症例54 解答編

症例54

【症例】20歳代 男性
【主訴】嘔気、嘔吐(一部血液が混じる)、心窩部痛
【身体所見】意識清明、BP 148/90、HR 80、BT 36.2℃、SpO2 99%(RA)、腹部平坦、軟 腸蠕動音は減弱、心窩部に自発痛、圧痛あり。軽度の腹膜刺激徴候あり。Murphy陰性、Mcburny陰性
【データ】WBC 13500、CRP 0.14
【その他】最近の生食摂取などなし。仕事(不動産業)上のストレスはかなり多い。

単純CTにて横断像、冠状断像で、胃の前庭部を中心に全周性の壁肥厚を認めています。

壁肥厚は3層構造を保ったまま粘膜下層を中心に肥厚を認めています。

  • 急性胃炎
  • 活動性胃潰瘍
  • アニサキス胃炎

などを疑う所見です。

上部消化管内視鏡が施行されました。

胃の幽門側を中心に広範な急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)を認めており、血腫の付着が高度にありました。(十二指腸には異常所見は認めませんでした(非提示))

生ものの摂取や過度のアルコールの摂取などがない点や、仕事上のストレスが大きいことから、急性のストレスが原因と考えられます。

保存的(絶食、PPI、アルロイドG)に加療されました。

診断:急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)

※CT画像からは、前庭部の胃壁の肥厚ということがわかって、胃炎、胃潰瘍、アニサキスなどが疑われるということがわかればOKです。

関連:急性胃粘膜病変(AGML)の画像診断

その他所見:とくになし。

症例54の動画解説

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