乾癬性関節炎の画像 関節リウマチとの違いと仙腸関節炎

乾癬があり、最近指の関節が腫れて痛みます。「乾癬性関節炎かもしれない」と言われましたが、関節リウマチとはどう違うのですか?画像では何を見るのでしょうか?
乾癬性関節炎は、乾癬に伴う関節炎で、脊椎関節炎という仲間の病気です。関節リウマチは「滑膜」が主な標的なのに対し、乾癬性関節炎は腱や靭帯が骨につく「付着部(enthesis)」が主な標的とされ、そこから画像の違い(DIP関節、骨の増殖、指全体の腫れ)が生まれます。レントゲンとMRIの見方、仙腸関節炎の基準まで整理します。気になる症状があれば医療機関を受診してください。

先に結論:違いのカギは「炎症の標的」。滑膜が中心ならRA、付着部が中心なら乾癬性関節炎(PsA)

項目 ポイント
PsAとは 乾癬に伴う炎症性関節炎で、脊椎関節炎の仲間。分類基準にCASPAR基準(2006年)がある(Taylor 2006)
RAとの違い RAは滑膜、PsAは付着部が主な標的。PsAではDIP関節、1本の指の全関節(ray pattern)、骨膜炎、指全体の腫れ(dactylitis)が目立つ(Fukuda 2025)
レントゲン 関節近傍の骨増殖がPsAとRAの区別で最も有用(Ichikawa 2012)。関節近傍の骨粗鬆症や亜脱臼はRAに多い(Żelnio 2023)
仙腸関節 MRIでは軟骨下骨の骨髄浮腫が活動性仙腸関節炎の中心的な所見(Lambert 2016)。分類基準はASAS 2009年版(Rudwaleit 2009)

乾癬性関節炎とは

乾癬性関節炎(psoriatic arthritis:PsA)は、乾癬に伴って起こる炎症性の関節炎です。脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)という仲間に含まれ、この仲間には強直性脊椎炎、反応性関節炎、炎症性腸疾患に伴う関節炎などがあります。脊椎関節炎には、付着部炎、脊椎炎、仙腸関節炎といった共通の特徴があります。

皮膚の症状との順番は一定ではありません。PsAの患者さんの20〜25%は、関節症状が皮膚症状より先に、または同時に出るとされます(Fukuda 2025の引用)。リウマトイド因子はPsAの約20%、抗CCP抗体は7.9%で陽性になるという報告もあり、血液検査だけでRAと区別するのは難しい場合があります(Fukuda 2025の引用)。

分類基準:CASPAR

PsAの分類基準として使われるCASPAR基準は、2006年に国際研究から作られました。炎症性の関節疾患があり、次の項目で合計3点以上というものです。現在の乾癬(2点)、乾癬の既往、乾癬の家族歴、指炎(dactylitis)、関節近傍の新しい骨形成、リウマトイド因子陰性、爪の異常(それぞれ1点)。この基準は特異度0.987、感度0.914でした(Taylor 2006)。画像の項目として、関節近傍の新しい骨形成が入っているのが特徴です。

レントゲンの見え方

PsAのレントゲンの特徴として、骨びらん、関節裂隙の狭小化、骨増殖(関節周囲と骨幹の骨膜炎を含む)、pencil-in-cup変形や末節骨の骨吸収(acro-osteolysis)などの骨溶解、強直、骨棘、脊椎炎が挙げられています(Ory 2005)。pencil-in-cup変形は、骨の先端が鉛筆のように細くなり、向かい合う骨が皿状にくぼんでそこにはまり込む形です。

項目 関節リウマチ(RA) 乾癬性関節炎(PsA)
好発する関節 手関節、MCP、PIP関節(同じ高さの関節が並んで侵される「row pattern」) DIP関節、1本の指の全関節が侵される「ray pattern」。ただし最も多い型はRAに似た対称性の多関節炎(Fukuda 2025)
左右の対称性 左右の同じ関節に病変が出る対称性が、PsAの約3倍多い(Żelnio 2023) 対称性はRAより少ない。ただしPsAで最も多い型は、RAに似た対称性の多関節炎(Fukuda 2025)
骨増殖 ほとんどみられない(Żelnio 2023の研究では認めなかった) 関節近傍の骨増殖・骨膜の新生骨が多い。PsAでは骨増殖がRAの約5倍(Żelnio 2023)。最も有用な所見(Ichikawa 2012)
骨粗鬆症 関節近傍の骨粗鬆症がPsAより多い(Żelnio 2023) RAより少ない(Żelnio 2023)
関節の破壊と変形 関節裂隙狭小化、亜脱臼・脱臼(PsAの約3倍)。尺側偏位はRF陽性RAの11.7%にあり、PsAにはなかった(Żelnio 2023) びらんと骨増殖が同居する。pencil-in-cup、骨性強直、末節骨の骨吸収(Ory 2005)
DIP関節 約12%で侵される(高齢・長い罹病期間で多い)(Fukuda 2025) RAの2倍以上侵されやすい。ただし、PsAの72%はDIP関節が侵されていなかった(Żelnio 2023)

