先に結論:レビー小体型認知症(DLB)の画像診断
- レビー小体型認知症は、アルツハイマー病に次いで多い認知症で、認知機能の波(日による変動)・ありありとした幻視・パーキンソン症状・寝ている間に叫んだり暴れたりする(レム睡眠行動異常症)が特徴です
- MRIでは海馬の萎縮がアルツハイマー病より軽いことが多く、DATスキャン(線条体の集積低下)、MIBG心筋シンチ(心臓の集積低下)、脳血流SPECTの後頭葉の血流低下が診断の手がかりになります
- 抗精神病薬に過敏なことがあるため、アルツハイマー病との区別が治療上も重要です
- MRI・CTだけでは診断できません。2017年の国際診断基準では、症状(中核的特徴)とDATスキャン・MIBG心筋シンチなどの指標的バイオマーカーの組み合わせでprobable DLB/possible DLBを判定します
※もの忘れに加えて幻視や手足のふるえ・動作の遅さがあるときは、もの忘れ外来・脳神経内科を受診してください。
レビー小体型認知症(DLB:Dementia with Lewy body)
- DLBはアルツハイマー病(AD)に次いで多い変性性認知症で、
- 認知機能の変動
- 幻視体験
- パーキンソニズム
を三徴とし、2つ以上あれば臨床的にprobable DLB と診断される。(2017年の第4版国際診断基準では、これに「レム睡眠行動異常症」を加えた4つが中核的特徴とされ、2つ以上でprobable DLBとなる。)
- 認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson’s disease with dementia:PDD)はパーキンソン病(Parkinson disease:PD)の経過中に認知症を発症するもので、レビー小体型認知症(DLB)とは臨床病型の違いであり同一の疾患群であるため、レビー小体型認知症(DLB)と画像上鑑別できない(鑑別する必要はないとも言える)。
- PD、PDD、DLBはLewy小体病(Lewy body disease:LBD)として同じスペクトラムの疾患と考えられている。
- αシヌクレインという蛋白が異常に蓄積するシヌクレイノパチーの1つ。
- ADより生命予後が悪いとされる。11研究・22,952例のメタアナリシスでは、診断からの平均生存期間はDLBが4.11年、ADが5.66年で、DLBの死亡の相対リスクは1.35であった(Mueller 2019)。
- 注意力、集中力、構成・視空間認知が低下する。一方でアルツハイマー病は記憶力や見当識障害がメインの症状。
- 転倒をくり返しやすく、便秘などの自律神経症状を伴うことがある。
- アルツハイマー病(AD)となぜ鑑別する必要があるか?
→アルツハイマー病(AD)に比べてレビー小体型認知症(DLB)は予後が悪いため。
→また、治療や対応(薬への反応・副作用、転倒への注意など)がADと異なるため。
DLBの画像所見のポイント
- VSRAD advance 2がADとDLBの鑑別の参考になることがある。ADと比べて内側側頭葉が比較的保たれる。
- イオフルパン(123I)ダットスキャン(ドパミントランスポーターシンチグラフィ)で線条体の集積低下(線条体に全体的に低下を認めることが多い)を認める。これにより所見があれば、possible DLBがprobable DLBになる可能性もあり。
- CTやMRIで内側側頭葉の萎縮が軽度(アルツハイマー病(AD)のように見られないという意味)。アルツハイマー病(AD)ほど系統だって萎縮を認めるわけではない。
- SPECT(脳血流シンチグラフィー)やPETで血流・代謝の全体的低下と後頭葉の低下。ただし、その点以外はアルツハイマー病と同じように血流低下を認めることがあり、後頭葉の所見だけで決めることはできない。FDG-PETでは、後部帯状回の代謝が比較的保たれるcingulate island signもDLBを支持する所見とされる(McKeith 2017)。
- MIBG心臓交感神経シンチグラフィで心筋の取り込み低下。H/M比の低下。国内多施設研究では、MIBG心筋シンチのH/M比によるprobable DLBとprobable ADの鑑別は感度68.9%・特異度89.1%で、軽度の認知症(MMSE 22点以上)では後期像で感度77.4%・特異度93.8%とさらに良好であった。2017年の第4版基準では臨床的特徴と診断用バイオマーカーが明確に区別され、レム睡眠行動異常症とMIBG心筋シンチグラフィの診断上の比重が高められた。
鑑別のポイント
- DLBは海馬を含む内側側頭葉の萎縮が軽微、大脳白質の萎縮も軽微とされているが、あくまでもADとの群間比較の結果であり、個々の症例ではオーバーラップがかなりあり、萎縮が強いものも多々見られ、MRIによる内側側頭葉の萎縮の評価だけではADと鑑別できない。
- SPECTやPETによる血流、代謝の低下パターンはADと似るが、全体的低下と後頭葉の低下が鑑別に有用である。
- MRI上は特異的な所見がないので他のパーキンソニズムを呈する疾患の特徴的な所見がないか除外診断の過程をたどることとなる。
- MMSEおよびSPECT、MIBG、ダットスキャンを合わせて総合的に判断する。ダットスキャンやMIBG心筋シンチは、2017年の基準で「指標的バイオマーカー」に位置づけられ、症状が典型的でない例の診断の手がかりになる。
