急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)
- 突然発症する上部消化管症状で発症。
- 心窩部痛、吐血、食欲不振で発症する。
- 胃粘膜発赤、出血、浮腫、びらん、潰瘍などを認める臨床的症候群。
- 急性びらん性胃炎、急性潰瘍、出血性胃炎の3つの病変をまとめた総称ともいえる。
- 原因として、薬剤(NSAIDs、ステロイド、抗生物質、抗腫瘍薬など)、アルコール、コーヒー、喫煙、アレルギー、ストレス(精神的、脳血管障害によるCushing潰瘍、熱傷によるCurling潰瘍)、重度の細菌感染、DIC)、アニサキス、Helicobacter pylori感染など。
- 内視鏡の所見により確定診断される。
- 内視鏡では、びらん、出血、発赤、浮腫が見られる。
- サバやイカなどの生食があればアニサキス症を鑑別に入れる。
- 治療は原因の除去。出血があれば内視鏡的に止血。その後は保存的治療(H2-blockerなど)。
画像所見
- CTでは低吸収域を呈する胃壁の粘膜下層が著明に腫大を認め、典型的な3層構造を呈する。ただし通常周囲脂肪織濃度上昇なし。
症例 20歳台男性 心窩部痛
前庭部を中心に3層構造を保った胃壁肥厚を認めています。
内視鏡にて幽門側に広範なAGMLを認めていました。
保存的に加療されました。
びまん性の胃壁の浮腫性肥厚の鑑別
- 急性胃粘膜病変(AGML)→周囲脂肪織濃度上昇なし。
- アニサキス→周囲脂肪織濃度上昇あり(壁外に及ぶ)。
とされます。(が、CT画像での鑑別は通常難しいと思われます。)
3層構造が保たれていない場合は、腫瘍の可能性を考えなくてはなりません。
※アニサキスはⅢ型アレルギーによる胃粘膜下層への好酸球性蜂窩織炎。
参考)アニサキス腸炎