頭蓋咽頭腫(craniopharyngioma)とは?

  • 退縮した下垂体〜Rathke管に沿って遺残した扁平上皮から発生する良性腫瘍
  • 成人の原発性頭蓋内腫瘍の約1%、小児では1~3%を占める。
  • 年齢分布は二峰性であり、5-15歳および45~60歳に好発する。性差はない。
  • 頭痛、内分泌機能障害、視覚障害などで発症する。
  • 好発部位は、鞍上部に限局(20%)、鞍上部から鞍内(70%)、鞍内に限局(10%)である。
  • 組織型は、エナメル上皮腫型(adamatmomatous type)扁平上皮乳頭型(squamous-papillary type)が知られている。
  • エナメル上皮腫型が85%を占め、 10歳前後〜若年者に好発し、嚢胞成分が主体であり、大部分が石灰化を伴う。参考)石灰化を来しやすい腫瘍
  • 一方、扁平上皮乳頭型は50歳前後に好発し、充実性成分が主体であり、石灰化の頻度は低いという特徴を持つ。
  • 治療は切除が第一選択であるが、下垂体、視床下部、視神経などに接しているために手術が難しい。再発の頻度がかなり高く,全摘に成功したと考えられていても再発することがある。

画像所見

  • 典型的には鞍内から鞍上部にかけて存在する分葉状の嚢胞性腫瘤として認められ、 増強される壁在結節を有する
  • 結節状あるいは環状の石灰化が特徴的であり、特に小児で高頻度に認められる。
  • 鞍内あるいは鞍上部に限局する頭蓋咽頭腫も見られる。しばしば第三脳室内に進展し、時にSylvius裂内や後頭蓋窩にまで広がる。
  • T1強調像において嚢胞内部は多彩な信号強度を示す(嚢胞内の蛋白濃度や血液の存在による)
  • エナメル上皮腫型は小児および成人の鞍内から鞍上部で認められ、T1強調像で高信号を示す嚢胞性腫瘤として描出されることが多い。
  • 扁平上皮乳頭型は、成人の鞍上部において充実性成分を主体として認められ、嚢胞性成分を伴う時はT1強調像で低信号を示す。
  • T2強調像で視索に沿った高信号の浮腫がみられることがあり、鞍内および鞍上部に発生する腫瘍のなかで、特徴的な所見である。

参考文献)よくわかる脳MRI P148-149

症例 40歳代女性

cranio1cranio2

症例 60歳代男性

craniopharyingioma-ct-findings

鞍上部〜鞍内に低吸収腫瘤あり。石灰化ははっきりしません。

craniopharyingioma-mri-findings1

T1WIで辺縁は高信号、内部は中等度、T2WIで辺縁は低信号内部は淡い高信号。

craniopharyingioma-mri-findings2

造影にて辺縁に造影効果あり。明らかな充実部は認めませんでした。

手術の結果、頭蓋咽頭腫(Craniopharyingioma,papillary type)と診断されました。

頭蓋咽頭腫には2種類あります。

  • エナメル上皮型(5-15歳)は石灰化、嚢胞、充実成分が見られ、
  • 扁平乳頭型(50歳以降)は充実成分が多く認められます。

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