
【頭部MRA】症例23
【症例】60代男性
画像はこちら
一見何もないように見えますが、両側の椎骨動脈(VA)の間に淡い高信号があるように見えます。
(両側椎骨動脈の左右にも淡い高信号は見られますね。→下のその他の所見を参照ください。)
元画像で見てみますと、やはり両側の椎骨動脈(VA)の間に11mm大の腫瘤状構造を認めていることがわかります。
MIP像だけでなく、元画像もちゃんと見ておいてよかったですね!
右辺縁優位にやや高信号となっています。
腫瘤は右の椎骨動脈(VA)と連続性を持っていることがわかり、動脈瘤であることがわかります。
T2WIにおいても大半が低信号の腫瘤状構造として同定することができます。
診断:右椎骨動脈瘤
このようにサイズが大きな動脈瘤の場合、動脈瘤内で
- 乱流が生じている
- 血栓・線維化が形成されている
ことにより、高信号として描出されないことがありますので、MIP像だけ見て見落とさないように注意が必要です。
関連:巨大脳動脈瘤の画像診断(giant aneurysm)
その他所見:両側下錐体静脈、S状静脈洞に静脈の逆流によるMRAでの高信号あり(偽病変)。症例17で取り上げたものです。
【頭部MRA】症例23の動画解説
動画の中で、血管造影がないと言っておりますが、5年前にされていました。
【血管造影レポート】
VA fusiform AN(紡錘状動脈瘤)を認める。
形状からは一部血栓化の可能性もあるか。
ANはjust distal of PICA
Rt.OA(後頭動脈)はRt.VA(椎骨動脈)より分岐している。
他部位に明らかなANなど血管病変を認めず。
VA fusiform AN(紡錘状動脈瘤)を認める。
形状からは一部血栓化の可能性もあるか。
ANはjust distal of PICA
Rt.OA(後頭動脈)はRt.VA(椎骨動脈)より分岐している。
他部位に明らかなANなど血管病変を認めず。
右椎骨動脈から連続する動脈瘤を認めています。
動脈瘤は右後下小脳動脈(PICA)分岐直後に認めており、血管造影で見ると確かに紡錘状に見えます。(動画内では嚢状と言っていますが)
この5年前からサイズなど大きな変化がなく、フォローされています。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
MIPではわかりにくいものですね。T2⇒MRA 3D⇒MIPの順に見ているので気づきましたがMIPだけだったら落としていたかもしれません。はずかしい話ですがT2を一周見た時、落としていました。なんかあるなー!って思わないといけないので反省です。
アウトプットありがとうございます。
>T2⇒MRA 3D⇒MIPの順に見ているので気づきましたがMIPだけだったら落としていたかもしれません。
そうなんです。MIP像だけ見ていると痛い思いをするタイプの動脈瘤ですね。
いわゆる好発部位ほどではないですが、PICA起始部も動脈瘤が多いと脳外Dr.から聞きました。なので当院の健診の頭部MRAでは、PICAの起始部を含めるよう言われています。
アウトプットありがとうございます。
>PICA起始部も動脈瘤が多いと脳外Dr.から聞きました。
そうですね。おっしゃるように頻度は高くないですが重要ですね。
この症例の動脈瘤は1つですが、目立つ動脈瘤を見つけると、そこばかりに目がいってしまいがちです。なので、「複数ある動脈瘤を見逃さないように!」と注意しています。
アウトプットありがとうございます。
>「複数ある動脈瘤を見逃さないように!」と注意しています。
そうですね。10%は多発すると言われていますからね。
1つあればそこで満足しないことが重要ですね。(と自分に言い聞かせながら書いています。)
他の方もおっしゃるようにMIP像のみでは見逃ししそうでした.
大きければ見つけやすいというものでもないということが難しいですね.
