縦隔を走行する神経には、
- 末梢神経
- 交感・副交感神経系
があります。
これらは神経原性腫瘍の発生源となりえます。
どういった神経が縦隔のどこを走行するのかを実際のCT画像を用いてまとめました。
末梢神経
- 肋間神経
- 横隔神経
- 迷走神経・反回神経
- (腕神経叢)
肋間神経
肋間神経は、第1−12胸髄脊髄神経の前枝であり、神経叢を形成せずに肋間に分布します。
内外肋間筋の間を肋間動静脈に沿って走行します。
横隔神経
横隔神経は、第4頸神経C4(C3,5)からなります。
前斜角筋の前を下行し、鎖骨下動静脈の間を通過して胸鎖関節の後方から(多くは内胸動脈の内側に接し)胸腔に入ります。
肺根の前方を通り、心臓の外側縁を心膜横隔動静脈と並走し、心膜と壁側胸膜の心膜部の間を下行かつ後方に走って横隔膜に分布します。
迷走神経・反回神経
右側は右鎖骨下動脈の前方、左側は左鎖骨下動脈の前方を通って胸腔に入ります。
胸腔内では右は鎖骨下動脈下部で反回神経を、左は大動脈弓部の前方ないしその左側の面の上にあり、大動脈弓下で反回枝(反回喉頭神経)を分岐します。
胸腔の中では左右の迷走神経はそれぞれの側の気管支の後壁に接し、次いで食道に接して走行し、多くの枝を出して細かくなって腹腔に入ります。
交感・副交感神経系
- 交感神経節
- 副腎外傍神経節
交感神経節
胸部では椎体の両側で10~11個対が横突起の腹側に位置します。
上下節間枝によって連続し、交感神経幹と呼ばれます。
(神経節内には神経堤由来の細胞が存在し、副腎原発と同様の胎児性腫瘍である神経芽腫群腫瘍が発生します。)
下頸神経節はしばしば第1胸神経節と第1肋骨頭の高さで癒合し、星状神経節を形成します。
副腎外傍神経節
副腎外傍神経節は、副交感神経系・交感神経系に関連するもので以下の様に分けられ、分布します。
- 副交感神経系に関連する傍神経節:頭蓋底、頸部、前縦隔に位置し、化学受容体機能を有する
- 交感神経系に関連する傍神経節:胸腰椎体傍領域に沿った後縦隔、後腹膜にみられ副腎髄質類似機能を有する
前縦隔の副交感神経系の傍神経節を細かく見ると分布は以下の様になります。
肋間神経以外のこれらの縦隔を走行する神経の走行を実際のCT画像にすべて掲載するとこのようになります。
→縦隔を走行する神経の走行を連続画像で確認する。
縦隔に発生する神経原性腫瘍まとめ
これらの縦隔に存在する神経から発生しうるのが神経原性腫瘍ということになります。
神経原性腫瘍の由来とどのような腫瘍が発生するのかをまとめると次のようになります。
中でも後縦隔に発生するものが90%を占めると言われています。
参考文献:
関連記事:縦隔神経原性腫瘍の画像診断(neurogenic tumor)
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