数字の出どころは、手のX線を比べた2つの研究です。Żelnio 2023は、RF陽性RA 180人、RF陰性RA 36人、PsA 154人を比較しました。Ichikawa 2012は日本人のPsA 85人とRA 135人を比較し、手では関節近傍の骨増殖、骨膜の新生骨、指全体のびまん性の軟部組織腫脹がRF陽性RAよりPsAで多く、足ではDIPびらん、末節骨の骨溶解、骨増殖、趾のびまん性腫脹がPsAで多いと報告しました。RF陰性RAとの比較では骨増殖だけが差を示しました。

ただし、早期にはレントゲンが正常なことが多く、MRIや超音波が軟部組織の変化を見つけるのに役立ちます(Żelnio 2023)。関節炎全般の読み方は関節炎のレントゲンの見方も参考にしてください。

症例 50歳代男性 乾癬性関節炎(両手)

乾癬性関節炎 両手X線 正面像
引用:Radiopaedia(Psoriatic arthritis)

症例ページでは、乾癬の長い既往がある患者の乾癬性関節炎に典型的なX線所見とされています。

MRI・超音波・CTで見る付着部炎

PsAは付着部が標的なので、MRIでは関節の周りの炎症が目立ちます。MRIの採点システム(OMERACT)でも、関節周囲の炎症はPsAには含まれ、RAには含まれません(Fukuda 2025)。滑膜と付着部は小さい関節ではとても近く、炎症が付着部から滑膜に広がることがあるため、指の関節では区別が難しくなります(Fukuda 2025)。

MRIの所見 RA PsA
骨髄浮腫 関節面の下に限局することが多い 骨幹まで広がることがある
骨膜炎 ほとんどみられない よくみられる
関節周囲の炎症 典型的でない 目立つ(強い指標)
腱の炎症 屈筋腱の腱鞘滑膜炎が早期RAの指標 腱鞘滑膜炎に加え、皮下へ広がる炎症。MCP関節の伸筋腱周囲の炎症はPsAに多い
爪とDIP関節 爪の変化と結びつきにくい 爪床の炎症とDIP関節炎が関連する
指全体の腫れ(dactylitis) みられない(感染は鑑別) PsAの16〜49%にみられる

(Fukuda 2025)

デュアルエネルギーCTのヨードマップも炎症の評価に使えます。MRIを基準にすると、末梢関節炎の炎症病変の検出で感度0.78、特異度0.87と報告されています(Fukuda 2025の引用)。腱や靭帯が骨につく部位の炎症については付着部炎・付着部症(エンテーシス)の画像を参照してください。

脊椎関節炎と仙腸関節炎

PsAは脊椎や仙腸関節にも起こります。仙腸関節炎は、強直性脊椎炎を含む「体軸性脊椎関節炎(axial SpA)」の中心的な所見です。強直性脊椎炎の画像は強直性脊椎炎の画像診断(バンブースパイン・仙腸関節炎)で解説しています。

ASAS分類基準(2009年)

ASASの体軸性脊椎関節炎の分類基準は、3か月以上続く腰痛で45歳未満に始まった人を対象とします。画像アーム:レントゲンまたはMRIで仙腸関節炎があり、さらに脊椎関節炎の特徴が1つ以上、または臨床アーム:HLA-B27陽性で特徴が2つ以上のどちらかを満たすと分類されます。基準全体の感度は82.9%、特異度は84.4%、画像アームだけでは感度66.2%、特異度97.3%でした。体軸性脊椎関節炎と診断された人の70%は従来のNew York基準を満たさず、「レントゲンで確定できない(non-radiographic)」型でした(Rudwaleit 2009)。

仙腸関節炎のMRI:ASAS 2016の定義

活動性の仙腸関節炎のMRI定義は、ASAS MRI作業部会が2016年に改訂しました。軟骨下骨の骨髄浮腫(bone marrow edema)が明らかにあることが、活動性仙腸関節炎を決める所見と位置づけられています。構造的な損傷の所見は、その炎症が本当に脊椎関節炎によるものだと判断する助けにはなりますが、定義を満たすのに必須ではありません。改訂では、定義の使い方を示す指針と画像が追加されました(Lambert 2016)。

症例 20歳代女性 両側の急性仙腸関節炎のMRI

両側急性仙腸関節炎 MRI 冠状断像
引用:Radiopaedia(Acute sacroiliitis – bilateral)

