先に結論:結核性リンパ節炎(リンパ節結核)とは

  • 結核菌がリンパ節に感染して腫れる病気で、首(頸部)のリンパ節や縦隔・肺門のリンパ節に多く見られます。肺外結核の中では最も多いタイプです
  • 症状は痛みの少ない首のしこり、発熱・咳などですが、無症状のこともあります。結核は主に咳などで空気中に出た菌を吸い込んでうつるため、人にうつるかどうかを考えるうえでは肺結核を合併していないかの確認が大切です。治療は抗結核薬の多剤併用です
  • 造影CTでは、中心が黒く(乾酪壊死で低吸収)、ふちがリング状に染まるリンパ節腫大が特徴で、古くなると小さくなり石灰化します。縦隔では右側の気管のまわりに多く、同じように中心が黒く見えることがあるがんの転移などと見分けます。診断は生検・培養・PCR・IGRA(QFTなど)で行います

結核性リンパ節炎とは?

  • 初期変化群である肺および肺門リンパ節の病変が縦隔に進展したもの。
  • 小児の初感染結核でみられるほか、成人にもみられる。縦隔の結核性リンパ節炎23例の検討では、多くが若い成人であった(Im 1987)。
  • 症状は発熱、咳嗽、胸痛、頚部リンパ節腫大など。無症状のこともある。
  • 首など体の表面に近いリンパ節の結核は、米国では結核全体の約10%を占め、30〜40歳代に多く、典型的には1〜2か月続く痛みの少ない首のしこりとして受診する(Fontanilla 2011)。
  • 肺門リンパ腺炎は、主に子どもの初感染結核で肺の入口(肺門)のリンパ節が腫れる状態の呼び方。
  • 結核菌培養やPCR、IGRA(QFTなど)検査で診断を行うが生検が必要となることもある。単純な診断基準はなく、確定はリンパ節からの結核菌(または遺伝子)の検出による。切除生検の感度は80%とされ(Fontanilla 2011)、リンパ節穿刺液の遺伝子検査(Xpert MTB/RIF)の感度は81.6%、特異度96.4%と報告されている(Kohli 2021)。
  • 治療は、抗結核薬による多剤併用療法。縮小が見られない場合は外科的手術となることもある。治療への反応は肺結核より遅く、治療中にリンパ節が一時的に増大する逆説的反応(paradoxical upgrading reaction)が約20%にみられる。

結核性リンパ節炎の画像所見

  • 腫大リンパ節はリング状の造影効果を認め、乾酪壊死巣である中心部は低吸収域となる。
  • 慢性に経過すると造影効果を認めず、サイズは縮小し石灰化を有するようになる。
  • 縦隔の結核性リンパ節炎49例の検討では、活動期の37例はすべて中心が低吸収でふちが染まるリンパ節で、石灰化は19%でした。一方、活動性のない12例では低吸収域がなく、83%に石灰化がみられました。治療後は25例全例でリンパ節が縮み、低吸収域が消えています(Moon 1998)。
  • 好発部位は、右気管気管支リンパ節、右気管傍リンパ節。
    ※右側に好発する理由は、右肺・左下葉のリンパ流は右縦隔のリンパ節に注ぐためと考えられている。
  • 鎖骨上窩から、腋窩や頚部、腹部リンパ節にもおよぶ場合がある。
  • 中心が低吸収のリンパ節はがんの転移でもみられることがあるため、転移との区別が必要になる(Im 1987)。肺外結核は結核全体の約15%を占め、その中ではリンパ系が最も多く侵される。活動性の肺病変がなくても、壊死を伴うリンパ節腫大は肺外結核の可能性を高める所見であり、確定には生検が必要となることが多い。
症例 60歳代女性 右頚部痛