アウトプットありがとうございます。
>大きければ見つけやすいというものでもない
そうですね。むしろ大きいものほど見落としやすい傾向にありますね。
何でこんな大きな動脈瘤が見落とされたのだ?という場合はMIP像のみしか見ていない場合が多いと思われます。
こんばんは。
「異常は?」という御質問だったので、「どこかしらに異常があるもの」という先入見を持って読影にあたれました。ですので、MIP像でもなんとか指摘はできました(ただしMIP像だけでは、VAの左右どちらと繋がっているのかまではわからなかったです)。
しかし、もし何も前情報がない状態で読影していたら、おそらく見逃していただろうと思います。その点では、必ず元画像やT2
WIがあったらそれも比較しつつ読影する癖をつけなければならないという教訓を得ました。
アウトプットありがとうございます。
>もし何も前情報がない状態で読影していたら、おそらく見逃していただろうと思います。
前情報がなければ、MIP像だけではわかりにくいですね。
>元画像やT2WIがあったらそれも比較しつつ読影する癖をつけなければならない
そうですね。サイズが大きいものはT2WIで気づけるのですが、T2WIで血管も評価できると分かっていないと見逃す可能性があるので、その点を覚えておくことが大事ですね。
動脈瘤を疑っていましたが、淡い像だったので気がつきませんでした。回答にも(間違っていましたが)書いたのですが、左内頸動脈が MIP画像で中心部に線状部分があり MRA元画像でC1内部にかなり明瞭に隔壁様の線状像を認め、左内頚動脈解離を疑ったのですが、この線状の部分は artifactなのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>MRA元画像でC1内部にかなり明瞭に隔壁様の線状像を認め、左内頚動脈解離を疑ったのですが、この線状の部分は artifactなのでしょうか?
この部分は前後方向を血管が向いているのでこのような線状影が出ていますね。乱流ではないですが、上下方向を向いていないための信号ですね。
MIPでは分かりませんでした。
元画像とT2WIでよくわかりましたが、動脈瘤ではなく解離ととってしまいました。
低信号が解離腔なのかと思いました(^_^;)
血栓や乱流であのように見えるのですね、勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
>血栓や乱流であのように見えるのですね、勉強になりました。
MRAは血流の流れを画像にしているので、流れが下から上方向ではない乱流などが起こっているサイズの大きな動脈瘤ではMRAだけではサイズを過小評価してしまうため注意が必要ですね。
BPASは今回ないですが、あれば全体像がわかりますね。
MIP像だけでは気がつきませんでしたが、T2をみて異常所見に気がつき、再度MIP像を、見直すとモヤモヤとした影を見つけることができました。
見つけられましたが、T2で血管内に解離があると思い込んでしまいました。
血流が動脈瘤のなかで、乱れるとMIP像に出にくくなるのはとても勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
>血流が動脈瘤のなかで、乱れるとMIP像に出にくくなるのはとても勉強になりました。
MIPも元画像でも高信号として見えにくくなるので、注意ですね。
あくまで血流を画像化しているだけなので、MRAで狭窄ありに見えたけれども、実際アンギオやCTAでは有意な狭窄はなかったということもあります。
過大評価(狭窄)にも過小評価(動脈瘤のサイズ←今回)にも注意ですね。
MIPでは違和感程度しかわからなかったですが、元画像やT2WIをみることで異常だと確信はできました。
右椎骨動脈と連続していることは分かったのですがこれを動脈瘤だとははっきりはわからなかったです。大きいサイズだとこのように見えることもあるのだと勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
>大きいサイズだとこのように見えることもあるのだと勉強になりました。
大きい=見逃しにくいわけではない、というのが動脈瘤ですので覚えておいてください。
MIP像のみしか見ていなくて大きな動脈瘤を見落として後々問題となるという事例も見たことがあるので注意しましょう。
大変お世話になり、ありがとうございます。
いい加減な読影をしているがわかり恥じております.
右椎骨動脈解離性動脈瘤としてしまいました.
右A1遠位が重複しているように見えますが如何でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>右A1遠位が重複しているように見えますが如何でしょうか?
A2はクロスしていますが、重複はしていないと思われます。