ワルチン腫瘍(Warthin’s tumor)
- 中年男性に多い。2番目に多い良性腫瘍。
※中年男性で下極の耳下腺腫瘍ならワルチンでよし。
- 耳下腺腫瘍の15%。
- 薄い線維性被膜を持つ楕円形の腫瘤。
- 喫煙との関連性が高い。
- 両側性、多中心性発生が10%。
- 99mTcシンチにて集積像。PETでも集積あり。
- 中年・老年男性。
- 耳下腺下極後方(尾部)
- 境界明瞭な腫瘍を呈する。
- ダイナミックCTやMRIでは早期濃染され、washoutされる。
耳下腺腫瘍の造影パターンはこちらがわかりやすいです。
ワルチン腫瘍の分類
- 嚢胞型:T2強調像で均一に高信号
- リンパ間質型:均一に低信号
- 混合型:不均一で隔壁が見られる。
(岩井、池田ら、耳喉頭頸1994)
とややこしいが、位置と中年男性ってことで決め打ちでよい。
一般的にT2WIにて低信号のことが多い。
症例 60歳代男性 左頸部腫脹
左耳下腺下極に23mm大の腫瘤性病変あり。
T2強調像で低信号の内部に嚢胞変性を疑う所見を認めています。
(右の耳下腺下極にも小さな腫瘤があります。)
唾液腺シンチでは左耳下腺下極に集積を認めています。
ワルチン腫瘍(Warthin腫瘍)を疑う所見です。(右の下極のものもワルチン腫瘍の可能性あり)
症例 51 歳の男性。数年前より両側耳下部の腫脹があり,徐々に増大してきたため来院。
2005年放射線科診断専門医試験問題13より引用。
造影CTにて左にサイズの大きな耳下腺腫瘤を下極に認める。造影にて不均一に造影され、T1WIおよびT2WIにて不均一な信号を示す。T2WIにては信号低下が目立つ。
多発している点、中年男性である点、腫瘤は耳下腺下極に認めている点、いずれもワルチン腫瘍を疑う所見。
症例 60歳代男性、左耳下腺腫瘤の精査
(放射線科診断専門医2010年71番画像より引用)
唾液腺にFDG PETおよび唾液腺シンチにて異常集積あり。
ワルチン腫瘍を疑う所見。
症例 60歳代男性、左頸部腫瘤の精査
放射線科診断専門医2012年20番画像より引用。
左耳下腺にT2WIで低信号、STIRにて高信号の腫瘤性病変あり。99mTcO4–で集積あり。ワルチン腫瘍に特徴的。
症例 60 歳代の女性。左耳下部のしこり。
99mTcO4–で集積あり。ワルチン腫瘍に特徴的。
症例 60歳代の男性。耳下部腫瘤
2018年放射線科診断専門医試験問題14より引用。
左耳下腺浅葉〜深葉にやや壁の厚い嚢胞性病変あり。
中年男性であり、嚢胞型のワルチン腫瘍が第一に疑われます。
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