右鎖骨上窩に内部に壊死を伴い、辺縁に造影効果を有するリンパ節腫大をみとめています。

縦隔にも小さなリンパ節が散見されます。一部で内部に壊死を疑う低吸収域を認めているように見えます。

右鎖骨上窩リンパ節生検が行われ、TB-PCR陽性、QFTも陽性となり、結核性リンパ節炎と診断され、加療されました。

腹部のリンパ節結核は膵腫瘍とまぎらわしい

結核性リンパ節炎は腹部にも起こり、膵臓のまわり・肝門部(門脈周囲)・腸間膜のリンパ節によくみられます。腹部結核105例のCTでは、リンパ節腫大が57.1%にあり、その約82%が壊死を伴い、腸間膜・膵周囲・門脈周囲・上部傍大動脈に多くみられました(Deshpande 2019)。血行性に広がった腹部結核13例でも、肝十二指腸間膜・門脈下大静脈間・腸間膜根部・膵周囲のリンパ節がそれぞれ84.6%と高い頻度で侵され、多くは辺縁が染まる多房状の腫大でした(Li 2007)。

膵頭部の近くで集まったリンパ節は膵頭部の腫瘍のように見え、閉塞性黄疸を起こすこともあります。黄疸で発症し、膵頭部の癌を疑って膵頭十二指腸切除が行われ、切除標本で初めて結核性リンパ節炎とわかった報告があります(Sen 2004)。10代の患者で、膵頭部の悪性腫瘍に似た門脈周囲のリンパ節結核も報告されています(Lee 2014)。

  • 膵頭部周囲の腫瘤が中心壊死を伴う複数のリンパ節の集まりに見えるときや、腹水・腹膜の肥厚・回盲部の腸管壁肥厚を伴うときは、結核も鑑別に入れます。
  • 確定には生検・培養・PCRが必要になることが多く、手術を決める前に組織での確認を考えます。

結核性リンパ節炎でよくある疑問(Q&A)

Q. リンパ節結核は人にうつりますか?
A. 結核は主に、肺結核の人の咳で空気中に出た菌でうつります。そのため、胸部の画像や痰の検査で肺結核を合併していないかを確認します。

Q. どんな症状が出ますか?
A. 首では痛みの少ないしこりが典型的で、発熱や咳を伴うことも、症状がないこともあります。しこりが続く・大きくなるなど気になる症状があれば医療機関を受診してください。

参考:
困ったときの胸部の画像診断 P192-193
基本をおさえる!胸部画像 P42-43

参考文献

  1. Im JG, Song KS, Kang HS, et al. Mediastinal tuberculous lymphadenitis: CT manifestations. Radiology. 1987;164(1):115-9. PubMed
  2. Moon WK, Im JG, Yeon KM, et al. Mediastinal tuberculous lymphadenitis: CT findings of active and inactive disease. AJR Am J Roentgenol. 1998;170(3):715-8. PubMed
  3. Fontanilla JM, Barnes A, von Reyn CF. Current diagnosis and management of peripheral tuberculous lymphadenitis. Clin Infect Dis. 2011;53(6):555-62. PubMed
  4. Mekonnen D, Derbie A, Abeje A, et al. Epidemiology of tuberculous lymphadenitis in Africa: A systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2019;14(4):e0215647. PubMed
  5. Rodriguez-Takeuchi SY, Renjifo ME, Medina FJ. Extrapulmonary Tuberculosis: Pathophysiology and Imaging Findings. Radiographics. 2019;39(7):2023-2037. PubMed
  6. Kohli M, Schiller I, Dendukuri N, et al. Xpert MTB/RIF Ultra and Xpert MTB/RIF assays for extrapulmonary tuberculosis and rifampicin resistance in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2021;1(1):CD012768. PubMed
  7. Deshpande SS, Joshi AR, Deshpande SS, et al. Computed tomographic features of abdominal tuberculosis: unmask the impersonator! Abdom Radiol (NY). 2019;44(1):11-21. PubMed
  8. Li Y, Yang ZG, Guo YK, et al. Distribution and characteristics of hematogenous disseminated tuberculosis within the abdomen on contrast-enhanced CT. Abdom Imaging. 2007;32(4):484-8. PubMed
  9. Sen M, Turan M, Karadayi K, et al. Peripancreatic tuberculous lymphadenitis mimicking carcinoma: report of a case. Acta Chir Belg. 2004;104(3):338-40. PubMed
  10. Lee YJ, Hwang JY, Park SE, et al. Abdominal tuberculosis with periportal lymph node involvement mimicking pancreatic malignancy in an immunocompetent adolescent. Pediatr Radiol. 2014;44(11):1450-3. PubMed

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