凍結肩(frozen shoulder)/肩関節周囲炎
- 肩の痛みや運動制限を主な症状とする症候群で五十肩と呼ばれる病態に近いもの。
- 凍結肩と肩関節周囲炎はしばしば同義で使われることが多い用語だが、正確には肩関節周囲炎は腱板や関節包など肩を構成する軟部組織に原因がある痛みという臨床診断がなされ、凍結肩を含むさまざまな疾患が含まれている。つまり、肩関節周囲炎の方がより広義であるということ。今回はその中でも凍結肩について。
- 凍結肩は40〜60歳代に多い。
- 多くは明らかな外傷を伴わない。
- 糖尿病や甲状腺機能異常などが発症に関連する因子として知られている。
- 診断基準は確立していないが、肩関節の挙上が135°以下に制限されている点で評価されることがしばしばある。
- 除外診断で診断され、腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、上腕二頭筋長頭腱炎などを除外する必要がある。
- これらを除外するためにMRIが撮影される。
- 腋窩嚢や腱板疎部といった腱板に覆われていない関節包のたわみの部分に炎症(滑膜炎)が生じ、線維性肥厚を来すことで拘縮が出現する。
- 病期によって異なり、炎症期(freezing phase)→拘縮期(frozen phase)→回復期(thawing phase)という経過をたどる。自然治癒することもあるが痛みが残存することもある。
凍結肩/肩関節周囲炎のMRI所見
- 特徴的な画像所見が知られている。
- 異常所見は腋窩嚢や腱板疎部に見られることが多い。この2点をチェックすることがポイント。
- 腋窩嚢は冠状断像、腱板疎部は斜矢状断像で主に評価する。
- 炎症期では腋窩嚢の肥厚、T2WI高信号、腱板疎部での線維性増殖性変化とT2WI高信号を認める。また造影すると造影効果を認める。(腱板疎部では、烏口上腕靱帯、上腕二頭筋長頭腱が走行している。腋窩嚢は肩関節の動きにゆとりを持たせる役割がある。)
- 拘縮期では腋窩嚢の萎縮が見られる。
症例40歳代女性 右肩痛
腋窩嚢の肥厚と信号上昇を認め、凍結肩/肩関節周囲炎を疑う所見です。
参考文献:
- 画像診断 Vol.41 No.1 2021 P70-71
- 画像診断 Vol.33 No.2 2013 P168-174