
症例47
【症例】40歳代女性
他院CTで左副腎腫瘍が指摘され、当院にてMRI撮影となった。
他院CT画像はこちら
当院MRI画像はこちら
一つ前の症例46と全く同じシチュエーション(他院CTで副腎腫瘍を指摘され、当院でMRIが撮影された)ですね。
左の副腎に明らかな脂肪濃度を有する腫瘤を認めています。
前回の症例と異なり、皮下脂肪や内臓脂肪と比較してほとんど差がない程度の脂肪濃度であることがわかります。
副腎腫瘤に対するフローチャートは以下の通りでした。
すなわち単純CTでのCT値が重要なのでした。
CT値を測定すると、平均のCT値で-65(HU)<<15HUとマイナスになっており、脂肪濃度であることがわかります。
また塊状の脂肪を含んでおりますので、これで骨髄脂肪腫と診断することができます。
MRIでは、in-phaseからopposed-phaseにかけて信号低下を認めて「おらず」、周囲の皮下脂肪や内臓脂肪と同じパターンの脂肪の塊であることがわかります。
脂肪を含有していても脂肪の塊の場合は、in-phaseからopposed-phaseにかけて信号低下を認めないのでした。この点が副腎腺腫とは異なるので注意が必要ですね。
ちなみに肝臓は一部で信号低下を認めており、まだら脂肪肝であることがわかります。
診断:左副腎骨髄脂肪腫
※頻度としては、副腎腺腫の方が圧倒的に多いです。
その他所見:まだら脂肪肝あり。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
症例と回答が異なる患者のものかもしれません。申し訳ございませんがご確認お願いいたします。
申し訳ありません。私の勘違いでした。右の腎嚢胞を見て嚢胞だといっていました。失礼いたしました。
よくわからないですが、勘違いならよかったです。
たまに誤植がありますので、その場合はコメント欄ではなく、radiologycafegoro@gmail.com までこっそり教えていただけると幸いです(^▽^)
当然副腎腫瘍の鑑別自体の勉強にもなりますが、前回と同様に、opposed phaseとin phaseの低下についてより理解が深まった気がします。
脂肪の含有か、塊かで明らかに信号が変わるのですね。まだら脂肪肝もある方で、勉強しやすい症例になっていますね(^▽^)/
アウトプットありがとうございます。
>脂肪の含有か、塊かで明らかに信号が変わるのですね。
おっしゃるとおりです。
>まだら脂肪肝もある方で、勉強しやすい症例になっていますね(^▽^)/
そこを狙ってこの症例を選びました(嘘)
別の方と同様、副腎腫瘍だけでなくin-oppの見方について大変勉強になりました。
腹部でのin-oppは、微細な脂肪成分の有無や腫瘍浸潤の境界確認などで重要なイメージがあり、いつも読影に関わってくるシーケンスだと感じます。
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるとおりですね。なかなか低下の判断に限界もあることもありますが。
実際に骨髄脂肪腫は見たことはありませんが(今回が初めてですが)…画像所見は特徴的ですね。とは言っても、油断は禁物ですので、脂肪腫や特に脂肪肉腫の確認は大事にしたいと思います。
>油断は禁物ですので、脂肪腫や特に脂肪肉腫の確認は大事にしたいと思います。
おっしゃるとおりですね。悪性の除外を考えることは常に重要です。
一つ前の症例に回答できなかったため、、、という言い訳を前提として(^^ゞ
最初、MRI画像で脂肪腫にしか見えないと思ったのに混じりけのあるのう胞なの?なんて考えて変な回答しちゃいました。
やはり、第一印象は大事にしたいですね(とらわれすぎは拙いですけど・・・)
精進します。まだら脂肪肝については指摘できました。
>第一印象は大事にしたいですね(とらわれすぎは拙いですけど・・・)
このあたりは難しいところでもありますね。
いろいろなシークエンスを見て、総合的な判断が必要ですね。
副腎の読影は機会がほとんどないこともありすごく苦手です.これをきっかけに基本解剖から勉強し直したいと思いました.
頻度は腺腫が多いので、腺腫の診断をまずは身につけてみてください。
こんばんは!
脂肪肝の肝組織も霜降り状に脂肪が含まれていると考えれば、in phase→opposed phaseで信号低下をきたすのも理解できると便宜的に解釈いたしました。
MRIは詳しい原理はとうてい理解でそうにありませんが、なんとなくこういうものだからこういうふうに使うんものだ、とわりきって活用するのも大事なのかなぁと最近思い始めました!(例えばメカの詳細な知識がなくても私たちが車を運転できるようになるのと同じなのかななぁと思ったりしました!)
アウトプットありがとうございます。
>脂肪肝の肝組織も霜降り状に脂肪が含まれていると考えれば、in phase→opposed phaseで信号低下をきたすのも理解できると便宜的に解釈いたしました。
おっしゃるとおりですね。
>MRIは詳しい原理はとうてい理解でそうにありませんが、なんとなくこういうものだからこういうふうに使うんものだ、とわりきって活用するのも大事なのかなぁと最近思い始めました!
読んだとおっしゃっていた、「MRIに絶対強くなる撮像法の基本Q&A」にも、
T1・T2強調画像の説明で、
体内の組織はMRI装置を使えば、T1、T2というものが
計測できて、それらを強調した画像がそれぞれ、
T1強調画像
T2強調画像
である。
という理解でまずはよいと記載があります。
縦緩和、横緩和がそれぞれT1,T2ですが、そこもそういうものなのだと割切るしかないですね。
>メカの詳細な知識がなくても私たちが車を運転できるようになるのと同じなのかななぁと思ったりしました
そうですね。
そんな感じですね(^_^;)
肝内の血管が見えず、脂肪肝かなぁと思いましたが、実際、まだら脂肪肝とのことなので読みが当たって嬉しかったです。
T2WIの横断像4~5枚目で、下大静脈付近に見える高信号を呈す嚢胞性病変は肝嚢胞ですか? 私はこれが副腎病変と思ってしまいました^^;
でも今思うと、“右副腎は下大静脈が肝に入るレベルにあり、下大静脈をおたまじゃくしの頭とすれば,右副腎は尾の部分”だと書いてあるので、副腎と考えるには少々離れすぎですね。。
アウトプットありがとうございます。
>T2WIの横断像4~5枚目で、下大静脈付近に見える高信号を呈す嚢胞性病変は肝嚢胞ですか? 私はこれが副腎病変と思ってしまいました^^;
肝外にありそうで冠状断像と併せて腎嚢胞ぽいですね。
MRIオンチですが、in phase とout of phase(opposed phase)での信号の変化の違い、それはまだら脂肪か脂肪の塊の鑑別、副腎腫瘍では前回の腺腫と今回の骨髄脂肪腫をよく頭に入れておきます。
初めの一歩は副腎腫瘍そのものに気付くことからですが。
アウトプットありがとうございます。
専門科にもよりますが、in phase とout of phase(opposed phase)では、日常臨床では、脂肪肝、副腎腺腫の2点が分かればまずはOKだと思います。
いつも貴重な症例をありがとうございます。
前回と今回で副腎腫瘍とChemical shift imagingの知識が深まりました。
因みにですが、呈示のMRIはボースデル内服されてます??
アウトプットありがとうございます。
>呈示のMRIはボースデル内服されてます??
胃内の液体がT2WIで低信号化していますので、おそらく内服していると思います。
確認しましたがやはり内服しています。