症例ページでは、MRI所見が両側の急性仙腸関節炎に合致するとされています。

MRIでは、仙腸関節をはさむ骨の軟骨下に高信号(骨髄浮腫)がないかを確かめます。ほかに仙腸関節の周りの硬化が目立つ病気に、腸骨硬化性骨炎(OCI)があり、画像で区別が必要です。

体軸性PsAと強直性脊椎炎の違い

強直性脊椎炎ではHLA-B27に関連する、仙腸関節や脊椎の付着部周囲の骨炎(広い骨髄浮腫)が特徴です。一方、体軸性PsAの多くでは付着部の炎症が靭帯などの軟部組織に出る「靭帯中心(ligament-centric)」の型で、傍靭帯骨棘(para-syndesmophyte)や、仙腸関節の骨が保たれる所見が特徴とされます。胸椎や頸椎の靭帯の骨化はDISH(びまん性特発性骨増殖症)に似ることもあります(McGonagle 2023)。

初心者向けチェックリスト

  • 手のX線では、まず分布を見る。DIP関節か、MCP・PIP・手関節か。
  • 骨が壊れているだけか、骨が増えているか(関節近傍の骨増殖・骨膜の新生骨)を見る。骨増殖があればPsAを考える。
  • 関節近傍の骨粗鬆症、亜脱臼・脱臼、尺側偏位があればRAを考える。
  • 指全体が太い(dactylitis)かどうかを軟部組織で確認する。
  • X線が正常でも否定しない。早期はMRI・超音波が役立つ。
  • 腰や殿部の痛みがあれば仙腸関節を見る。MRIでは軟骨下の骨髄浮腫が活動性炎症の目印。

よくある疑問(Q&A)

Q. 乾癬がなくても乾癬性関節炎になりますか?
A. 関節症状が皮膚症状より先に、または同時に出る人が20〜25%いるとされます(Fukuda 2025の引用)。皮膚の症状が気になる方は皮膚科、関節の症状が気になる方はリウマチ科で相談してください。

Q. レントゲンが正常なら大丈夫ですか?
A. 早期はレントゲンが正常のことが多く、MRIや超音波が炎症を見つけるのに役立ちます(Żelnio 2023)。

Q. pencil-in-cup変形があれば乾癬性関節炎ですか?
A. PsAの特徴的な所見として知られていますが、骨増殖、DIP関節の病変、指全体の腫れなどと合わせて判断します(Ory 2005)。

Q. 強直性脊椎炎と乾癬性関節炎の脊椎は同じですか?
A. 同じ脊椎関節炎の仲間ですが、強直性脊椎炎は仙腸関節炎が目立ち、体軸性PsAは靭帯中心の傍靭帯骨棘や仙腸関節が保たれる所見が特徴とされています(McGonagle 2023)。

参考文献

  1. Taylor W, Gladman D, Helliwell P, et al. Classification criteria for psoriatic arthritis: development of new criteria from a large international study. Arthritis Rheum. 2006;54(8):2665-2673. PubMed
  2. Fukuda T, Ogihara A, Kisaki S, et al. Imaging of peripheral arthritis: special focus on differences in inflammatory lesions between rheumatoid arthritis and psoriatic arthritis. Korean J Radiol. 2025;26(6):569-580. PubMed
  3. Żelnio E, Taljanovic M, Mańczak M, et al. Hand and wrist involvement in seropositive rheumatoid arthritis, seronegative rheumatoid arthritis, and psoriatic arthritis: the value of classic radiography. J Clin Med. 2023;12(7). PubMed
  4. Ichikawa N, Taniguchi A, Kobayashi S, et al. Performance of hands and feet radiographs in differentiation of psoriatic arthritis from rheumatoid arthritis. Int J Rheum Dis. 2012;15(5):462-467. PubMed
  5. Ory PA, Gladman DD, Mease PJ. Psoriatic arthritis and imaging. Ann Rheum Dis. 2005;64(Suppl 2):ii55-ii57. PubMed
  6. Rudwaleit M, van der Heijde D, Landewé R, et al. The development of Assessment of SpondyloArthritis international Society classification criteria for axial spondyloarthritis (part II): validation and final selection. Ann Rheum Dis. 2009;68(6):777-783. PubMed
  7. Lambert RG, Bakker PA, van der Heijde D, et al. Defining active sacroiliitis on MRI for classification of axial spondyloarthritis: update by the ASAS MRI working group. Ann Rheum Dis. 2016;75(11):1958-1963. PubMed
  8. McGonagle D, David P, Macleod T, et al. Predominant ligament-centric soft-tissue involvement differentiates axial psoriatic arthritis from ankylosing spondylitis. Nat Rev Rheumatol. 2023;19(12):818-827. PubMed

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