先に結論:類骨骨腫とは
- 類骨骨腫(るいこつこつしゅ、osteoid osteoma)は、10〜20歳代の男性に多い小さな良性の骨腫瘍で、大腿骨・脛骨などの長い骨や、背骨の後ろ側(椎弓など)にできます
- 最大の特徴は夜に強くなる痛みで、アスピリンなどの痛み止め(NSAIDs)がよく効くことです。背骨にできると痛みのある側弯の原因になることがあります
- 画像では、中心の小さな透亮像(ナイダス:1〜2cm以下、中に石灰化を含むことも)と、そのまわりの強い骨硬化が典型です。ナイダスはCTが最も見つけやすく、MRIではまわりの骨髄浮腫が強く出て他の病気と紛らわしいことがあります
- 治療は、痛みが続く場合にナイダスを取り除く(CTガイド下のラジオ波焼灼術や手術)ことで、痛みは劇的によくなります
類骨骨腫(osteoid osteoma)
- 若年に多く、10-20歳代に多い。約半数が10歳代に生じ、5歳未満や35歳以上にはまれとされる。男性に多い(Carneiro 2021)。
- 大腿骨、脛骨など、長管骨の骨幹、骨幹端に生じる。
- 椎骨にも生じ、多くは椎体後方成分にみられる。
- 夜間増強する疼痛があり(涙(るい)が出るほど痛いと覚える)、アスピリンなどのNSAIDs服用で軽快する。
- 関節に面した場合、関節液貯留などの関節炎症状が出現する。
- プロスタグランジン産生能があり、疼痛の原因とされているが、厳密には不明。nidusでは正常の100〜1000倍のプロスタグランジン(特にPGE2)がみられ、まわりの骨髄浮腫や血管拡張の原因にもなると説明されています(Carneiro 2021)。
- 腫瘍そのものは良性であり、経過観察も可能だが、疼痛が続く場合は治療の対象となり、現在はCTガイド下ラジオ波焼灼術(RFA)などの低侵襲治療が広く行われている。
- 自然治癒することがある。自然に退縮するまでの期間は6〜15年で、NSAIDsの使用で2〜3年に短縮しうるとされています(Carneiro 2021)。CTガイド下RFAの長期成績では、初回治療例の約9割(91%)で症状が完全に消失したと報告されています。再発病変に対する治療の成功率は60%と低めでした。その後の系統的レビュー(1798例)では、経皮的焼灼術全体の成功率は91.9%、合併症は2.5%で、ラジオ波焼灼術と凍結療法の成績に差はありませんでした。
類骨とは:「類骨骨腫」の名前の由来
- 類骨(osteoid)とは、骨芽細胞が作るまだ石灰化していない骨の基質のことです。類骨骨腫のnidusは、さまざまな程度に石灰化した類骨と骨芽細胞、血管に富む線維性の間質でできています(Carneiro 2021)。
- 「類骨肉腫」という病名はありません。類骨を作る悪性腫瘍は骨肉腫で、類骨骨腫とは別の病気です。
類骨骨腫の好発部位
| 部位 | 頻度・特徴(Carneiro 2021) |
|---|---|
| 長管骨の骨幹/骨幹端 | 約50%/約40% |
| 大腿骨・脛骨 | あわせて50%超 |
| 上腕骨 | 約8% |
| 脊椎 | 約15%(腰椎が最多、90%は椎弓などの後方成分) |
類骨骨腫の画像所見
CT、レントゲン
- 中核であるnidusは結節状の透過性亢進領域として認められる。nidus内には石灰化を伴うことがある。
- 周囲には反応性の硬化縁を伴う。
- 周囲の変化が強い例など、nidusが確認しにくい症例ではCTが有用。
- MRIでは病巣周囲の骨髄浮腫。nidusはダイナミックMRIで早期より信号上昇。一般的にこの疾患では、MRIよりもCTが有用。
MR
- nidusはT1WIにて低信号を呈する。
- 内部の軟部組織や周囲の変化などがT2強調像にて高信号を示すことが多い。
- 多彩な信号を示すため、他の骨腫瘍との鑑別が難しくなる。
nidusの大きさと鑑別
nidusは典型的には1.0〜2.0cmまでの小さな病変です。似た画像になる病気との違いは次のように整理されています(Carneiro 2021)。
| 鑑別 | 類骨骨腫との違い |
|---|---|
| 骨芽細胞腫(osteoblastoma) | 2.0cmより大きい、痛みや周囲の反応が少ない、サリチル酸製剤が効きにくい、徐々に大きくなる |
| 骨髄炎・骨内膿瘍 | 内側の縁が不整、腐骨が偏在、髄内にあり2.0cmより大きいことが多い、中心が造影されない |
