大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration:CBD)
- 前頭側頭型変性症の中で病理学的にニューロン内部にタウ蛋白が蓄積する疾患群(タウオパチー)の一種。
- 非遺伝性、進行性の神経変性疾患であり、臨床的には左右非対称性の皮質機能障害とパーキソニズムを来す。
- 失行症状+パーキンソン症状+認知症。
- 通常、60歳以降に一側肢の運動障害で発症、初期には症状の左右差が目立ち、やがて対側へも症状が広がる。
- 皮質症状として他人の手徴候(alien hand)と呼ばれる手の使いにくさ、失行(構成失行,観念失行,失語,視覚失認)も見られる。
皮質基底核変性症の画像所見
- 臨床症状と反対側の前頭葉後部から頭頂葉に萎縮が強く(中心溝周囲の萎縮)、特に高位円蓋部での中心前回の萎縮が特徴的。また基底核の萎縮を認める。
- 脳梁の萎縮。
- 一側性の大脳白質の軽度高信号。皮質下白質の病変が重要:U-fiberが消える。
- 脳血流シンチグラフィでは非対称性(左右差が強い)の大脳萎縮と血流低下を認める。
※左右差が強いため、脳血管障害との鑑別が問題となることがあるが、CBDでは必ず運動障害があることが鑑別の一助になる。 - 左右差の見られる基底核や視床の血流低下。認知症の症状を認める場合、アルツハイマー型認知症の血流代謝低下パターンと同様の所見を示すが左右差が強く、基底核・視床・一次感覚運動野の血流代謝が低下するのが特徴的。
症例 70歳代女性
右優位に頭頂葉に血流低下を認めている。
症例 70歳代男性
皮質下白質まで高信号が及びU-fiberの消失を認める。