
【頭部】TIPS症例30
【症例】60歳代女性
【主訴】頭痛
スクリーニング
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異常所見は?
脳の萎縮は認めていないのに、両側大脳半球の外側のスペースが目立ちます。
冠状断においても両側大脳半球の外側のスペースが目立ちます。
これは萎縮によりくも膜下腔が拡大しているのではなく、硬膜下水腫を疑う所見です。
参考までに60歳代の正常例と比べてみましょう。
正常例と比べるとその不自然さが明らかですね。
脳溝が非常に狭くなっていて、大脳半球の外側の液体を脳脊髄液とすると不自然であることがわかります。
やはり両側の硬膜下水腫が疑われます。
診断:両側硬膜下水腫疑い(血腫の可能性もあり)
※CTで低吸収であってもMRIを撮影すると血腫であることはありますので、水腫か血腫かはCTのみではわかりません。もちろん明らかな高吸収を示していたり、低吸収であっても脳脊髄液よりは高吸収であれば血腫ということをCTでも言うことはできます。今回は脳室内の脳脊髄液と等吸収(〜やや高吸収?)です。
関連:硬膜下水腫とは?原因、症状、治療、画像診断のポイントは?
【頭部】TIPS症例30の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
脳表の脳溝狭小化は、硬膜下水腫(血腫)を疑う重要な所見ですね。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。年齢を確認し、不自然な狭小化がないかをチェックすることが大事ですね。難しいこともありますが・・・。
水腫か血腫かは慎重に判断すべきと言うことですね.
両側の硬膜下血腫の症例を見たことがありますが,このような水腫から発展した形だったのかもしれませんね.
アウトプットありがとうございます。
>水腫か血腫かは慎重に判断すべきと
そうですね。CTだけでは判断できないことがあります。つまり、水腫だろうと思ってMRIを撮影したら血腫だったということがあるということです。
>両側の硬膜下血腫の症例を見たことがありますが,このような水腫から発展した形だったのかもしれません
ですね。その可能性はあります。いきなり血腫のこともありますが、経時的に撮影していればもとは水腫だったのかもしれませんね。
今回は頭蓋内が圧排されている感じがするので答えやすかったです。
水腫と言ってしまいたくなりますが、これでもMRIを撮るまでは分からないのですね。
アウトプットありがとうございます。
>水腫と言ってしまいたくなります
このCTだけでは水腫と言っていいと思います。しかし実際は血腫の場合もあるということを知っての上でならです。
慢性硬膜下水腫と脳萎縮を区別しようと考えたことがなかった(数例前に出てくるまで)ので、今回復習もかねて印象に残りました。手術することもあるということで(希少ということですが)これまでより注意深く見ようと思います。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>慢性硬膜下水腫と脳萎縮を区別しようと考えたことがなかった(数例前に出てくるまで)ので、今回復習もかねて印象に残りました
それはよい提示ができてよかったです。実際CTではどちらなのか悩ましい症例もあります。
「水腫もしくは萎縮」と判定せざるを得ないこともあるのですが、まずは両者を区別しようとすることが大事ですね。
今日もありがとうございます。
CT値が脳脊髄液に比べてやや高く感じたので血腫もあるのかと悩みました。CTだけだと判断は難しいですね。
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるようにCTだけだと判断は難しいですね。
こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。
正常例と比べると違いがよくわかりますね。
「硬膜下水腫or血腫、萎縮」のどれか、という曖昧な回答をしてしまいましたが、脳溝の狭小化である程度は鑑別できるのですね。
アウトプットありがとうございます。
>脳溝の狭小化である程度は鑑別できるのですね。
そうですね。難しい場合もありますが、萎縮が目立たないのにアンバランスに脳溝が狭そうな場合は違和感を覚えましょう。
両性硬膜下水腫っぽい画像だなと思いつつも、CTで判別がつくのか分からず、全然違う回答をしてしまいまいした。
後頭葉にある小さな高吸収域はなにによるものでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>両性硬膜下水腫っぽい画像だなと思いつつも、CTで判別がつくのか分からず、全然違う回答をしてしまいまいした。
確かに高齢者で萎縮が強い方の場合はCTだけでは、萎縮なのか硬膜下水腫なのかわからないこともあります。
その場合は、左右差や過去画像なども考慮しますが、それでも判別できない場合は硬膜下水腫の可能性ありと記載しています。
脳表の血管の様子はやはりMRI中でもT2WIがわかりやすいです。
>後頭葉にある小さな高吸収域はなにによるものでしょうか。
石灰化がありますね。
先日やったように生理的石灰化が生じる部位ではありませんが、腫瘍などが存在する様子もありません。
何による石灰化なのかは不明ですが、もしかしたらold Tbなどによるものなのかもしれません。
非特異的石灰化です。