傍神経節腫(paraganglioma)
- 副腎髄質発生のクロム親和性細胞起源の腫瘍が褐色細胞腫。
- 副腎以外の神経内分泌組織から発生した腫瘍が傍神経節腫。
- 病理学的には褐色細胞腫と同様。良悪性の識別は困難。
- 同義語として、グロムス腫瘍(glomus tumor)やchemodectomaがある。
- 転移がある場合は悪性として扱われる。
- 頸動脈分岐部の頸動脈小体(carotid body tumor)からの発生が多く、この場合は無症状で40歳以降に発見される。
- 大動脈交感神経傍神経節発生では、交感神経周囲の後縦隔に発生する。半数程度に症状あり。より若年の傾向。周囲への浸潤により生じた症状(疼痛、咳嗽、嚥下困難、嗄声、呼吸困難)により発症。
- 他、鼓室、頸静脈球、迷走神経に発生する。稀だが、脊柱管内、馬尾に発生することもある。
- 完全切除できれば予後は良好。
- 肺の軟骨性過誤腫およびGISTと合併すると、Carney’s triadと呼ばれる。
傍神経節腫の画像所見
- 極めて血管に富むことが特徴。造影早期相できわめて強い。
- MRIではsalt-and-pepper appearanceと表現され、出血や血流が遅い血管が高信号(salt)として認められ、血流の早い腫瘍血管がflow void(pepper)としてみとめられる。T2WIだけではなく、T1WIにおいてもこう呼ばれる。
- この所見は傍神経節腫に比較的特徴的だが、1cm以下の小さな腫瘤では稀。
- 腫瘍血管の評価にはMRAが有用。
症例 50歳代男性 左頸部腫瘤
頸動脈分岐部に造影効果を有する腫瘤あり。
部位および造影効果から傍神経節腫を疑う所見。
手術にて傍神経節腫(paragaglioma)と診断されました。
症例 40歳代女性 左頸部腫瘤
(2009年放射線科診断専門医試験問題13番より引用)
頸動脈分岐部に著明な造影効果を有する腫瘤あり。
内頸動脈および外頸動脈の離開あり。
部位および造影効果から傍神経節腫を疑う所見。
症例 50 歳代の男性。心窩部不快感を主訴に来院。
(2007年放射線科診断専門医試験問題55番より引用)
傍大動脈に早期から著明に造影される境界明瞭な類楕円形の腫瘤あり。
paragangliomaを疑う所見。
症例 70 歳代の男性。高血圧。
2013年放射線科診断専門医試験問題75より引用。
副腎ではなくて、腎門部レベルでIVCの右側に造影効果を有する腫瘤あり。
123I-MIBG にて集積を認めており
症例 70 歳代の女性。5 年前から両側頸部腫瘤。
2011年放射線科診断専門医試験問題13より引用。
paragangliomaを疑う所見。
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