症例61 解答編

症例61

【症例】80歳代 女性
【主訴】発熱、腹痛
【身体所見】BT 38.3℃、脈拍数 80bpm、血圧100/68mmHg、SpO2 97% 意識清明、腹部:平坦、軟、心窩部、右側腹部に安静時痛あり、圧痛あり、筋性防御あり、反跳痛不明。

【データ】WBC 9700、CRP 4.28

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ダイナミックCTの早期相で胆嚢床に早期濃染を認めています。(急性胆嚢炎を示唆する所見の一つです)

また、胆嚢壁は肥厚し、造影不良、そして、胆嚢壁に気腫を疑うairを認めています。
胆嚢周囲には脂肪織濃度上昇を認めています。

このように胆嚢壁に気腫を伴う胆嚢炎を気腫性胆嚢炎と言います。

胆嚢頚部に高吸収な結石を認めており、頚部への結石嵌頓による胆嚢炎が疑われます。

平衡相においても胆嚢壁の造影不良は変わりません。

気腫性胆嚢炎と診断され、緊急手術となりました。

診断:気腫性胆嚢炎(壊疽性胆嚢炎)

症例51で見た壊疽性胆嚢炎と同様に外科コンサルトし緊急手術が必要となります。

手術が施行されました。

術中、胆嚢は腫脹し、緊満感を伴っており、壊死により黒色に変色していました。

胆嚢は摘出され、病理学的に壊疽性胆嚢炎と診断されました。
気腫性胆嚢炎は壊疽性胆嚢炎の1つで、病理学的には同様です。

実はこの方、前日に単純CTが撮影されていました。

前日の単純CT

胆嚢腫大、胆嚢壁肥厚、頚部結石を認めており、急性胆嚢炎が疑われます。
保存的に加療されていましたが、

わずか1日でガス産生菌が感染して胆嚢壁が壊死に陥ったことが推測されます。

壊疽性胆嚢炎は、糖尿病、心血管病変に併発する頻度が高いとされますが、この方にはありませんでした。

関連:気腫性胆嚢炎とは?CT画像診断のポイント!

その他所見:

  • 肝内胆管拡張あり。
  • 肝辺縁に少量腹水あり。
  • 両側傍腎盂嚢胞あり。
  • 食道裂孔ヘルニアあり。
症例61の動画解説

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