先に結論:気管支閉鎖症の画像

  • 気管支閉鎖症は、生まれつき区域気管支などが途中で閉じているまれな奇形で、閉じた先の気管支に粘液がたまり(粘液栓・粘液嚢腫)、その先の肺は側副路から空気が入ってふくらみすぎ(過膨張・気腫状)になります
  • CTでは肺門近くの棒状・V字・Y字形の粘液栓と、その末梢の黒っぽい(透過性の高い)肺の組み合わせが特徴で、左上葉に多いです
  • 多くは無症状で健診で見つかり経過観察ですが、感染をくり返す場合は切除を検討します。肺がんによる気管支の閉塞との区別が大切です
  • atresia(アトレジア)は「閉鎖」という意味で、管が生まれつき閉じていることを指します。がんや異物などで後から気管支がふさがる気管支閉塞とは別のものです

気管支閉鎖症(bronchial atresia)

  • 発生異常により、葉気管支、区域気管支が閉鎖したもの。
  • 末梢組織からの分泌液の貯留によって気管支の拡張を示す。
  • 無症状の若年成人(男性に多い)で偶然発見されることが多く、小児期の診断は比較的少ない。
  • 末梢の気管支には粘液貯留(mucoid impaction)を認める。末梢の肺は、側副路を介して、周囲から空気が入る。気腫性変化になる。
  • 多くは無症状。健診などで偶然発見されることが多い。85研究275例(小児169例・成人106例)の系統的レビューでは69.8%が手術を受け、無症状例でも31.2%が手術されていたが、未治療例で合併症が増えるという根拠はなく、保存的管理も選択肢とされている。なお新生児では典型的な液体で満たされた気管支瘤(粘液栓)がまだみられず、生後数か月で明らかになることがある。
  • 左上葉に好発する。次に右上葉。23例のCTの検討では全例が片側性で、左上葉8例(35%)、右下葉6例(26%)、右上葉4例(17%)、中葉4例(17%)、左下葉1例(5%)だった(Puglia 2021)。
  • 肺分画症、気管支嚢胞などと鑑別が必要だが、これらは透過性は亢進しないことが多い。

気管支閉鎖症とは?「気管支閉塞」との違い

「atresia」は管が生まれつき閉じていること(閉鎖)を指す言葉で、名前の似た「気管支閉塞」とは別のものです。

気管支閉鎖症 気管支閉塞(肺がん・異物など)
原因 生まれつき(発生異常) 後から生じた腫瘍・異物・粘液などで内腔がふさがる
その先の肺 側副路から空気が入り、黒っぽく(過膨張)見える 空気が入らずしぼむ(無気肺)、または閉塞性肺炎になることが多い
中枢側 原因となる腫瘤はない 腫瘤や異物がないか確認する

気管支閉鎖症の画像診断

  • 胸部X線では、粘液貯留を反映して、円形、卵円形、V字型などの形態を呈する肺門近傍の腫瘤影。その末梢に気腫性変化(透過性亢進部位)あり。
  • 限局性肺気腫や、粘液貯留(mucocele)は二次的変化として認められる。
  • CTでは、粘液嚢腫(bronchocele)と隣接する肺の過膨張の組み合わせが23例全例にみられ、この組み合わせがあれば診断できるとされる(Puglia 2021)。過膨張は呼気のCTでよりはっきりする。

症例70歳代女性

左上葉に気管支に粘液貯留を認め、末梢に気腫性変化あり。

気管支閉鎖症を疑う所見。

気管支閉鎖症でよくある疑問(Q&A)

Q. 気管支閉鎖症は治療や手術が必要ですか?

A. 大人で見つかる例の多くは無症状で、経過観察が基本です。23例の検討でも17例(74%)は無症状で、ほかの理由の検査で見つかっていました(Puglia 2021)。肺炎をくり返すなど症状がある場合は、肺葉切除や区域切除が検討されます(Morikawa 2005)。

Q. 子どもと大人で違いはありますか?

A. 小児29例の報告では1例を除いて症状があり、多くはくり返す肺炎でした。病変は右下葉が12例と最も多く、大人とは分布が異なりました(Morikawa 2005)。

咳や発熱をくり返すなど気になる症状があれば、医療機関に相談してください。

参考文献

  1. Gipson MG, Cummings KW, Hurth KM. Bronchial atresia. Radiographics. 2009;29(5):1531-5. PubMed
  2. Puglia EBMD, Rodrigues RS, Daltro PA, et al. Tomographic findings in bronchial atresia. Radiol Bras. 2021;54(1):9-14. PubMed
  3. Morikawa N, Kuroda T, Honna T, et al. Congenital bronchial atresia in infants and children. J Pediatr Surg. 2005;40(12):1822-6. PubMed
  4. Pasqua N, Bresesti I, Zirpoli S, et al. Congenital Bronchial Atresia: To Surgically Treat or Conservatively Manage? A Systematic Review. J Pediatr Surg. 2025;60(8):162368. PubMed
  5. Alamo L, Vial Y, Gengler C, et al. Imaging findings of bronchial atresia in fetuses, neonates and infants. Pediatr Radiol. 2016;46(3):383-90. PubMed

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