気管支原性嚢胞(bronchogenic cyst)
・食道重複嚢胞や神経腸管嚢胞などと同様に前腸(foregut)に由来し、その中で最も頻度が高い。
・全縦隔腫瘍の4-6%。
・90%以上が中縦隔(80%)や肺内(15%)に発生する。
・気管分岐部周囲に好発し、壁は呼吸上皮で覆われ、壁内に軟骨がある場合に診断が確定する。
・稀に出血、感染によりサイズ増大、周囲臓器への圧排所見を呈することがある。
気管支原性嚢胞の画像所見
・通常CTでは水〜気管支分泌物に相当する低吸収値〜比較的高吸収を示す(気管支原性嚢胞は比較的高吸収を呈しやすい)。
・MRIではT2WIで著明高信号、T1WIではその成分により低〜高信号。凝血塊や蛋白成分の沈殿により内部に液面形成を認めることあり。
・鑑別は、胸腺嚢胞、心膜嚢胞、嚢胞性奇形腫など。画像のみでは鑑別困難なことも多い。
症例 50 歳代の女性。検診の胸部 X 線写真で異常を指摘。
2013年放射線科診断専門医試験問題24より引用。
肺静脈背側(奇静脈食道陥凹)にCTにて造影効果を示さず、嚢胞性病変あり。T1WIにて高信号を示している。部位および信号から気管支原性嚢胞を疑う所見。