板状無気肺(読み方は、ばんじょうむきはい)という用語が胸部CTの画像所見に用いられることがありますがどのような画像所見でどういった意味を持つのでしょうか。

気道閉塞による無気肺とは異なり、横隔膜や胸郭の呼吸運動障害に伴う肺胞の虚脱(低換気)によって生じるとされます。

今回は板状無気肺についてまとめました。

CTで「板状無気肺」があると言われました。肺の病気ですか?

肺の一部が薄くしぼんで、線のような影に見えているものです。浅い呼吸などで起こりやすく、多くはそれ自体の治療はいりませんよ。

先に結論:板状無気肺とは

  • 肺のごく一部が薄くしぼんで(無気肺)、CTやレントゲンで線(板)のような影に見えるもの
  • 浅い呼吸が続いたとき(手術のあと・痛み・寝ている時間が長いなど)や、横隔膜の動きが弱いときに起こりやすい
  • 多くは深呼吸や体を動かすことで改善し、それ自体の治療はいらないことがほとんど
  • 古い炎症などのあとが線状の傷あと(瘢痕)として残っていることもあります
  • 息苦しさ・発熱・せきが続くときは、原因になっている病気がないか受診して確認しましょう

板状無気肺(platelike atelectasis)の定義と発生メカニズム

  • 板状無気肺(platelike atelectasis)は「linear atelectasis(線状無気肺)」「band atelectasis(帯状無気肺)」「Fleischner atelectasis」などとも呼ばれる。ただしFleischner線という用語は胸部X線写真での呼称。CTでは通常用いられない。
  • 気道狭窄や閉塞が原因ではなく、肺換気能低下(低換気)によって肺胞が虚脱することで発生。
  • 横隔膜運動制限(全身麻酔、腹部手術後、腹水、肥満など)や胸郭運動障害(疼痛、リウマチ性疾患)を背景に認められやすい。

板状無気肺(platelike atelectasis)のCT画像所見のポイント

以下の特徴を押さえることで、板状無気肺を正確に同定できる。

所見 詳細
形態 胸膜の下に、胸膜のくぼみに沿ってできる薄い板状・線状の高吸収域
部位 主に肺底部背側(重力のかかる側)の胸膜下に出現
分布 片側/両側いずれも可、左右差が出ることもある
付随所見 胸水や胸膜肥厚を伴わないことが多い。気管支拡張や線維化所見は原則として認められない。

症例 60歳代女性

右下葉に索状影を認め板状無気肺を疑う所見です。

無気肺とは?無気肺の種類と板状無気肺の位置づけ

無気肺とは、肺の一部または全体に空気が入らず、しぼんで容積が小さくなった状態です。しくみによって次のように分けられ、板状無気肺は受動性(低換気)に入ります(Woodring JH, Reed JC 1996)。

しくみ 原因の例
吸収性(閉塞性) 腫瘍・痰・異物で気道がふさがる
受動性 気胸、横隔膜の動きの低下、低換気(浅い呼吸)
圧迫性 緊張性気胸、胸の中の大きな病変、お腹の張り
粘着性・瘢痕性 サーファクタントの不足、肺線維症

形では、区域・肺葉・一側肺の無気肺、亜区域無気肺、板状(線状・円盤状)無気肺、円形無気肺、びまん性無気肺に分けられます(Woodring JH, Reed JC 1996)。「部分無気肺」は、肺の一部(区域や亜区域など)にとどまる無気肺を指す言葉です。

板状無気肺でよくある疑問(Q&A)

Q. 板状無気肺は心配いりませんか?
A. 多くはそれ自体の治療はいりませんが、別の病気のサインのこともあります。剖検の検討では、板状無気肺に対応する変化があった10例中6例に肺塞栓を合併しており、見えている以上に広い無気肺や、胸・お腹の別の病気を示していることがあるとされています(Westcott JL, Cole S 1985)。息苦しさ・胸の痛み・発熱などがあれば受診してください。

まとめ

板状無気肺は低換気を反映した特徴的なCT所見であり、肺底部に沿った薄い板状・線状の陰影として観察される。

臨床的意義は限定的であることが多いが、広範囲に及ぶ場合は低換気の原因検索が必要であり、肺塞栓など別の病気を伴うこともある(Westcott JL, Cole S 1985)。

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参考文献・出典

  1. Westcott JL, Cole S. Plate atelectasis. Radiology. 1985;155(1):1-9. PubMed
  2. Hansell DM, Bankier AA, MacMahon H, et al. Fleischner Society: glossary of terms for thoracic imaging. Radiology. 2008;246(3):697-722. PubMed
  3. Gurney JW. Atypical manifestations of pulmonary atelectasis. J Thorac Imaging. 1996;11(3):165-175. PubMed
  4. Price J. Linear atelectasis in the lingula as a diagnostic feature of left lower lobe collapse: Nordenström’s sign. Australas Radiol. 1991;35(1):56-60. PubMed
  5. Woodring JH, Reed JC. Radiographic manifestations of lobar atelectasis. J Thorac Imaging. 1996;11(2):109-144. PubMed
  6. Woodring JH, Reed JC. Types and mechanisms of pulmonary atelectasis. J Thorac Imaging. 1996;11(2):92-108. PubMed

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