【腹部TIPS】症例40 解答編

症例40

【症例】50歳代男性

膵炎の既往あり、スクリーニング。

画像はこちら

今回はCT画像はなく、MRIの画像のみとなります。

 

まず本来、上のイラストのように総胆管は膵管と癒合し、合流してVater乳頭から十二指腸へと流れるのが正常です。

今回の症例はどうでしょうか?

主膵管と総胆管を追うと、主膵管と総胆管は合流することなく、それぞれ十二指腸に開口している様子が分かります。

MIP像でその様子は明瞭です。

これを膵管癒合不全とか膵管非癒合といいます。

 

診断:膵管癒合不全(divisum)

 

なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?

 

症例31の膵臓の脂肪置換でも見たように、

膵臓は

  • 腹側膵→膵鉤部と膵頭下部
  • 背側膵→膵頭上部から頚部、体部、尾部

と発生原基が異なることが知られています。

膵管も腹側膵由来と背側膵由来があり、それらが癒合し、以下のようになります。

そして、副膵管(Santorini管)は細くなったり、萎縮してしまうのが通常です。

そして上の様に、膵管はWirsung管を経て、Vater乳頭に開口するのが通常となります。

膵管癒合不全とはこの背側膵由来の膵管と、腹側膵由来の膵管がそもそも癒合しなかったということです。

そして、

  • 背側膵由来の膵管と、腹側膵由来の膵管が全く癒合していない=完全型
  • 背側膵由来の膵管と、腹側膵由来の膵管が癒合しているけど、副膵管(Santorini管)が残っている=不完全型

に分けることができます。

今回の症例では、全く癒合していないので完全型ということになります。

 

診断:膵管癒合不全(divisum)完全型

 

関連:膵炎の原因となる膵管癒合不全(divisum)の画像診断は?

ちなみにMRCPの正常例も3つ提示しておきます。
膵管の開口部の違いを見てみてください。

症例① 60歳代男性

症例② 70歳代女性

症例③ 50歳代男性

その他所見:

  • 肝内胆管拡張軽度あり。
  • 肝嚢胞あり。
  • 膵鉤部に微小嚢胞あり。
  • 腎嚢胞あり。
  • 胆のう腺筋腫症あり。→参考:症例34

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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