| 疲労骨折 | 骨折線があり、nidusがない。経過で骨髄浮腫が消えていく |
骨シンチ
- 骨シンチでは、nidusへの強い集積+周囲骨の反応性変化に淡い集積が見られ、double density signと呼ばれる。
症例 10歳の男児。右下肢痛のため家族に伴われて来院した。
4か月前から誘因なく右大腿部痛が出現したという。痛みは安静時、運動時ともにあり、夜間に増悪する。右下肢の皮膚、筋および関節に異常を認めない。右大腿骨のエックス線検査で異常が疑われたため撮影した両大腿部の単純CTを別に示す。最も考えられるのはどれか。(医師国家試験105D29)
a 骨肉腫
b 類骨骨腫
c 軟骨肉腫
d 骨軟骨腫
e 好酸球性肉芽腫

国家試験の問題です。nidusを指摘して、類骨骨腫が正解です。
類骨骨腫でよくある疑問(Q&A)
Q. 類骨骨腫の原因は?
A. 腫瘍ができる原因ははっきりしていません。痛みについては、nidusで多量に作られるプロスタグランジンが関わると考えられています(Carneiro 2021)。
Q. 手術しなくても治りますか?
A. 自然に退縮することがあり、痛み止め(NSAIDs)で様子をみる方法もあります。痛みが薬で抑えられない、長期の服用が難しい、活動制限を望まない場合は、ラジオ波焼灼術などの低侵襲治療が選ばれます(Tepelenis 2021)。
夜に強くなる骨の痛みが続くときは、整形外科で相談してください。
参考文献
- Chai JW, Hong SH, Choi JY, et al. Radiologic diagnosis of osteoid osteoma: from simple to challenging findings. Radiographics. 2010;30(3):737-49. PubMed
- Rosenthal DI, Hornicek FJ, Torriani M, et al. Osteoid osteoma: percutaneous treatment with radiofrequency energy. Radiology. 2003;229(1):171-5. PubMed
- Gillet R, Boubaker F, Gauchotte G, et al. Diagnostic and interventional imaging of osteoid osteoma: State-of-the-art. Diagn Interv Imaging. 2026. PubMed
- Lindquester WS, Crowley J, Hawkins CM. Percutaneous thermal ablation for treatment of osteoid osteoma: a systematic review and analysis. Skeletal Radiol. 2020;49(9):1403-1411. PubMed
- Shanmugasundaram S, Nadkarni S, Kumar A, et al. Percutaneous Ablative Therapies for the Management of Osteoid Osteomas: A Systematic Review and Meta-Analysis. Cardiovasc Intervent Radiol. 2021;44(5):739-749. PubMed
- Carneiro BC, Da Cruz IAN, Ormond Filho AG, et al. Osteoid osteoma: the great mimicker. Insights Imaging. 2021;12(1):32. PubMed
- Tepelenis K, Skandalakis GP, Papathanakos G, et al. Osteoid Osteoma: An Updated Review of Epidemiology, Pathogenesis, Clinical Presentation, Radiological Features, and Treatment Option. In Vivo. 2021;35(4):1929-1938. PubMed
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