先に結論:免疫チェックポイント阻害薬の種類

  • 免疫チェックポイント阻害薬は英語でimmune checkpoint inhibitor(ICI)といい、がん細胞がT細胞にかけているブレーキを外し、免疫の力でがんを攻撃させる薬です
  • 代表は抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)、抗PD-1抗体(ニボルマブ・ペムブロリズマブ)、抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ・デュルバルマブ・アベルマブ)です
  • 免疫が強くなりすぎて起こる副作用をirAE(免疫関連有害事象)といい、肺炎・大腸炎・下垂体炎・甲状腺炎・肝炎・脳炎など、画像で見つかるものも多いため投与歴の確認が大切です

免疫チェックポイント阻害剤とは?

  • 免疫チェックポイント阻害剤は免疫抑制機構の阻害によって患者の癌に対する免疫を活性化することで癌を治療する。腫瘍に対する反応を増強するようなT細胞の経路を標的としている(T細胞の活性化・増殖による治療)
  • メラノーマ、肺癌、腎細胞癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、ホジキンリンパ腫などに用いられる(Wang 2017)。
  • モノクローナル抗体とは、単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られた抗体のことをいう。語尾に“マブ(-mab,Monoclonal AntiBodies)”がつく薬剤。
  • 現在使われている免疫チェックポイント阻害薬(イピリムマブ、ニボルマブなど)はいずれもモノクローナル抗体であり、免疫系に作用する薬剤で、ほかの薬剤とは異なるパターンの薬剤性障害をきたす点が共通している。
  • Ipilimumab(イピリムマブ)は抗ヒトCTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)モノクローナル抗体 →CTLA-4が阻害されるとT細胞の活性化・増殖
  • Nivolumab(ニボルマブ)、Pembrolizumab(ペムブロリズマブ)はPD-1(programmed cell death protein1)に対する抗体
  • Durvalumab、Atezolizumab、AvelumabはPD-L1に対する抗体
  • 薬剤性障害は従来の薬剤とは異なるパターンを示す。免疫を活性化するような薬剤であるため、炎症性脱髄や自己免疫疾患に類似する副所見や副反応が起こることがあり、irAE(:immune-related adverse events)と呼ばれる。irAEとは要するに免疫チェックポイント阻害剤の使用で生じる薬剤性の障害の総称。画像上の注意点として、一部の患者では投与開始後に病変が新たに出現・増大したのち腫瘍量が減少する偽増悪(pseudoprogression)がみられる。従来の効果判定基準では治療失敗と誤判定されうるため、新病変や増大を見たときは経過観察の画像で真の増悪と区別する必要がある(ただし大多数は真の増悪である)。

免疫チェックポイント阻害薬の種類(一覧表)

標的 薬剤名(英語)
CTLA-4 イピリムマブ(ipilimumab)
PD-1(T細胞側) ニボルマブ(nivolumab)、ペムブロリズマブ(pembrolizumab)
PD-L1(がん細胞側) アテゾリズマブ(atezolizumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、アベルマブ(avelumab)

名前の語尾「-mab(マブ)」の読み方

  • -mabはモノクローナル抗体(monoclonal antibody)を表す語尾です。
  • その前の部分で抗体の由来を表し、-ximab(キシマブ)はキメラ抗体、-zumab(ズマブ)はヒト化抗体、-umab(ウマブ)はヒト抗体です。

irAEとimAEの違い

  • irAE(immune-related adverse event:免疫関連有害事象)は、免疫チェックポイント阻害薬による免疫の副作用を広く指す言葉で、診療や画像診断の文献で一般に使われます(Postow 2018)。
  • imAE(immune-mediated adverse event:免疫介在性有害事象)は、主に臨床試験の安全性評価で使われる言葉です。たとえばデュルバルマブの安全性解析では、免疫の機序に合い、ほかに明らかな原因がなく、ステロイドなどの免疫抑制薬や内分泌療法(ホルモン補充)を必要とした有害事象をimAEと定義しています(Morgan 2025)。
  • 指すものは重なりますが、imAEは試験ごとに定義を決めて数える、より限定的な使い方です。

関連記事:免疫チェックポイント阻害剤による中枢神経合併症

あわせて読みたい:免疫チェックポイント阻害薬の副作用(irAE)のCT・PET

参考文献:頭部 画像診断の勘ドコロ NEO P242−P243

  1. Postow MA, Sidlow R, Hellmann MD. Immune-Related Adverse Events Associated with Immune Checkpoint Blockade. N Engl J Med. 2018;378(2):158-168. PubMed
  2. Wang GX, Kurra V, Gainor JF, et al. Immune Checkpoint Inhibitor Cancer Therapy: Spectrum of Imaging Findings. Radiographics. 2017;37(7):2132-2144. PubMed
  3. Morgan C, Kurland J, Patel M, et al. Differential safety profiles of durvalumab monotherapy and durvalumab in combination with tremelimumab in adult patients with advanced cancers. J Immunother Cancer. 2025;13(5):e011140. PubMed

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