縦隔成熟嚢胞性奇形腫(mature cystic teratoma)
- 性腺以外に発生する胚細胞腫瘍はextragonadal germ cell tumorsとよばれる。
- 胚細胞腫瘍の1-3%を占める。奇形腫と悪性胚細胞腫に大別される。
- 奇形腫は頻度が高く、前縦隔腫瘍の20%を占める。
- 但し、奇形腫の3-8%は後縦隔に発生する。
- 3胚葉のうち少なくとも2胚葉以上に由来する組織を含む腫瘍。嚢胞形成は典型的であり、壁は背の高い粘液分泌上皮細胞により裏打ちされている。
- 概して良性腫瘍であるが、時に悪性化(malignant transformation)し、扁平上皮癌や腺癌などが生じることがある。
- 合併症には感染の他、特に胸腔内、心嚢腔内、肺内に奇形腫が穿破することがあり、緊急を要することがある。(卵巣病変と異なり膵組織を含むことが多く、穿破により肺炎、胸膜炎や心膜炎、縦隔炎を起こす。)
- 穿破や破裂を来す縦隔病変は奇形腫の報告が大多数。他、胸腺嚢胞、胸腺腫、カルチノイドなどで報告あり。
画像所見
▶CT所見
- 一般に内部不均一な吸収値を呈し、壁はやや厚く、嚢胞性成分を主体とした嚢胞性腫瘤を呈することが多い。
- 嚢胞部分は多房性が多いが単房性のこともある。
- 脂肪と水の境界がfat-fluid levelを形成することは奇形腫に極めて特徴的とされるが、CTでは認めることはそれほど多くない。
- 石灰化を伴うことがあるが、時に歯牙を思わせる粗大な石灰化を伴うことがある。
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▶MRI所見
- T1WI,T2WIともにさまざま。
- 特に脂肪成分を反映して、T1WIにて高信号を示すことがある。出血性成分等でも同様の所見を呈するため、脂肪抑制T1WIを追加する。
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