十二指腸憩室
- 消化管憩室の中で結腸に次いで頻度が高い。
- 下行部の内側に多く(8割)、特にVater乳頭部に多い。乳頭部近傍に生じる憩室は傍乳頭部憩室とも呼ばれる。
- 次いで、水平部〜上行部(2割)が多い。上部(球部)は1%と最も少ない。
- 単発性が多く、多発性は10%。
- 50-60歳代を中心に好発する。
- 多くは固有筋層のない仮性憩室であり、後天性に生じる。
十二指腸憩室による症状、合併症
- 通常は無症状だが、出血、閉塞性黄疸、膵炎、十二指腸閉塞、憩室炎、潰瘍、穿孔などの合併症あり。
- 憩室の大きさが直径10mm以上になると合併症を生じやすくなる。
- 穿孔は最も重篤な合併症。多くの例で憩室炎が穿孔の原因。
- きわめてまれに、Vater乳頭や胆管、膵管を圧迫して閉塞性黄疸の原因となる(Lemmel症候群と呼ばれる)。
十二指腸憩室の画像所見
- 消化管透視や内視鏡、CTで確認される。
- 十二指腸内腔に隣接する平滑な球形の管腔外突出として描出されるため診断は容易。
- CTでは十二指腸を追うことで管腔外に突出する憩室を同定することができる。
参考文献:画像診断 Vol.41 No.4 増刊号 2021 P147