【頭部】症例4  解答編

【頭部】症例4

【症例】50歳代女性
【主訴】頭部打撲
【現病歴】駅の階段を降りていたところ、10段目くらいから前方によろけ、最後の2段の高さから転落。本人に転落の記憶なし。
【身体所見】JCS:Ⅰ-2、GCS:E4V5M6、puil:3.0/3.0、light reflex:+/+、BP 150/96、P 81、SpO2 100%(RA)、BT 35.8℃、外表所見上、右前額部にテニスボール大の皮下血腫あり、耳鼻出血認めず。

画像はこちら

まず目立つ所見として、右の前頭側頭部に皮下〜帽状腱膜下血腫を認めています。
※皮下血腫なのか、帽状腱膜下血腫なのかは画像では鑑別が困難で、臨床上も区別する意味はないのでまとめて皮下血腫でもよいと考えます。

同部が受傷部ということなります。

受傷部の前頭葉の脳溝および反対側の側頭葉の脳溝沿いに高吸収を認めており、血腫を疑う所見です。

脳溝を縁取るような分布であり、外傷性くも膜下出血を疑う所見です。

また、両側のSylvius裂にも高吸収を認めています。

血腫は反対側で頭側に脳溝沿いに広がっている様子がわかります。

冠状断像においてもSylvius裂や脳溝沿いに血腫が広がっている様子がわかります。

少しわかりにくいですが、見えるべきSylvius裂が見えないのは異常所見です。

症例3でも見たように受傷部の損傷を直接損傷(coup injury(読み方はクー インジャリー))といい、受傷部と反対側の損傷を対側損傷(contrecoup injury(読み方はコントラクー インジャリー))といいます。

今回は、外傷性くも膜下出血を直接損傷・対側損傷ともに認めているということです。

直接損傷・対側損傷は外傷性くも膜下出血に限らず

  • 脳挫傷
  • 急性硬膜下血腫

を認めることがありますので、それらがないかをチェックすることが重要です。

今回は、脳挫傷を示唆するような脳内出血や硬膜下血腫は認めませんでした。

また、今回骨折線も認めませんでした。

診断:外傷性くも膜下出血

※保存的に加療され、血腫は消失しました。

受傷後10日後のフォローのCTです、外傷性くも膜下出血はほぼ消失しています。

関連:外傷性くも膜下出血の症状、CT画像診断まとめ!

【頭部】症例4の動画解説

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