頭部画像診断 TIPS症例15

【頭部】TIPS症例15

【症例】70歳代男性
肺癌術後。転移性脳腫瘍除外目的。

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小脳半球に転移性脳腫瘍がある?ない?ないならばこれはなに?

造影T1WIで小脳虫部や左小脳半球に高信号を認めています。

脳転移でしょうか?

よく見ると高信号に加えて、左小脳半球では低信号を認めており、それらが真横に連続して存在していることが分かります。

そして両サイドには静脈洞があります。

上下のスライスを見てみると静脈洞から信号を拾っているように見えます。

これは脳転移ではなく、静脈洞内の血流によるフローアーチファクトです。

 

診断:血流によるフローアーチファクト

 

※とくにこの場所は、静脈洞からのアーチファクトが出やすい部位ですので、脳転移などと間違えないように注意が必要です。紛らわしい場合は、日を改めて撮影したり、アーチファクトが出ないような工夫をしての撮影が必要となります(工夫の詳細については成書をご覧ください)。

【頭部】TIPS症例15の動画解説

放射線科の先生がこのアーチファクトについてつぶやいておられました。

お疲れ様でした。

今日は以上です。

今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。

過去のコメント
  1. 今日もありがとうございます。フローアーチファクトは普段からよく目にします。耳の外側の空気の部分にも血管のアーチファクト像が出ているので見慣れた人にはわかりやすいかもですが、誤診を招かないような撮影法を意識します。

    1. アウトプットありがとうございます。

      >フローアーチファクトは普段からよく目にします。

      ですよね。

      >誤診を招かないような撮影法を意識します。

      よろしくお願いします!

  2. 技師なのでアーチファクト関連は分かりました。
    頭部の血流抑制にはflow comp、SAT、3D SEシーケンスによるflow void、phase方向の異なる他断面確認などがいいと思います。

    1. アウトプットありがとうございます。

      >頭部の血流抑制にはflow comp、SAT、3D SEシーケンスによるflow void、phase方向の異なる他断面確認など

      このあたりはあまり詳しくなくて、技師さんの方が遙かに詳しいと思います。ありがとうございます。

  3. 位相方向に見られる血管のアーチファクトは、たまに病変と紛らわし時があります。依頼医が内科の場合などは、腫瘍と悩まれる場合があるみたいです。
    自分はわかっていても、慣れない科の医師がオーダーしている場合は、位相方向を変えて撮影して、アーチファクトであることを証明して依頼医に連絡するようにしています。

    1. アウトプットありがとうございます。

      そうですね。脳転移除外で紛らわしいことがあります。

      >慣れない科の医師がオーダーしている場合は、位相方向を変えて撮影して、アーチファクトであることを証明して依頼医に連絡するようにしています。

      それは大変助かりますね。鏡ですね(^^)

  4. 勇気をふりしぼって?(笑)アーチファクトと回答しました。他の方の様に、こんなに紛らわしいアーチファクトが出た際には位相方向を変えた画像を必ず撮像します。技師なので!

    1. アウトプットありがとうございます。

      >こんなに紛らわしいアーチファクトが出た際には位相方向を変えた画像を必ず撮像します。

      頼もしいです!

  5. フローアーチファクトっていうんですね。勉強になりました。血管に挟まれた部位はもっとあるのにここの場所ばかりみる気がします。血流の早さとか絶妙なんでしょうね。

    1. アウトプットありがとうございます。

      >血流の早さとか絶妙なんでしょうね。

      どうなんでしょうね。なぜここに多いかはちょっとわかりませんが、ここにこのようなアーチファクトが多いということは覚えておきましょう。

  6. 後から言われてみると確かに帯状なのですが、最初は分からなかったです!
    帯状の配列は念頭にしておきたいと思います。

    1. アウトプットありがとうございます。

      >帯状の配列は念頭にしておきたい

      ですね。頭部に限らず腹部などでも見られるアーチファクトです。MRIでですね。

  7. こんにちは。
    本日もよろしくおねがいいたします!

    全然わからなかったです。フローアーチファクト覚えておきます。

    また、巨大大槽も他の鑑別を要する嚢胞との区別がしっかりできませんでした(横断像を見て小脳虫部が欠損していると思ってしまいました。やはり、矢状断像をよく見て小脳虫部が正常に形成されていることを確認することが大事なのだなと実感しました)。
    よくわかる脳MRI第3版p342の鑑別の図をもっと眺めておきます!!

    1. アウトプットありがとうございます。

      >横断像を見て小脳虫部が欠損していると思ってしまいました。

      確かに上の方はそうも見えてしまいますね。
      ちょっとわかりにくい出題で申し訳ありません(^_^;)

  8. 静脈洞からのフローアーチファクトでしたか、わかりませんでした。この部分はアーチファクトガ出やすい所と言うことも初めて知りました。日々勉強になります。ありがとうございます。

    1. アウトプットありがとうございます。

      多分転移じゃないんだろうなと思いつつも、じゃあ何といわれたら困るのがこのアーチファクトですね。
      稀ではなく、むしろ割と見られるアーチファクトですので覚えておいてください。

  9. いつも勉強になります。
    ありがとうございます。
    ラジエーションハウス 2でも出てましたね!フローアーチファクト!

    気になったのですが、
    脂肪抑制造影T1WIの12/19スライス当たりに硬膜?と思われる部分
    が右優位に高信号を認めていますが
    何かの原因で肥厚して高信号なのでしょうか?
    それとも正常範囲でしょうか…?

    1. アウトプットありがとうございます。

      >ラジエーションハウス 2でも出てましたね!フローアーチファクト!

      出ていたのですね。ラジエーションハウスは1もまだ見ていないのですが、
      フローアーチファクトを確認するためにTverで探してみました。
      かなり後半でしたね(°°;)

      https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/training/wp-content/uploads/2021/10/14859589602902.jpg

      >脂肪抑制造影T1WIの12/19スライス当たりに硬膜?と思われる部分が右優位に高信号を認めていますが何かの原因で肥厚して高信号なのでしょうか?

      これくらいならば正常範囲です。前頭部に認めていますね。
      これが目立つ場合は、DA patternの髄膜の造影効果を示す疾患を考えます。

      関連
      https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/6466