トルエン中毒(toluene poisoning)
- トルエンはシンナーや塗料の主成分であり、トルエン中毒はシンナー吸入遊ぶによるものが多い。
- シンナー吸引によって麻酔作用や幻覚作用が得られる。
- シンナー吸入後にトルエンが、脂肪に富む組織である中枢神経、脊髄、副腎などに集積する。
- 症状は、幻覚、陶酔感、認知・記憶障害、情動障害、性格変化、構音障害、小脳性失調、錐体路徴候などがみられる。
- トルエンは、代謝されて馬尿酸やクレゾールになり、大半は尿中に排泄される。診断は尿中馬尿酸の上昇による。
トルエン中毒のMRI画像所見
- 左右対称性に、中小脳脚、錐体路(内包後脚、脳幹)、大脳脳室周囲白質、小脳白質などに、T2強調像での高信号を認める(フリーラジカルのよるミエリンの酸化作用によると考えられている。)。
- 視床や基底核にT2強調像での低信号を認めることもある(軸索輸送障害(axonopathy)による鉄沈着が考えられている)。
- 傾向として、トルエン中毒の内包後脚の高信号は内包後脚の全体に及ぶことが多い。
症例 20歳男性 小脳機能不全。 慢性的なトルエンの乱用歴。
引用:radiopedia
両側内包後脚(全体に及んでいる)、中小脳脚に高信号を認めています。
また、視床、淡蒼球を中心に低信号を認めています。
トルエン中毒に矛盾しない画像所見です。
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参考文献:
- 頭部 画像診断の勘ドコロ NEO P232
- 画像診断 Vol.35 No.5 2015 P536-7