メタノール中毒(methanol poisoning)
- 誤飲による服用と自殺目的が多い。アルコールの代用として飲用されることがある。
- 多くの溶媒(シンナーなど)、ウインドウォッシャー液などの洗浄液、農薬、塗料、固形燃料などに含まれる。
- メタノールはアルコール脱水素酵素により、肝で代謝されてホルムアルデヒド、次いでギ酸に分解される。ギ酸が代謝性アシドーシスをきたし、ミトコンドリア呼吸鎖のチトクロームオキシダーゼを阻害し、組織での酸素利用障害を引き起こすことで症状を起こす。
- そのため、摂取から症状の出現まで18~24時間と比較的長い。
- 消化器症状、視覚障害、呼吸困難、意識障害、酩酊がみられる。中でも視覚障害が有名(目散るアルコール)。
- ヒト経口致死量は30〜100ml(100%メタノール)。
- 検査は尿中メタノールの測定、血清pH、重炭酸塩の測定
メタノール中毒のMRI画像所見
- 前頭葉優位の皮質下白質病変、被殻、視神経に壊死を反映したT2WIでの高信号を認める。
- 両側被殻壊死が特徴的で、T2WIで高信号を示す。画像でも出血を確認できることがある。
- 橋被蓋や視神経の病変を認めることもある。
症例 20歳代男性 生来健康、急性の錯乱と頭痛。
引用:radiopedia
両側被殻にT2WI,FLAIRで高信号を認めており、T2*WIで一部無信号あり、両側性被殻出血性壊死を示唆する所見です。
メタノール中毒と診断されました。
参考文献:
- 画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン3 P19-20
- 新版 所見からせまる脳MRI P184
- 頭部 画像診断の勘ドコロ NEO P233−4