診断基準(2017年 第4版)の要点:probable DLBとpossible DLB
| 区分 | 内容 |
| 中核的臨床特徴 | 認知機能の変動、くり返す幻視、レム睡眠行動異常症、パーキンソニズム(1つ以上) |
| 指標的バイオマーカー | SPECT/PETで基底核のドパミントランスポーター(DAT)取り込み低下、MIBG心筋シンチの取り込み低下、睡眠ポリグラフ検査で筋活動の抑制を欠くレム睡眠 |
| 支持的バイオマーカー | CT/MRIで内側側頭葉が比較的保たれる、SPECT/PETで全体的な取り込み低下と後頭葉の低下(FDG-PETのcingulate island sign)、脳波の後方の徐波 |
- probable DLB:中核的特徴が2つ以上、または中核的特徴が1つ+指標的バイオマーカーが1つ以上。バイオマーカーだけでprobable DLBとはしない。
- possible DLB:中核的特徴が1つだけ(指標的バイオマーカーなし)、または中核的特徴がなく指標的バイオマーカーが1つ以上。
各検査の診断能(DLBとADの区別)
| 検査 | DLBを示す所見 | 感度・特異度 |
| MRI(CT) | 内側側頭葉(海馬)の萎縮が軽い | 64%・68%(剖検確認の多施設研究、McKeith 2017で引用) |
| DATスキャン | 線条体(基底核)の取り込み低下 | 78%・90%(McKeith 2017で引用) |
| MIBG心筋シンチ | 心臓の取り込み低下(H/M比低下) | 68.9%・89.1%(国内多施設研究、Yoshita 2015) |
| FDG-PET | 後頭葉の代謝低下 | 70%・74%(McKeith 2017で引用) |
MRIの所見は単独ではADとの重なりが大きく、DATスキャンやMIBG心筋シンチを組み合わせて判断します。
レム睡眠行動障害
- レム睡眠時(脳は覚醒時に近い活動をしている)に何らかの原因で筋肉の緊張の抑制が障害され、夢で見たことをそのまま行動してしまう障害
- パーキンソン病やレビー小体型認知症の発症に関連する症状として注目されている。
- MIBG心筋集積が高率に低下すると報告されている(Tsukita K, et al. J Neurol 2020;267:3248-57)
症例 70歳代女性 認知機能低下・妄想

引用:Radiopaedia(Dementia with Lewy bodies)
DATスキャンで線条体への集積に明らかな左右差があり、片側の線条体の集積が低下しています(症例報告では右線条体の集積低下)。症例報告では背景の大脳への集積上昇もみられ、FDG-PETでの右後頭葉の代謝低下と合わせてレビー小体型認知症と考えられています。
参考文献
- McKeith IG, Boeve BF, Dickson DW, et al. Diagnosis and management of dementia with Lewy bodies: Fourth consensus report of the DLB Consortium. Neurology. 2017;89(1):88-100. PubMed
- Tsukita K, Tachibana N, Hamano T. Appropriate assessment method of 123I-MIBG myocardial scintigraphy for the diagnosis of Lewy body diseases and idiopathic REM sleep behavior disorder. J Neurol. 2020;267(11):3248-3257. PubMed
- Orimo S. [Differential diagnosis of dementia with lewy bodies]. Brain Nerve. 2015;67(4):413-425. PubMed
- Yoshita M, Arai H, Arai H, et al. Diagnostic accuracy of 123I-meta-iodobenzylguanidine myocardial scintigraphy in dementia with Lewy bodies: a multicenter study. PLoS One. 2015;10(3):e0120540. PubMed
- McKeith IG, Ferman TJ, Thomas AJ, et al. Research criteria for the diagnosis of prodromal dementia with Lewy bodies. Neurology. 2020;94(17):743-755. PubMed
- Mueller C, Soysal P, Rongve A, et al. Survival time and differences between dementia with Lewy bodies and Alzheimer’s disease following diagnosis: A meta-analysis of longitudinal studies. Ageing Res Rev. 2019;50:72-80. PubMed
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