先に結論:胃癌の術後再発と遠隔転移

  • 胃癌(原発巣)は造影CTで限局した胃壁の肥厚と強い造影効果として見えますが、早期胃癌や小さな腹膜播種はCTでは見えにくいです
  • 胃癌の再発は、他の癌と違い腹膜播種が最も多く(再発の約半数)、肝転移・肺転移などの血行性転移より多く見られます
  • CTでは大網・腸間膜・Douglas窩の結節、腹水、腹膜の肥厚のほか、胆管・尿管・腸管の狭窄(水腎症など)が播種の手がかりになります
  • 術後のフォローは造影CTが基本で、吻合部周囲の不整な軟部影は局所再発を疑います。低分化腺癌はFDGが集まりにくい点に注意します

胃癌の造影CT所見(原発巣)

  • 胃癌は限局性の壁肥厚や粘膜面から目立つ強い造影効果として認める。スキルス胃癌では胃壁がびまん性に厚くなる。
  • 胃の外側の脂肪織の毛羽立ち・索状影は漿膜外浸潤を疑う。
  • CTは主に進行度の評価に使い、早期胃癌の診断は内視鏡が中心。

壁深達度の正診率はCTで77.1〜88.9%と報告されています(Kwee 2007)。肝転移はCTで感度0.74・特異度0.99ですが、腹膜播種は最も感度の高い超音波内視鏡でも0.34で、画像だけで播種は否定できません(Wang 2011)。

胃癌の術後の画像診断のポイント

  • 胃癌術後のフォローは局所再発を含め造影CTを基本とする。
  • 局所再発の造影CT所見は、吻合部および周囲の不整形軟部腫瘤として認める。
  • 造影CTで再発腫瘤が不明確な場合には、FDG-PETが有用な場合がある。ただし、低分化腺癌のように間質増生の発育を示し、腫瘍組織に乏しい組織型の場合はFDG集積が弱いため、偽陰性に注意。

胃癌の遠隔転移の画像診断

  • 胃癌の遠隔転移再発は、他の癌腫と異なり、肝転移や肺転移などの血行性転移よりも腹膜播種による再発が多く、根治切除後に再発した508例の検討では45.9%と最多であった。再発であっても原発と同時性に認める腹膜播種と大きな違いはない。
  • 播種を起こす病理学的危険因子として、腫瘍のサイズが大きい、漿膜外浸潤がある、低分化型腺癌である、浸潤型の発育様式を示す、リンパ節転移が陽性であるなどがある。
  • 腹膜・腸間膜・大網・Douglas窩などの結節・腫瘤として認められる。
  • 多くは腹水を伴う。
  • 着床、浸潤した部位により、臓器の機能障害を生じる。
  • 浸潤を受けた胆管や尿管、直腸は造影される壁肥厚を示す。
  • 直腸においては、target signと称される層状の造影を認める場合がある。

正しいものを一つ選べ。

  • 胃癌の再発は肝転移が多い
  • 胃癌の再発は肺転移が多い
  • 胃癌の再発は腹膜播種が多い

正解!

不正解...

正解は胃癌の再発は腹膜播種が多いです。

胃癌の再発は他の癌腫と異なり、腹膜播種による再発が多い。

問題に戻る

症例 60歳代女性 進行胃癌

大網の脂肪織濃度上昇を認め播種結節あり(オレンジ→)。

Douglas窩に腹水貯留があり、腹膜に沿った壁肥厚を認めています(水色→)。癌性腹膜炎を疑う所見です。

(※この症例は再発ではなく、原発と同時に認めた症例となります。)

関連記事:腹膜播種・癌性腹膜炎のCT画像診断のポイント

Q. 胃がんのダグラス窩転移とは?
A. 直腸の前のくぼみ(ダグラス窩)に播種した転移で、CTでは直腸前面の結節や腹膜肥厚、腹水として見えます。

あわせて読みたい:胃のCTの見方

参考文献:画像診断 Vol.43 No.11 増刊号 2023 P76-84

  1. Yoo CH, Noh SH, Shin DW, et al. Recurrence following curative resection for gastric carcinoma. Br J Surg. 2000;87(2):236-42. PubMed
  2. Levy AD, Shaw JC, Sobin LH. Secondary tumors and tumorlike lesions of the peritoneal cavity: imaging features with pathologic correlation. Radiographics. 2009;29(2):347-73. PubMed
  3. Japanese Gastric Cancer Association. Japanese Gastric Cancer Treatment Guidelines 2021 (6th edition). Gastric Cancer. 2023;26(1):1-25. PubMed
  4. Kwee RM, Kwee TC. Imaging in local staging of gastric cancer: a systematic review. J Clin Oncol. 2007;25(15):2107-16. PubMed
  5. Wang Z, Chen JQ. Imaging in assessing hepatic and peritoneal metastases of gastric cancer: a systematic review. BMC Gastroenterol. 2011;11:19. PubMed

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