肝細胞癌の治療後の局所再発の画像診断
- 切除後の再発率は3年で50%、5年で70%。
- 腫瘍サイズ、衛星結節、脈管侵襲、切除断端陽性、被膜などの所見は、再発率と相関。
- 初回再発の90%以上は肝内再発。
- 再発の画像診断には超音波検査、ダイナミックCT、EOB-MRIが用いられる。
肝細胞癌の治療後の再発部位として最も頻度が高いものを一つ選べ。
- リンパ節転移
- 腹膜播種
- 肝内再発
- 肺転移
正解!
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正解は肝内再発です。
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肝内再発
- 最も高頻度に認められる形式。
- 経門脈性の血行性転移と、多中心性発生による再発がある。
- 肝内転移を来す肝細胞癌は通常多血性であり、門脈相以降ではwashoutする。
- 多中心性の再発は肝細胞癌特有の再発形式である。動脈相で2cm以下の乏血性結節として同定され、高分化肝癌かdysplastic noduleとの鑑別が問題となる。このような病変をみた場合、多血化するタイミングで治療介入する必要があり、注意深い観察が要求される。
- EOB造影MRIの動脈相で乏血性かつ肝細胞相で低信号となる結節が多血化するのは、1年で14.9%、2年で45.8%であり、多血化のリスク要因はT2強調像での高信号と過去治療歴ありと報告されている。
関連記事:肝細胞癌のCT,MRI画像診断(HCC:hepatocellular carcinoma)
切除断端再発
- 切除断端に沿って再発を認めるもので、切除された原発巣と同様の造影パターンを示す。
TACE後の局所再発
- 沈着したリピオドールが欠損すると要注意。
- リピオドール周囲に早期濃染+washoutが出現すれば再発が示唆されるが、リピオドールのアーチファクトに注意。
ラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation:RFA)後の穿刺経路播種
- 頻度は0~1.1%。低分化肝癌の場合は注意が必要。
- RFA単独と比較し、生検も同時に行うと発症率が上昇するとされる。
- RFA後に肝腹膜〜腹壁に連続する軟部吸収値の病変を認めた場合には、播種を考慮する。
分子標的薬治療後の再発
- VEGF阻害薬(レンバチニブやベバシズマブなど)を使用した場合は、腫瘍縮小を伴わず腫瘍濃染が消失し壊死を来すことがあり、腫瘍縮小を腫瘍濃染の消失も併せて評価することは重要。
- 切除不能肝細胞癌に対して有用性が証明されたされたアテゾリズマブ+ベバシズマブの併用療法では腫瘍縮小も期待できるようになり、血流を評価しないRECISTでも評価可能となりうる。
- 「肝癌診療ガイドライン 2021年版」では、薬物療法の治療効果判定にRECISTもしくはmRECISTを用いることを推奨している。
参考文献:画像診断 Vol.43 No.11 増刊号 2023 P85-90
初回再発の90%以上は肝内再発。