
症例44
【症例】50歳代男性
肺癌術後フォローのCT
画像はこちら
血管奇形が存在しますが、どんな血管奇形ですか?
一見異常に気付きにくいかも知れませんが、石灰化壁があり、円形の大動脈が右側にあり、やや扁平な形をした下大静脈が左側にあります。
本来の位置と逆ですね。
あれ、そうだっけ?という方は腹部画像診断ツールでご確認ください。
冠状断像においてもやはり下大静脈が大動脈の左側にあり、左腎静脈に合流した後に本来の右側に移動している様子が分かります。
血管奇形の一つであり、見た目そのまま左下大静脈と言います。
正常例と左下大静脈の場合の血管の走行の違いは以下のようになります。
診断:左下大静脈
いずれも単純CTですが、左下大静脈の2症例もチェックください。
症例44参考症例① 50歳代男性
症例44参考症例② 70歳代女性
その他所見:
- 肝嚢胞あり。
- 主膵管やや目立つ。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
重複下大静脈の後なので、比較的すぐに気づきました(^▽^)/
これも知っていないと違和感なく通りすぎそうです…
気付きましたか・・・。
>これも知っていないと違和感なく通りすぎそうです…
ですね。血管を追う習慣がないと見落としますね。
左下大静脈は言い方を知らなかったです。いつも勉強になります。
聞いたことなければ用語は出てこないかも知れませんね。
この機会に覚えておいてください。
重複下大静脈同様、左下大静脈の時も静脈フィルタ−を留置する際は気をつけたいと思います。
>静脈フィルタ−を留置する際は気をつけたい
ですね。この際には重要な注意するべき血管奇形となりますね。
なんとか気付きましたが
血管奇形は?
と聞かれないとわからない症例でした、
名前もついているんですね。
本当に勉強になります。
アウトプットありがとうございます。
>血管奇形は?
と聞かれないとわからない症例でした、
ですね。なかなか気付かないかもしれません。
ほとんど病的意義はないのかもしれませんが,このような患者さんがいるということは普段から意識しておかないといけないところだなと思いました.
病的意義はあまりありませんが、
・カテーテル治療などの際に奇形を把握しておく必要がある。
・深部静脈血栓症に対する下大静脈フィルター留置では通常フィルターを腎静脈分岐部直下に置きますが、左下大静脈では左下肢からの血栓を捕獲することができない。
といった点で重要となりますね。
大動脈弓レベルで、縦隔右側から気管の後ろを通っていく目立つ血管はなんの血管でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
奇静脈ですね。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/4691
重複下大静脈はフィルターを置くときに注意が必要ですが、左下大静脈は腎静脈下において、左右の大腿静脈からの血栓は補足できると思うのですが。。。 左下大静脈でも色々なタイプがあるのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>左下大静脈は腎静脈下において、左右の大腿静脈からの血栓は補足できると思うのですが。。。
おっしゃるようにできますね(^_^;)
>左下大静脈でも色々なタイプがあるのでしょうか?
できないのは左右に下大静脈が存在する重複下大静脈ですね。
この場合も左に置けば左の血栓は捕獲できますが。
いつも貴重な症例をありがとうございます。
以前若い先生が大腿静脈からIVHカテーテルを挿入し、ポータブル撮影をした画像を見て動脈挿入してしまったかと慌てていました(笑) 。CT画像を供覧しながら、挿入時の状況(エコー下穿刺、生食後押し、滴下など)を振り返り、安堵されていたのを思い出しました。
同じような理由で左上大静脈遺残persistent left superior vena cavaがありますね。併せて記憶しておきたいところです。
アウトプットありがとうございます。
>以前若い先生が大腿静脈からIVHカテーテルを挿入し、ポータブル撮影をした画像を見て動脈挿入してしまったかと慌てていました(笑)
大腿動脈に入れたいときになかなか入らないことがありますが、
大腿静脈に入れたいときになぜか動脈ばかりに入ることもありますね(^_^;)
>同じような理由で左上大静脈遺残persistent left superior vena cavaがありますね。併せて記憶しておきたいところです。
そうですね。ありがとうございます。
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