甲状腺の結節性疾患
- 甲状腺結節はcommonである。
- 触診で4−8%、超音波で10-40%、剖検では5割の人に見つかる。
鑑別診断
- 過形成:腺腫様甲状腺腫が1/10-1/20人に見つかる。最多。
- 良性腫瘍:濾胞腺腫
- 悪性腫瘍3人/10万人(乳頭癌9割、濾胞癌5%、髄様癌1%、未分化癌1%、悪性リンパ腫1%)
- US評価の最終目的は、良性か悪性かを決める事。
臨床的に悪性を疑う所見
- 年齢 20歳以下、60歳以上
- 触診 硬い、増大傾向、周囲構造との癒着、声帯麻痺、頸部リンパ節腫大
- その他誘因 放射線治療歴、家族歴(MENなど)
悪性の頻度
- 単発でも多発でも同じ頻度。触診で触れても触れなくても同じ頻度。
甲状腺癌の超音波所見
- 微細石灰化、低エコー、充実性、結節内血流、縦長、辺縁不整が揃えば典型的な乳頭癌
石灰化
- 充実性優位な結節(<嚢胞領域25%)での悪性頻度
- 微細な石灰化があればない場合より3倍、粗大な石灰化があればない場合より2倍。
- 微細石灰化は砂粒小体の石灰化でaccoustic shadowを作るには小さ過ぎる。乳頭癌。
- 粗大石灰化はアミロイドの石灰化が特徴的。髄様癌で見られる所見であるが、腺腫や腺腫様甲状腺腫、乳頭癌、未分化癌でも見られるのでこれだけで良悪性は言えない。
- comet-tailが認められれば良性の結節といえる。
内部構造
- 低エコー、充実性、不整が悪性の所見。
- ただし、腺腫性甲状腺腫は被膜が不完全で不整に見えることがあるので注意。
- また、髄様癌では被膜があり、浸潤に乏しく辺縁が整なことがあるので注意。
結節内血流
- カラードプラを利用
- 腫瘤内血流が豊富なら悪性を示唆(周囲甲状腺組織より血流が多い、腫瘤中心部で血流が多い)
- 濾胞癌の診断には結節内部の血流が豊富である点 pulsatility index(PI)>1.0
- 凝血塊・デブリと充実性成分の区別にも有用
FNAの適応
- 超音波で悪性が疑われる場合
- ハイリスクである。(頸部リンパ節腫脹(特に内部不均一、石灰化、嚢胞変性、丸いもの)、理学的所見、症状、頭頸部領域の照射の既往、髄様癌、MEN2の家族歴)
- 6-12ヶ月毎の超音波経過観察で増加傾向がある。
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