先に結論:Sturge-Weber症候群のCT・MRI
- Sturge-Weber症候群は、顔のポートワイン母斑(三叉神経第1枝領域)・脳の軟膜の血管腫・目の緑内障を特徴とする生まれつきの病気で、乳児期からのてんかん発作で見つかることが多いです
- CTでは脳回に沿った線路状の石灰化と片側の脳の萎縮、MRIでは造影で脳表の軟膜が強く染まることが特徴で、脈絡叢の腫大・深部静脈の拡張もみられます
- てんかんのコントロールが重要で、難治例では早期の外科治療が検討されます
- 名前の似たWeber症候群は、中脳の梗塞などで起こる別の病気です
Sturge-Weber症候群
- Sturge-Weber症候群は“三叉神経血管腫症(encephalotrigeminal angiomatosis)” とも呼ばれ、三叉神経第1枝領域の顔面のポートワイン母斑(毛細血管奇形)と、眼球脈絡膜・脳軟膜の毛細血管-静脈の血管奇形(軟膜血管腫症)を特徴とする。
- 出生2万〜5万人に1人ほどで(Sánchez-Espino 2023)、孤発性に生じる(GNAQ遺伝子の体細胞変異が原因とされる)。性差はない。
- ほとんどにてんかん、精神発達遅滞、顔面のポートワイン母斑(毛細血管奇形)が見られる。同側の緑内障を認める事がある。
- 病理上は側頭、頭頂、後頭葉を中心とする脳軟膜の毛細血管、静脈の血管腫および石灰化を特徴とする。
- 多くは生後1年以内に部分けいれんで発症する。2021年の専門家コンセンサスでは、高リスクのポートワイン母斑をもつ乳児でも、けいれんや神経症状がなければ脳病変のルーチンのスクリーニング画像は推奨されず(症例を選んで施行)、神経症状が安定している小児のルーチンの経過観察画像も推奨されていない。
- 生後1年未満では片側性大脳萎縮の兆候として、頭蓋骨の非対称性が重要。
- 難治性痙攣では外科的治療が検討されるが、適切な時期は施設や文献により異なる。
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Sturge-Weber症候群の画像所見
- CTで認められる脳回に沿った石灰化(gyral calcification)が有名であるが、5歳以前では認められないことが多く早期の診断には役立たない。
- 造影MRIが早期の診断に最も有用。ただし、上顔面・眼瞼のポートワイン母斑からSWSが疑われた62例の検討では、テント下に及ぶ非典型的な分布の軟膜血管腫が11%にみられ、初回MRIが正常で再検時に軟膜造影が現れた例もあった。テント下の造影も意識して評価し、軟膜血管腫の描出は小児期の後半まで遅れることがある点に注意する。髄軟膜の血管腫を脳回、脳溝の異常増強効果として描出。
- 血流増加のため、脈絡叢は増大する。通常は同側片側性。患側の脈絡叢の厚さ(5.6mmを境)で感度91.7%・特異度100%とした報告がある(Sánchez-Espino 2023)。
- 石灰化は脳軟膜血管腫領域の皮質~皮質下に生じ、慢性的な虚血によるものと推察されている。石灰化はMRIではT2強調像にて脳回に沿った低信号として認められ、T2* 強調像や磁化率強調像ではより鋭敏に描出される。
- 進行例では病変部の皮質は萎縮し,白質は虚血やグリオーシスを反映してT2強調像,FLAIR像にて高信号域を呈する.
- また、進行例では脳軟膜の造影剤増強効果が認められないことがある。
Weber症候群・Sturge-Weber症候群の違い
- Weber症候群:中脳の傍正中部の梗塞などで起こり、同じ側の動眼神経麻痺(まぶたが下がる・瞳孔の異常)と反対側の片麻痺を示します。MRIで中脳の病変を確認します(Hatgaonkar 2024)。
- Sturge-Weber症候群:生まれつきの顔のポートワイン母斑・脳軟膜の血管奇形・緑内障を特徴とする病気で、上の記載のとおりです。
Sturge-Weber症候群でよくある疑問(Q&A)
Q. 額にポートワイン母斑があればSturge-Weber症候群ですか?
A. 多くはそうではありません。額にポートワイン母斑のある子ども96人のうちSturge-Weber症候群は21人で、その全員が片側の額の半分以上を占める大きな母斑でした(Boos 2020)。けいれんなど気になる症状があれば医療機関を受診してください。
症例 50歳代男性 Sturge-Weber症候群の経過観察

引用:Radiopaedia(Sturge-Weber syndrome)
左頭頂葉の脳表に沿って、脳回の形にうねる線状の石灰化(tram-track sign)を認めます。症例報告では左頭頂葉・後頭葉の皮質下石灰化と脳実質の萎縮が指摘されています。
参考文献
- Shirley MD, Tang H, Gallione CJ, et al. Sturge-Weber syndrome and port-wine stains caused by somatic mutation in GNAQ. N Engl J Med. 2013;368(21):1971-1979. PubMed
- Sabeti S, Ball KL, Bhattacharya SK, et al. Consensus Statement for the Management and Treatment of Sturge-Weber Syndrome: Neurology, Neuroimaging, and Ophthalmology Recommendations. Pediatr Neurol. 2021;121:59-66. PubMed
- Sánchez-Espino LF, Ivars M, Antoñanzas J, et al. Sturge-Weber Syndrome: A Review of Pathophysiology, Genetics, Clinical Features, and Current Management Approaches. Appl Clin Genet. 2023;16:63-81. PubMed
- Adams ME, Aylett SE, Squier W, et al. A spectrum of unusual neuroimaging findings in patients with suspected Sturge-Weber syndrome. AJNR Am J Neuroradiol. 2009;30(2):276-81. PubMed
- Lo W, Marchuk DA, Ball KL, et al. Updates and future horizons on the understanding, diagnosis, and treatment of Sturge-Weber syndrome brain involvement. Dev Med Child Neurol. 2012;54(3):214-23. PubMed
- Boos MD, Bozarth XL, Sidbury R, et al. Forehead location and large segmental pattern of facial port-wine stains predict risk of Sturge-Weber syndrome. J Am Acad Dermatol. 2020;83(4):1110-1117. PubMed
- Hatgaonkar A, Hatgoankar K, Jobanputra M, et al. Clinico-Radiological Correlation of Weber’s Syndrome. Cureus. 2024;16(1):e51624. PubMed
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