輸精管の石灰化

  • 加齢による変性によっても生じるが、糖尿病の患者で出現頻度がより高い(輸精管に石灰化を認めた場合90%以上に糖尿病が存在するという報告もある)。特に、40代〜50代の中年男性において輸精管石灰化を認めた場合、未診断の糖尿病である可能性が極めて高い。また、一般に、糖尿病の罹患期間が長いほど(通常15〜20年以上)、石灰化の頻度と程度が増すとされる。
  • 小骨盤腔で正中部から外方に向かって蛇行する左右対称性の管状の石灰化として認められる。石灰化は尿管との交差部より内方に認められることが多い。
  • 輸精管は精巣上体尾部に始まり、鼠径管を通って骨盤内に入り、膀胱の後方・尿管の内側を走行して精嚢の排泄管と合流し、射精管となる。CT画像上、石灰化は一般的に両側性に見られることが多く、特に輸精管膨大部(Ampulla)と呼ばれる、精嚢に近い遠位部に好発する傾向がある。
  • 輸精管の筋層、特に中膜(Media)の変性が石灰化の原因となる。糖尿病患者においては、細動脈硬化症(Arteriolosclerosis)の一形態として、輸精管動脈の壁に硝子化および石灰化が生じやすいとされる。これはメンケベルグ型中膜石灰化(Mönckeberg’s medial calcic sclerosis)の病態と類似している。

輸精管の石灰化のCT画像所見の特徴

CTにおける輸精管石灰化は、その形状から以下のような特徴的な所見を呈する。

  • 左右対称性:多くの場合、両側の輸精管に対称的に認められる。
  • 管腔構造の石灰化:管壁に沿って石灰化が生じるため、断面によってはリング状、あるいは管腔構造(Tubular structure)として描出される。
  • Tram-track sign(路面電車線路様):長軸方向の断面では、平行な2本の線状石灰化として見える場合がある。

症例 40歳代男性 糖尿病

dm

両側輸精管に石灰化を認めています。

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参考文献

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  2. Wilson JL, Quevedo HJ. Calcification of the vas deferens in diabetes. AJR Am J Roentgenol. 1982;139(3):597-598.
  3. Herts BR, Baker ME. The current spectrum of abdominal calcifications. Semin Roentgenol. 1991;26(3):190-211.

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