画像診断ガイドライン2016では、

「発熱や成人の急性腎盂腎炎が疑われる場合、ただちにCTを撮影するべきか」

というクリニカルクエスチョンに対して、

合併症を伴わない成人の急性腎盂腎炎患者に対して、ただちに単純または造影CTを施行することは勧められない。

と回答されています。

推奨グレードはC2となっています。

(C2:十分な科学的根拠がないので、推奨ができない。有効性が期待できない可能性がある。)

ますますCTで診断する疾患ではないと言うことがわかりますね。

また、

American College of Radiology(ACR) appropriateness criteriaおよびEuropean Association of Urology(EAU)においても、

合併症を伴わない急性腎盂腎炎患者は、抗生剤治療によく反応すればCT検査は必要ない。
ただし、72時間以内に良好な反応が認められない場合に考慮する。

とされています。

ですので、抗生剤治療に対する反応を3日間は見てみて、それでも良くならない場合はCT検査も考慮しましょうということです。

※ただし、糖尿病患者や免疫抑制状態の患者の場合は、24時間様子を見て反応がない場合はCT検査をACRでは推奨しています。

急性腎盂腎炎の画像診断の適応

つまりまとめると、

急性腎盂腎炎の画像診断の適応としては、

  • 合併症のない症例で72時間以内に良好な治療反応がない。
  • 糖尿病・ステロイド剤使用など易感染性状態である。
  • 前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿路結石症、尿路の悪性腫瘍を合併している。

このいずれかに当てはまる場合は、急性腎盂腎炎を疑う場合にCT撮影をするということです。