類骨骨腫(osteoid osteoma)
- 若年に多く、10-20歳代に多い。4歳以下や40歳以上には稀。男性に多い。
- 大腿骨、脛骨など、長管骨の骨幹、骨幹端に生じる。
- 椎骨にも生じ、多くは椎体後方成分にみられる。
- 夜間増強する疼痛があり(涙(るい)が出るほど痛いと覚える)、アスピリン服用で軽快する。
- 関節に面した場合、関節液貯留などの関節炎症状が出現する。
- プロスタグランジン産生能があり、疼痛の原因とされているが、厳密には不明。
- 腫瘍そのものは良性であり、経過観察で問題ないが、疼痛のため摘出術が施行されることが多い。
- 自然治癒することがある。
類骨骨腫の画像所見
CT、レントゲン
- 中核であるnidusは結節状の透過性亢進領域として認められる。nidus内には石灰化を伴うことがある。
- 周囲には反応性の硬化縁を伴う。
- 周囲の変化が強い例など、nidusが確認しにくい症例ではCTが有用。
- MRIでは病巣周囲の骨髄浮腫。nidusはダイナミックMRIで早期より信号上昇。一般的にこの疾患では、MRIよりもCTが有用。
MR
- nidusはT1WIにて低信号を呈する。
- 内部の軟部組織や周囲の変化などがT2強調像にて高信号を示すことが多い。
- 多彩な信号を示すため、他の骨腫瘍との鑑別が難しくなる。
骨シンチ
- 骨シンチでは、nidusへの強い集積+周囲骨の反応性変化に淡い集積が見られ、double density signと呼ばれる。
症例 10歳の男児。右下肢痛のため家族に伴われて来院した。
4か月前から誘因なく右大腿部痛が出現したという。痛みは安静時、運動時ともにあり、夜間に増悪する。右下肢の皮膚、筋および関節に異常を認めない。右大腿骨のエックス線検査で異常が疑われたため撮影した両大腿部の単純CTを別に示す。最も考えられるのはどれか。(医師国家試験105D29)
a 骨肉腫
b 類骨骨腫
c 軟骨肉腫
d 骨軟骨腫
e 好酸球性肉芽腫
国家試験の問題です。nidusを指摘して、類骨骨腫が正解です。