虫垂同定ブートキャンプ延長戦 症例2
【症例】70歳代 女性
スクリーニング
画像はこちら
※今回、先入観なく見ていただきたかったので、病歴をあえて隠していましたが、以下の主訴や病歴がありました。
【主訴】血便
【現病歴】左鼠径部リンパ節腫大にて当院紹介。生検にて濾胞性リンパ腫(FL)と診断。GB療法1コース目施行目的に入院中。2年前より血便あり。
【既往歴】喘息
【データ】WBC 6900、CRP 0.13、Hb 12.3、CEA 5.5
その他所見:
- 甲状腺右葉LDAあり。左葉は術後か。
- 右胸膜石灰化あり。
- 冠動脈石灰化あり。
- 腎嚢胞あり。左腎に複雑性嚢胞あり。
- 傍十二指腸憩室あり。
- 左鼠径部リンパ節腫大あり。→生検で濾胞性リンパ腫と診断されています。
【虫垂同定ブートキャンプ】延長戦 症例2の動画解説
※内視鏡にてS状結腸に全周性2型腫瘍を認めており、生検にて高分化型腺癌と診断されました。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
完全に油断していました。S状結腸が追いやすくていいわーってスルーしていました。
アウトプットありがとうございます。
>S状結腸が追いやすくていいわーっ
確かに「いいわー」っていう走行ですね(^^)。
結腸腫瘍のスクリーニングをCTではできないですが、引っかけられる結腸腫瘍もありますので、壁の肥厚や不整像がないかを追いつつ見るようにしてください。
10分くらい虫垂を探してしまいました。無くて正解だったのですね。
虫垂のことばかり考えていたおかげで、S状結腸腫瘍は見逃しました・・・。
アウトプットありがとうございます。
>10分くらい虫垂を探してしまいました。無くて正解だったのですね。
虫垂同定ブートキャンプですが、ないこともあります。
費やした10分は必ず今後に活きてくると思います。
>S状結腸腫瘍は見逃しました・・・。
結腸腫瘍が見つかることもありますので、腸管を追うだけでなく、壁肥厚がないかもチェックしましょう。
蠕動で壁肥厚様に見えるだけのこともありますが。
十二指腸穿孔と憩室を区別するコツはありますか?
アウトプットありがとうございます。
穿孔の場合は、free airを好発部位に認めることが多いのと、潰瘍からの穿孔が多いので、潰瘍を疑う所見や周囲の3層構造を保った壁肥厚や炎症所見がないかをチェックします。
十二指腸憩室の場合は、ほとんど今回と同じvater乳頭部で認めます。十二指腸の走行の途中で同部に認める憩室をみたら十二指腸憩室と診断できます。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/4701
S状結腸の壁肥厚はチェックできませんでした。
回腸末端(バウヒン弁)の位置も意外でした。
回腸起始部に何やら低吸収の腫瘤??ちょっと大きいので食物残渣でしょうか。
横断像64-65,189-190/250、冠状断像 32-37/134
アウトプットありがとうございます。
>回腸起始部に何やら低吸収の腫瘤??ちょっと大きいので食物残渣でしょうか。
横断像64-65,189-190/250、冠状断像 32-37/134
この腫瘤がよくわからないのですが、回腸起始部ではなく回腸末端部でしょうか?
だとすると残渣でよさそうです。
今回、上腸間膜の脂肪織の濃度上昇とリンパ節の腫大があると思いました。
結果的に疾患が分かっていてFLの関連病変だと分かりますが、
画像的には、こういうMysty mesentryは偶発的に見つかると、
リンパ腫、腸管膜脂肪織炎、非特異的所見(病的意義なし)と鑑別に困ります。
(今回程リンパ節腫大があれば、リンパ腫を第一に疑う様に思いますが)
放射線科の先生はどのように鑑別されているのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>今回、上腸間膜の脂肪織の濃度上昇とリンパ節の腫大があると思いました。
結果的に疾患が分かっていてFLの関連病変だと分かりますが、
おっしゃる通りですね。
>Mysty mesentryは偶発的に見つかると、
リンパ腫、腸管膜脂肪織炎、非特異的所見(病的意義なし)と鑑別に困ります。
(今回程リンパ節腫大があれば、リンパ腫を第一に疑う様に思いますが)
放射線科の先生はどのように鑑別されているのでしょうか?
