
症例81
【症例】30歳代 女性
【主訴】特になし
【現病歴】漿膜下子宮筋腫でフォローされている。
【データ】WBC 4900、CRP 0.01
画像はこちら
3ヶ月後フォローされました。
どういった疾患を考えますか?
虫垂は径が1cm大と腫大しており、壁の造影効果増強を認めています。
虫垂炎を疑う所見ですが、症状がなく、採血上も炎症反応を認めていません。
3ヶ月後フォローされました。
フォローのCTでは虫垂は最大径1.3cmとさらに腫大し、壁の造影効果増強も残存しています。
このように虫垂炎を疑う臨床所見はないのに虫垂の腫大を認めている場合に考えなければならないのが、虫垂粘液腫(appendiceal mucocele)です。
診断:虫垂粘液腫(appendiceal mucocele)疑い
※外科で手術(腹腔鏡下盲腸切除術)が施行されました。
虫垂内腔には粘液塊を認めており、粘液腫を疑う所見です。
病理学的に、低異型度粘液産生性腫瘍(low-grade appendiceal mucinous neoplasm)と診断されました。
関連:虫垂腫瘍の画像診断(虫垂粘液腫、appendiceal mucocele)
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
下大静脈閉塞のように見えますがどうですか?
アウトプットありがとうございます。
下大静脈にまだ造影剤が到達していないタイミングであり、閉塞ではありません。
この症例ではありませんが、深部静脈血栓の有無をチェックする場合も、適切なタイミングで撮影しないと評価ができない点にも注意が必要ですね。
炎症反応がなければ、虫垂を詳しくみることがほとんどなかったのですが、こういった症例があることを初めて知りました。これから注意しながら見ていきたいと思います!!
アウトプットありがとうございます。
>炎症反応がなければ、虫垂を詳しくみることがほとんどなかったのですが、
腹痛や炎症反応がなければ、なかなか目が行かないかも知れませんが、不自然に腫大する虫垂を見た場合はこの疾患も考えてください。
虫垂炎を疑う臨床所見がなくても、虫垂は常にチラ見するようにしましょう。
肝臓と脾臓の境界が不明瞭で一塊になっている印象ですが、これは病的意義はないのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
若い方でやや肝臓が大きくて脾臓との境界が分かりにくくなっておりますが病的意義はありません。
ダイナミックCTを撮影すれば早期相などでは境界は明瞭になります。
右卵巣?内の造影効果が変化しているように見えるのですが、何か病的な変化なのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>右卵巣?内の造影効果が変化しているように見える
こちらは黄体のう胞の状態ですね。
黄体のう胞はこのようにリング状に造影されます。
関連
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虫垂粘液腫大変勉強になりました。
症状は不明ですが、ナッツクラッカー症候群?は、とってよろしいですか?
アウトプットありがとうございます。
>症状は不明ですが、ナッツクラッカー症候群?は、とってよろしいですか?
左の卵巣静脈が拡張しているわけでもありませんし、この画像だけでは何とも言えませんね。
虫垂に目がいかなかったですね。勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
右下腹部痛という主訴がないとなかなか目が行かないかも知れませんが、丁寧に下部消化管を追うか、虫垂を少しでも意識して読影すると引っかけられます。
まったくわかりませんでした
肝臓の大きさに引っ張られました
アウトプットありがとうございます。
肝臓の大きさに目が行く方が多いですね(^_^;)
右下腹部などのヒントを追加するべきだったかもしれませんね。
少量の腹水と虚脱した卵胞をみて黄体出血としてしまいました。
黄体嚢胞だと破裂後なのでこのくらい虚脱しても良いと考えて良いのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
腹水は膀胱内の尿と比較して高吸収ではないので、生理的腹水で説明可能ですね。
黄体のう胞はこれくらい虚脱することはよくありますね。