
症例26
【症例】60歳代 男性
【主訴】胃もたれ
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食後でないのに胃内に残渣がある。どうして?
胃は部分切除後で、幽門側が切除され術後のペッツが残っています。
胃内に内部にair bubbleを有する残渣を認めています。
食後ではないのになぜでしょうか?
上部消化管内視鏡検査が施行されました。
すると胃内に粗大な腫瘤を認めています。
実は、胃術後の合併症の一つに、胃石があります。
胃の手術により、胃の運動の低下、胃酸・ペプシン分泌低下による消化作用の低下が起こることがあり、それが原因となり、胃で食べ物が停滞してしまうために起こります。
今回もCT所見と合わせて胃石と診断されました。
診断:胃石
とても内視鏡で取り出せるサイズではありませんので、手術も治療方針の一つに挙げられますがまずは、
- コカコーラ療法
が試されました。
シャレでも冗談でもなく、本当にコカコーラを用います。
植物胃石に対しては、コカ・コーラで胃洗浄をして改善されたという報告1)があります。
鰐口鉗子で胃石に穴を開け、散布チューブを押し込みコカコーラを注入し、ペースト状になったところで再度コカコーラを胃内に注入しました。
治療から8ヶ月後のCTです。
8ヶ月後のCTでは胃石のサイズかなり小さくなっていることがわかります。
また、胃もたれの自覚症状も消失したとのことです。
このコカコーラ療法の注意点としては、細かくなった胃石が異物として、腸閉塞を起こす原因となることがある点です。
今回はそのようなことにはなりませんでした。
その他所見:
- 肝嚢胞散見。
- 横行結腸からS状結腸にかけて壁肥厚あり。(ただしこちらの症状はなく有意でない可能性)
参考:
1)Eur J Gastroenterol Hepatol 14:801-803,2002
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
いろんな意味で面白いですね笑 ちょっと漁っちゃいました(^▽^)/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/56/9/56_3340/_pdf
①内視鏡的な破砕が硬さなどで困難な例に対して行われる方法である。
②なぜ溶けるのかはまだよくわからないけど、炭酸のシュワシュワが関係していそう(ダイエットコーラでも、コーラでなくてもOKだけど、歴史的にも「コカ・コーラ」が使われていることが多い)。
③この方法だけに固執しないでね(^^♪
だそうです(^▽^)/
経験的にずっと行われてきたことが今もちゃんと治療選択肢の1つになっている。時々、民間療法ってバカにできないなと思います。
アウトプット+調べて頂きありがとうございます。
ダイエットコーラでいいならば、そちらの方がよさげですね。
>経験的にずっと行われてきたことが今もちゃんと治療選択肢の1つになっている。時々、民間療法ってバカにできないなと思います。
ですね。evidenceは大事ですが、西洋医学のみに固執してしまうのもどうなんだろうと思うこともあります。
お世話になっています。
「S状結腸から横行結腸にかけて浮腫状の壁肥厚、ハウストラ消失。」と考えたのですが、正常範囲なのでしょうか?
おっしゃるように、S状結腸から横行結腸にかけて浮腫状の壁肥厚がありそうですね。
ただし症状がなかったので有意ではないのかもしれません。所見としては指摘したいところですね。
胃石なんですね〜
胃術後はわかりましたが…
残渣かと思いました。
この様な大きな胃石は初めて見ました。
胃石もいろいろあるのですね。
今回も、勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
食後でないのに残渣があると言うことがポイントですね。
頻度は多くないですが勉強になってよかったです。
同じく胃切除後であることは分かりましたが、吻合部狭窄や通過障害で残渣が残っていると思ってしまいました。
勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
胃石という概念もあるということを知っておいてください。
いやー、初見のCTでは、あそこの画像が何かしらおかしいと見えていたんですが、ペッツとは。専門外なのでまたここで勉強させて頂きます。
手術のあとでよく見られる所見ですね。
胃石と検索すると、「胃石 コーラ」が予想変換で出てきました。
当然、ここにも記載されているように本来はしっかり内視鏡で注入しなければいけないのですが、
このご時世なので「コーラが治療に使われること」だけが一人歩きしてしまったらいやですね(^^;
まあそうですが、そんなに頻度の高い疾患ではないと思いますので、そこは大丈夫かと思います(^_^;
いつもお世話になっております。
臨床現場で見られる特徴的な所見を取り上げて解説していただけて大変勉強になっております。
最近症例数が増えてきたため、画像所見の復習をしようと思った時にどの症例か素早く探すことが困難になってきてしまいました。
もし症例の一覧のようなものがあれば頂きたいのですが、難しいでしょうか。
忙しい所申し訳ございませんが、宜しくお願いします。
a-z(症例1−26)のリストはこちらでアンケートにお答えいただいた方に配布しております。
今後販売することも考えております。
いつまでこのコメント欄で公開するかは今のところ未定です。
よろしくお願いします。
https://radiologycafe.jp/p/r/rkHmXp0i
※いただいたアンケートの内容は、ペンネーム、ご職業とともに参加者の声として掲載させていただく場合がありますのでご了承ください。
ありがとうございます!
早速回答させていただきます。
吻合部狭窄が原因ですから、何度も繰り返しますね。再手術するよりは、コカコーラでとかしたほうが、からだには負担が少なくて良いでしょうかね。
食事量が減って、栄養障害を招き、フレイルが早くくることが心配ですが、
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるように繰り返す可能性はありますね。
おつかれさまです。
石と聞いて、技師としてはあれこれしたくなります。WLいじってみるとかCT値測るとか。
でもおそらく見た感じガシガシの石灰化ではなさそうなので、あまり意味はないのでしょうか。残渣の塊?ということですよね。
アウトプットありがとうございます。
>ガシガシの石灰化ではなさそうなので、
ですね。胆石や尿管結石とはタイプが異なりますね。
>残渣の塊?ということですよね。
ですね。食べ物が残って固まったものです。