これはいつも我々も困ってます。
過去画像との比較、症状の有無などから判断しますが、基本的にいずれの可能性も考慮せざるを得ません。
良問(難問)ありがとうございました。S状結腸間膜のリンパ節は気づいたのですが、上腸間膜のリンパ節腫大と一連のものと考えてしまい(でも、左鼡径部のリンパ節腫大に気付かなかった)、リンパ節数の多かった小腸の方ばかり一生懸命眺めていてS状結腸病変に気づけませんでした。消化管の悪性腫瘍をCTで見つけるのは難しいという感覚は捨てて、次はきちんと消化管の壁肥厚有無を見ていきたいと思います。
本題から外れるのですが、石灰化のある右胸膜は冠状断で見るとかなり厚く脂肪成分主体と思われるのですが、これは炎症後の変化として起こり得る病変なのでしょうか、石灰化と何か関係があるのでしょうか。胆嚢、子宮、卵巣を同定できなかったのですが、萎縮でしょうか、摘出後でしょうか。
よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
>消化管の悪性腫瘍をCTで見つけるのは難しいという感覚は捨てて、次はきちんと消化管の壁肥厚有無を見ていきたいと思います。
基本的には「消化管の悪性腫瘍をCTで見つけるのは難しいという感覚」でよいのですが、見つかることがあるので最初から無理と思わずに注意してみようということですね。
>これは炎症後の変化として起こり得る病変なのでしょうか
横断像では胸膜の石灰化と思ったのですが、確かに冠状断像で見ると胸膜よりも尾側に存在して、横隔膜よりも頭側に脂肪塊と一緒に存在しており、典型的な胸膜の石灰化ではないようですね(^_^;)
石灰化の形状も通常と異なりますね。横隔膜裂孔ヘルニアが起こっているようでもないですし、謎ですね。病歴を調べてみて何か分かれば追記します。
>胆嚢、子宮、卵巣を同定できなかったのですが、萎縮でしょうか、摘出後でしょうか。
摘出後でよさそうですね。
貴重な症例ありがとうございます。
S状結腸の腫瘍疑いについて、勉強になりました。若干、腫瘍周囲の脂肪織濃度上昇があるように見えますが、これも腫瘍を疑う上で有意な所見でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>若干、腫瘍周囲の脂肪織濃度上昇があるように見えますが、これも腫瘍を疑う上で有意な所見でしょうか?
腫瘍そのものを疑う所見というよりも周囲への浸潤所見を疑う上で重要といえますね。
今回は、直腸から追いやすいなぁとは思いましたが、S状結腸癌は、分かりませんでした。
虫垂かと思った部位は、流入してきた回腸でした…。今日出来たのは、上部消化管追跡のみかぁ…。
PS.今日は、ダメダメでした…。
バレボールを観て元気を出して次回に備えます。
アウトプットありがとうございます。
ちょっとS状結腸癌は難しかったですね。
>PS
今ラグビーだけじゃなくて、バレーやってるんですね。
延長線は凄いですね……
ただ、他の方が言うように、この1症例だけで色んな知識がつきます。良問という表現がドンピシャですね。難しかぁ〜〜(>_<)
アウトプットありがとうございます。
>良問という表現がドンピシャですね。
ありがとうございます。
しかし改めて見ると単純だけですし、なかなか難しいですね。
生検結果からも、このようなS状結腸の壁肥厚も絶対に見逃してはいけないということを肝に銘じました。単に教科書を買って読むより、毎回声と動画で指導いただけることが、ほんとうに身につく勉強となっています。ありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
>このようなS状結腸の壁肥厚も絶対に見逃してはいけないということを肝に銘じました。
単なるスクリーニングではなかなか指摘は難しいかもしれませんが、血便があったり、腫瘍マーカーが上がっていたり腫瘍の可能性があらかじめある場合にはなんとか見つけたい所見ですね。
>毎回声と動画で指導いただけることが、ほんとうに身につく勉強となっています。ありがとうございます。
お役に立てて良かったです(^^)
虫垂「見えない」で合っていてよかったです。
上行結腸がこんなに短い症例もあるのですね!途中で、あれ!?続きどこ?となりました。回盲部も外側から入ってくるとは驚きです。この講座で腸管の走行にバラエティがあることを日々実感しています。
S状結腸の肥厚は気付いたもののスルーでした。ダメですね。現場ではスルーしないようにせねば。
腸間膜の脂肪織濃度上昇はmisty mesenteryと呼ばれているのですね。ときどき見かけますが、これにカッコイイ名前が付いているとは面白いですね。
アウトプットありがとうございます。
>この講座で腸管の走行にバラエティがあることを日々実感しています。
そうですね。個人差がかなりありますね。
>S状結腸の肥厚は気付いたもののスルーでした。ダメですね。
あと一歩ですね。サイズが大きくないとCTでは指摘できないことが多いので、あまり取り過ぎるのも良くないと思うのですが、今回は周りにリンパ節もありますし、できたら取りたい所見ではありますね。
>腸間膜の脂肪織濃度上昇はmisty mesenteryと呼ばれているのですね。ときどき見かけますが、これにカッコイイ名前が付いているとは面白いですね。
確かにmistyとかカッコイイですね。
ダイの大冒険のミストバーンを彷彿させ・・・・ないですかね。
リンパ節のチェックが苦手です。
頸部腋窩鼠径だけでなく血管周囲とかも見なければいけなくて、
どこまで詳細に見なければいけないかもわかってないですし、
全身のリンパ節を見に行くと読影に時間がかかってしまいます。
何かチェックするときのコツのようなものはないでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
腹部の場合は、まずは大動脈周囲は必ずみます。
あとは両側の総腸骨動脈→内腸骨・外腸骨動脈周囲、閉鎖節、鼠径部と観察します。
腫瘍などがある場合はその周囲やより下流(静脈での)の太い血管周囲を観察するという大まかな流れです。
こちらの4分30秒あたりでも少し触れています。