症例39 解答編

症例39

【症例】40歳代女性
【主訴】昨晩より強い下腹部痛が続く
【身体所見】下腹部に圧痛、反跳痛あり。
【データ】WBC 18100、Hb 8.4、CRP 3.83

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腹部造影CTです。

骨盤内に巨大な腫瘤性病変を認めています。

造影CTなのですが、子宮と比較して造影効果が不良であることがわかります。
子宮の背側には漿膜下子宮筋腫を認めており、これと比較しても造影効果は不良です。

よく見ると子宮と連続する索状物を認めています。

  • 造影効果不良→虚血に陥っている
  • 子宮と連続性のある腫瘤性病変→漿膜下子宮筋腫

と考え、漿膜下子宮筋腫の捻転が疑われます。

有茎性子宮筋腫茎捻転(漿膜下子宮筋腫の捻転)の画像所見としては、以下のものがあります。

続いて矢状断像です。

矢状断像においても同様です。子宮との連続性があることがわかります。

MRIが撮影されました。

T2強調像の矢状断像で、腫瘤は低吸収域であり、典型的な子宮筋腫の像を呈しています。

子宮との間に索状物で連続性があるようにみえ、beak signを認めており、捻転が疑われます。

造影脂肪抑制T1強調像のサブトラクションの横断像です。

子宮の造影効果と比べて、子宮腹側の筋腫の造影効果がほとんどないことがわかります。
子宮と連続している索状構造にも造影効果を認めていません。

漿膜下子宮筋腫の捻転と診断され手術となりました。

診断:漿膜下子宮筋腫の捻転

※婦人科コンサルトが必要となります。手術の結果、漿膜下子宮筋腫が反時計周り270度捻転していました。

子宮筋腫の種類

子宮筋腫には、

  • 筋層内子宮筋腫(最多)
  • 漿膜下子宮筋腫
  • 粘膜下子宮筋腫

の3種類があり、今回のように捻れてしまう(捻転する)ことで急性腹症を起こすのは、漿膜下子宮筋腫です。

ちなみに、急性腹症の原因となる子宮の疾患としては、今回の漿膜下子宮筋腫の捻転の他、子宮筋腫の赤色変性があります。

関連:

その他所見:

  • 右胸水あり。
  • 左腎嚢胞あり。
  • 腹水貯留あり。
症例39の動画解説

子宮筋腫茎捻転について

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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