肺炎かどうかは画像を撮影すればわかるのだろうか?
また、わかるならばどんな特徴を持った画像所見から、肺炎を疑うのだろうか?
などと肺炎の画像診断に対する疑問・悩みは尽きないものです。
レントゲンやCTで影がある=肺炎 という単純なものではないからです。
そこで今回は肺炎のCT画像診断について、まとめました。
肺炎か否かの鑑別にCT画像は有用?ガイドラインは?
まずレントゲンとCT検査では、一般的にCT検査の方がより細かく肺の状態を見ることができます。
レントゲンでわかるような肺炎は、あえてCT検査をする必要もなく治療を開始することもありますが、レントゲンでわからないような肺炎に対してCT検査をすると、肺炎が見つかったということがあるのです。
では、肺炎かどうかを診断するのにCT検査は有用なのでしょうか?
実は、画像診断ガイドライン2016年版によると、
「肺炎(感染)と肺炎以外の非感染性の病気を鑑別するのにCT画像が有効か?」
という項目では、推奨グレードはC1に設定されています。
C1というのは、鑑別する上でCTが有効であるという十分な科学的根拠はないが、鑑別するのに比較的特徴的なCT所見が存在し、ある程度の鑑別が可能であるということです。
かなり曖昧な言い方ですが、わかりやすくいうと・・・
「十分な根拠はないけど、より肺炎らしい所見があるので、それらを見つけられれば肺炎の可能性が上がるよ」
ということです。
より肺炎らしい所見を次に説明しますね。
肺炎のCT画像所見で有用なものは?
肺炎か肺炎以外かの鑑別で最も重要な所見は、
- 小葉中心性結節
であると報告されています1)。
しょ、しょうようちゅうしんせい???・・・詳しく説明しますね。
小葉中心性結節とは?
胸部CTで小葉中心性の分布とは次のような分布を指します。
小葉中心性の分布についてはこちらで詳しくまとめました。→胸部CTにおける小葉中心性分布とは?
こちらの症例が小葉中心性分布を理解するのでわかりやすいです。
目に焼きつきましょう。
症例 70歳代 熱源精査
右の下葉に小葉中心性の粒状影を認めます。
細気管支炎〜気管支肺炎を疑う所見です。
そのほか、
- 区域性分布
- 区域気管支を中心とした楔状コンソリデーション
- 小葉中心性分岐状構造(tree-in-bud appearance)
があれば、肺炎(感染症)に特徴的な所見であると報告1)されています。
区域性分布・区域気管支を中心とした楔状コンソリデーションとは?
区域性分布・区域気管支を中心とした楔状のコンソリデーションとは次のような分布です。
実際の症例で見てみましょう。
症例 20歳代男性
胸部CT画像です。
中葉に気管支沿いに広がる浸潤影及びすりガラス影を認めています。
気管支沿いに広がることを区域性分布と言います。
喀痰培養検査の結果、肺炎球菌性肺炎と診断されました。
この実際のCT画像を見てみる→肺炎球菌性肺炎のCT画像所見
小葉中心性分岐状構造(tree-in-bud appearance)とは?
また小葉中心性分岐状構造(tree-in-bud appearance)とは、以下のように本来見えない呼吸細気管支が明瞭化して分岐状に見える様子を指します。
これらの所見を拾っていくことで、より肺炎らしい画像であるということができ、肺炎の診断に役立てることができるということです。
まとめ
肺炎のCT画像診断は容易ではありません。
肺炎以外の疾患でも肺炎のような浸潤影やすりガラス影を示すことはあるからです。
肺炎かそうでないかで治療方法も変わってきますので、肺炎がありそうだと診断できることが重要です。
より肺炎を疑うCT画像所見は以下の4つです。
- 小葉中心性結節
- 区域性分布
- 区域気管支を中心とした楔状コンソリデーション
- 小葉中心性分岐状構造(tree-in-bud appearance)
これらを手がかりに肺炎らしいかそうでないかを見極めるヒントにしましょう。
参考になれば幸いです。