頭部画像診断 TIPS症例38

【頭部】TIPS症例38

【症例】20歳代 男性
【主訴】下顎部打撲
【現病歴】2時間前に段差で躓いて、アスファルトに下顎部を強打。救急受診となる。
【既往歴】なし
【身体所見】vitalに異常なし、頭頚部:眼球結膜貧血(-)、黄染(-)、頚静脈怒張(-)、顔面:下顎の知覚正常、圧痛なし。

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側脳室に左右差があるがこれは正常?異常?

側脳室のサイズ(幅)が左>右となっています。

サイズ(幅)だけでなく、後角のサイズも左>右となっていることがわかります。

何か閉塞機転などを疑う所見や、左の側脳室が広がるような明らかな病態は脳室周囲には認めていません。

このような側脳室の左右差は正常でも認めることがあり、右>左となることより左>右となることが2-5倍多いと報告されています。

 

診断:側脳室の左右差(正常範囲)

 

※この症例、「救急医から左右差あるけどこんなもの?」と電話がかかってきた症例でもあります。

    【頭部】TIPS症例38の動画解説

     

    お疲れ様でした。

    今日は以上です。

    今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。

    過去のコメント
    1. おはようございます。本日もよろしくお願いします。
      側脳室の片側性の水頭症を来す病変の有無を確認して、正常と判断することができました。
      しかし、脳梗塞などで周囲が収縮して脳室が拡大することもあるというのは意識していなかったので勉強になりました。

      1. アウトプットありがとうございます。

        >側脳室の片側性の水頭症を来す病変の有無を確認して、正常と判断することができました。

        きっと正常なんだろうなとはすぐにわかるかもしれませんね。
        左右差があることがあることを知っておきましょう。

    2. 後角分離など左右差がある場合をたまに見かけます。系統的に読影して、他に異常がないことを確認しています。

      1. アウトプットありがとうございます。

        >後角分離など左右差がある場合

        そうですね。後角分離はむしろ左右差があることの方が多い印象ですね。

    3. 右>左となることより左>右となることが2-5倍多いと報告されています。というのを伝えると『おおっ!』となりますね。臨床的意義はともかく覚えておきたいです。ありがとうございました。

      1. アウトプットありがとうございます。

        >左>右となることが2-5倍多いと報告されています。というのを伝えると『おおっ!』となりますね。

        いいリアクションですね!私もこのことを3年目くらいのときに指導医に教えてもらったときは、心躍りました。

    4. 言われてみれば左のほうが大きいことが多いですね。くも膜のう胞もなんとなく左に多い気がします。横静脈洞も左右差が大きいですし、正常の左右差を知っておかないといけないですね。

      1. アウトプットありがとうございます。

        左右差があることがあることを知っておく
        脳室の場合は左が大きい割合が多いことを知っておく

        ことが重要ですね。

    5. 正常だろうとは思いましたが,なんと言えばいいのか(解剖学的に)ちょっと迷いました.そのまま左右差があると言えばいいのですね.

      1. アウトプットありがとうございます。

        ちょっと答えにくかったですかね(^_^;)
        病的ではなく、正常範囲であると言っていただければOKです。