布です。

実際の症例で見てみましょう。
症例 20歳代男性

胸部CT画像です。
中葉に気管支沿いに広がる浸潤影及びすりガラス影を認めています。
気管支沿いに広がることを区域性分布と言います。
喀痰培養検査の結果、肺炎球菌性肺炎と診断されました。
この実際のCT画像を見てみる→肺炎球菌性肺炎のCT画像所見
tree-in-bud appearanceとは?
気道を埋める様子と粒の様子を、小葉中心性病変(細葉性病変)といい、その分布の様子をtree-in-bud appearance(木の芽様の分枝状影)と表現し、CTではY字型やV字型を示す。結核の活動性の高い病変として重要な指標と言われている。ただしtree-in-budは結核に特有ではなく、細菌・真菌・ウイルスなどの気道感染、誤嚥、びまん性汎細気管支炎などでもみられ、まれに腫瘍塞栓などの血管性病変でも生じます。なお、胸部画像の標準用語集であるFleischner Society用語集は2024年に改訂されています(2008年版からの改訂)4)。tree-in-budや小葉中心性などの用語は、この定義に沿って記載すると臨床医との情報共有がしやすくなります。

これらの所見を拾っていくことで、より肺炎らしい画像であるということができ、肺炎の診断に役立てることができるということです。
肺炎のCT画像の見方:3つのパターン
肺炎の画像は、おおまかに大葉性肺炎・気管支肺炎(小葉性肺炎)・間質性肺炎型の3つのパターンに分けられます(Franquet 2018)。
| パターン | CTの見え方 | よく考える原因の例 |
| 大葉性肺炎 | 区域の境界を越えて連続する浸潤影。中に気管支透亮像(air bronchogram) | 肺炎球菌、クレブシエラなど |
| 気管支肺炎(小葉性肺炎) | 気管支に沿った小葉中心性の粒状影・tree-in-bud、斑状〜区域性の浸潤影 | インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、マイコプラズマ、誤嚥など |
| 間質性肺炎型(非定型肺炎) | すりガラス影、気管支血管束や小葉間隔壁の肥厚が主体 | ウイルス、マイコプラズマ、ニューモシスチスなど |
たとえばマイコプラズマ肺炎28例のCTでは、小葉中心性の結節が86%、気管支血管束の肥厚が82%に見られました(Reittner 2000)。
肺炎と間違えやすい病気(CTでの鑑別)
| 病気 | 肺炎との違い(CTの手がかり) |
| 心不全(肺水腫) | 両側のすりガラス影、小葉間隔壁の肥厚、胸水、心拡大 |
| 器質化肺炎 | 影のふちのへこみ、牽引性気管支拡張、気管支の全長にわたる気管支透亮像(Nambu 2014) |
| 肺がん | 中心に腫瘤、気管支をふさいだ先の影(閉塞性肺炎)、治療後も影が残る |
| 間質性肺炎・薬剤性肺炎 | 両側のすりガラス影・網状影。薬の使用歴や経過が重要 |
まとめ
肺炎のCT画像診断は容易ではありません。
肺炎以外の疾患でも肺炎のような浸潤影やすりガラス影を示すことはあるからです。
肺炎かそうでないかで治療方法も変わってきますので、肺炎がありそうだと診断できることが重要です。
より肺炎を疑うCT画像所見は以下の4つです。
- 小葉中心性結節
- 区域性分布
- 区域気管支を中心とした楔状コンソリデーション
- 小葉中心性分岐状構造(tree-in-bud appearance)
これらを手がかりに肺炎らしいかそうでないかを見極めるヒントにしましょう。
参考になれば幸いです。
肺炎のCTでよくある疑問(Q&A)
Q. レントゲンで写らない肺炎も、CTならわかりますか?
A. わかることがあります。救急外来で肺炎が疑われた319人に早めにCTを撮った研究では、レントゲンで影がなかった人の33%にCTで肺の影(浸潤影)が見つかり、逆にレントゲンで影があった人の29.8%はCTで肺炎が否定されました(Claessens 2015)。
Q. CTで原因の菌やウイルスまでわかりますか?
A. しぼりこむことはできますが、確定はできません。マイコプラズマ・結核・ニューモシスチスなど一部は特徴的な所見を示しますが(Nambu 2014)、痰などの検査とあわせて判断します。
あわせて読みたい:肺炎の重症度分類まとめ
参考文献
- Okada F, Ando Y, Yoshitake S, et al. Clinical/pathologic correlations in 553 patients with primary centrilobular findings on high-resolution CT scan of the thorax. Chest. 2007;132(6):1939-48. PubMed
- Nambu A, Ozawa K, Kobayashi N, et al. Imaging of community-acquired pneumonia: Roles of imaging examinations, imaging diagnosis of specific pathogens and discrimination from noninfectious diseases. World J Radiol. 2014;6(10):779-93. PubMed
- Rossi SE, Franquet T, Volpacchio M, et al. Tree-in-bud pattern at thin-section CT of the lungs: radiologic-pathologic overview. Radiographics. 2005;25(3):789-801. PubMed
- Bankier AA, MacMahon H, Colby T, et al. Fleischner Society: Glossary of Terms for Thoracic Imaging. Radiology. 2024;310(2):e232558. PubMed
- Franquet T. Imaging of Community-acquired Pneumonia. J Thorac Imaging. 2018;33(5):282-294. PubMed
- Reittner P, Müller NL, Heyneman L, et al. Mycoplasma pneumoniae pneumonia: radiographic and high-resolution CT features in 28 patients. AJR Am J Roentgenol. 2000;174(1):37-41. PubMed
- Claessens YE, Debray MP, Tubach F, et al. Early Chest Computed Tomography Scan to Assist Diagnosis and Guide Treatment Decision for Suspected Community-acquired Pneumonia. Am J Respir Crit Care Med. 2015;192(8):974-82. PubMed
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