脊髄サルコイドーシス
- 髄膜から血管周囲腔に沿って髄内に進展する。
- MRIでは、初期には髄膜に沿った増強効果を認め、時に肉芽腫を反映した結節構造を伴う。
- 髄内に進展すると、脊髄内にT2強調像で紡錘状の高信号域を認め、腫大を伴うこともある。
- 病変は頸髄〜上部胸髄に好発する。
- 鑑別は、癌性髄膜炎、結核性髄膜炎などの肉芽腫性疾患。
- 中枢神経系のサルコイドーシスは他臓器の病変に比して有症状であることが多い。
- 中枢神経病変を伴う頻度は5%。脊髄病変に限った場合は1%以下。
- 脊髄病変が初発となることは少ない。
- もっとも多い症状は下肢脱力で、他に知覚障害、膀胱直腸障害などを認めることがある。
- 診断が遅れると後遺症を残すことがあり、早期診断が重要。
脊髄サルコイドーシスの画像所見
- 頸髄から上部胸髄に存在する紡錘状のT2強調像高信号域。
- 初期には髄膜に沿った増強効果を認める。
- 血管周囲腔に沿って髄内に進展して、髄膜および髄内に多発結節状増強効果を認めるようになる。
- 造影効果のある部位が造影前にT1強調像にて高信号を呈することもある。
- 慢性期には脊髄は萎縮する。
- しかし、画像にて所見を指摘できるのは脊髄サルコイドーシスのうち10%程度。つまり、画像に異常なくても否定はできない。
神経サルコイドーシス
- 中枢神経系の病変の頻度はサルコイドーシスの5%。
- 髄軟膜主体で脳底部を中心に、視床下部、下垂体漏斗部、第3脳室前床部に好発。
神経サルコイドーシスの画像所見
- 髄膜に沿った造影効果
- 髄膜から連続する実質内の結節性病変
- 脳実質内のT2強調像での高信号領域と結節状の造影効果などを認める。
- しかし、脊髄サルコイドーシスにおいて脳病変の合併は少ない。
症例 10歳代女性
引用:radiopedia
左小脳半球の表面の広範な浮腫および脳溝に沿った造影効果(肉芽腫を示唆する結節、粒状)を認めています。
髄膜の生検で神経サルコイドーシスと診断されました。
症例 60歳代男性
引用:radiopedia
下垂体とその漏斗は、びまん性かつ均一に肥大し、強い造影効果を認めます。
唾液腺生検によりサルコイドーシスと診断され、神経サルコイドーシスによる下垂体病変と診断されました。
その後、ステロイド治療により、病変は縮小。