癒着性くも膜炎(adhesive arachnoiditis:AA)
- 種々の原因により、硬膜から脊髄表面までの空間が癒着し、髄液の流れに障害を引き起こし、神経根の障害、脊髄実質の変化、続発性脊髄空洞症の合併を伴う疾患。
- 神経根の癒着集合、程度が強いと硬膜内での塊形成を認める。また、神経根お硬膜嚢への癒着、硬膜の肥厚の程度が強いと硬膜内に神経根がみえなくなり(empty sac appearance)、くも膜嚢胞の形成を示す。
- 原因は、くも膜下腔への注入物(造影剤、麻酔薬物、ステロイド)、感染、外傷、硬膜内外の手術と硬膜内の出血など。原因不明なこともある。
癒着性くも膜炎の画像所見
- T1強調像で脊髄と脳脊髄液との境界が不明瞭になる。
- T2強調画像では高信号を髄内に認める。脊髄腫大、脊髄空洞症を認めることがある。
- くも膜下腔の局所的拡張ないし膜嚢胞性病変。
- 脊髄の変形、萎縮。
- MRIで診断が難しいこともある。ミエログラフィーやミエロ後CTが有用。
症例 60歳代女性 下肢へ放散する慢性的な両側腰部痛
L4レベルで神経根がまとまり、肥厚した髄膜嚢壁に付着あり。L4では空洞のように見える部位あり(empty thecal sac sign)。
その下では、神経根は肥厚し、まとまりがないように見える。
癒着性くも膜炎と診断されました。
引用:radiopedia
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