先に結論:傍神経節腫(パラガングリオーマ)の画像
- 傍神経節腫は、副腎の外の神経内分泌組織(傍神経節)から出る腫瘍で、頸動脈分岐部(頸動脈小体腫瘍)・頸静脈孔・中耳・迷走神経・後縦隔・後腹膜などにできます。頭頸部のものはホルモンを作らないことが多く、遺伝性(SDH遺伝子など)のこともあります
- 画像の最大の特徴は非常に血流が多いことで、造影の早い相で強く染まり、MRIではsalt-and-pepper(白い点と黒い血管のflow voidの混在)が見られます。頸動脈小体腫瘍は内頸動脈と外頸動脈の間を広げるのが特徴です
- 多発することがあるため全身の検索(ソマトスタチン受容体イメージングなど)を考え、生検は出血の危険があるため慎重に判断します
傍神経節腫(paraganglioma)
- 副腎髄質発生のクロム親和性細胞起源の腫瘍が褐色細胞腫。
- 副腎以外の神経内分泌組織から発生した腫瘍が傍神経節腫。
- 病理学的には褐色細胞腫と同様。良悪性の識別は困難。
- 頭頸部のものは、以前はグロムス腫瘍(glomus tympanicum/jugulare)やchemodectomaとも呼ばれた(皮膚・爪下のグロムス腫瘍とは別の腫瘍)。
- 現在のWHO分類では、すべての傍神経節腫が転移しうる腫瘍とされ、転移がある場合は「転移性」と表現する。
- 頸動脈分岐部の頸動脈小体(carotid body tumor)からの発生が多い。頭頸部の傍神経節腫は中年に多く、痛みのないゆっくり大きくなる腫瘤として見つかることが多い(Rao 1999)。
- 大動脈交感神経傍神経節発生では、交感神経周囲の後縦隔に発生する。
- 他、鼓室、頸静脈球、迷走神経に発生する。稀だが、脊柱管内、馬尾に発生することもある。頭頸部の傍神経節腫は全傍神経節腫の約3%で、頻度は頸動脈小体、頸静脈、鼓室、迷走神経の順に多い。
- 頸部の傍神経節腫の予後は概して良好で、治療の基本は手術。側頭骨のものは進行例で再発・残存が問題になりやすい(Rao 1999)。
- 胃のGIST・肺軟骨腫と合併するものはCarney三徴(Carney triad)と呼ばれ、女性に多い。
傍神経節腫の画像所見
- 極めて血管に富むことが特徴。造影早期相できわめて強い。
- MRIではsalt-and-pepper appearanceと表現され、出血や血流が遅い血管が高信号(salt)として認められ、血流の早い腫瘍血管がflow void(pepper)としてみとめられる。T2WIだけではなく、T1WIにおいてもこう呼ばれる。
- この所見は傍神経節腫に比較的特徴的で、2cmを超える病変で典型的にみられ、小さな腫瘤でははっきりしないことがある。
- 腫瘍血管の評価にはMRAが有用。
頸動脈小体腫瘍と迷走神経傍神経節腫の見分け方
どちらも副咽頭間隙(頸動脈間隙)にできるため、血管との位置関係で見分けます(頸動脈小体腫瘍29例・迷走神経傍神経節腫13例のMRI; Wang 2019)。
| 頸動脈小体腫瘍 | 迷走神経傍神経節腫 | |
|---|---|---|
| 内頸・外頸動脈の間(分岐部)の開大 | 全例 | 少数 |
| 内頸動脈の押される向き | 全例で後方 | 後方は少数 |
| 頸静脈孔への進展 | なし | 13例中7例 |
傍神経節腫でよくある疑問(Q&A)
Q. 悪性ですか?
A. WHO分類では良性・悪性に分けず、どの腫瘍も転移しうるとされています。転移を予測するはっきりした所見もありません(Mete 2022)。
Q. 遺伝しますか?
A. 家族歴のない例でも10〜20%に生まれつきの遺伝子変異(SDH遺伝子・VHL・RETなど)が見つかると報告されています(Gimenez-Roqueplo 2012)。
首のしこりなど気になる症状があれば、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診してください。
症例 50歳代男性 左頸部腫瘤

頸動脈分岐部に造影効果を有する腫瘤あり。
部位および造影効果から傍神経節腫を疑う所見。
手術にて傍神経節腫(paraganglioma)と診断されました。
あわせて読みたい:神経節神経腫の画像診断
参考文献
- Rao AB, Koeller KK, Adair CF. From the archives of the AFIP. Paragangliomas of the head and neck: radiologic-pathologic correlation. Radiographics. 1999;19(6):1605-32. PubMed
- Olsen WL, Dillon WP, Kelly WM, et al. MR imaging of paragangliomas. AJR Am J Roentgenol. 1987;148(1):201-4. PubMed
- Mete O, Asa SL, Gill AJ, et al. Overview of the 2022 WHO Classification of Paragangliomas and Pheochromocytomas. Endocr Pathol. 2022;33(1):90-114. PubMed
- Woolen S, Gemmete JJ. Paragangliomas of the Head and Neck. Neuroimaging Clin N Am. 2016;26(2):259-78. PubMed
- Pitsava G, Settas N, Faucz FR, et al. Carney Triad, Carney-Stratakis Syndrome, 3PAS and Other Tumors Due to SDH Deficiency. Front Endocrinol (Lausanne). 2021;12:680609. PubMed
- Wang X, Chen Y, Chen X, et al. Parapharyngeal space paraganglioma: distinguishing vagal paragangliomas from carotid body tumours using standard MRI. Clin Radiol. 2019;74(9):734.e1-734.e6. PubMed
- Gimenez-Roqueplo AP, Dahia PL, Robledo M. An update on the genetics of paraganglioma, pheochromocytoma, and associated hereditary syndromes. Horm Metab Res. 2012;44(5):328-33. PubMed
画像診断を無料で学べるコンテンツ

無料講座
腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →
