先に結論:造影MRI(ガドリニウム造影剤)と腎機能(eGFR)
- ガドリニウム造影剤は、腎機能がかなり悪い人(eGFR 30未満・透析中・急性腎障害)に使うと、まれに腎性全身性線維症(NSF)という皮膚や臓器が硬くなる重い副作用を起こすことがあります。そのため、こうした人では原則として使用を避け、どうしても必要なときだけ利益と危険を比べて使います
- eGFR 30〜60では、必要性を確認したうえで、NSFのリスクが低い環状型(マクロ環型)の造影剤を必要最小限の量で使うのが一般的です。現在の日本では、NSFが多かった線状型(マグネビスト・オムニスキャン)はほぼ使われていません
- CTのヨード造影剤と違い、通常の量では造影剤腎症の心配はほとんどなく、前後の点滴(輸液)は不要です
※下の基準は一例です。実際は各施設の基準と添付文書に従ってください。
MRI造影剤(ガドリニウム(Gd))を腎機能障害のある患者に使う場合(禁忌、原則禁忌、慎重投与)
重篤な腎障害のある患者でMRI造影剤(ガドリニウム(Gd))を使用すると腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis:NSF)が報告されています。
そのため、腎機能障害のある患者さんに使用する場合は、その程度により、厳重に分類されなければなりません。
腎機能障害のグレードはeGFRによって行われます。
eGFRにより分類する。(ヨードのような輸液負荷は必要ない。)
- eGFR>60 →通常通り行う。
- eGFRが45〜59 →基本的には通常通り造影検査を行うが、薬剤はプロハンスとする
- eGFRが30〜45 →原則行わないが、どうしても必要な場合プロハンスにする。
- eGFR<30 →原則として避け、どうしても必要な場合は利益と危険を比べたうえで、NSFリスクの低いグループII(マクロ環型)を最小量で使う。
EOB-Gdの場合はどうするか?
肝臓のダイナミックMRI撮影で用いられる、EOB-Gd(プリモビスト)の場合、含有されるGdの量が少ないので、eGFR > 30ならば通常通り造影検査を行う。30未満では原則として避けるが、必要性が高い場合は利益と危険を比べて判断する(ガドキセト酸による確実なNSF報告はないとされる)。
造影前後での輸液負荷は必要か?
CTのヨード造影剤のような造影剤腎症のリスクはないため、輸液負荷は必要がないとされています。また、透析患者でもグループII・IIIのガドリニウム造影剤の投与のために透析を新たに始めたり、透析スケジュールを変えたりする必要はおそらくないとされています。
関連記事)CT造影剤(ヨード)を腎機能障害のある患者に使う場合の注意点
まとめ
ガドリニウムでは腎機能障害の患者さんに使う場合は、十分に注意をしましょう。透析患者も原則として使用を避けます。この点がCT造影剤とは異なるので注意が必要です。
なお、前後でCTのヨード造影剤で必要とされる補液を行なう必要はありません。
関連記事)MRI造影剤ガドリニウム(Gd)使用の禁忌、慎重投与すべき患者とは?
参考文献
- Weinreb JC, Rodby RA, Yee J, et al. Use of Intravenous Gadolinium-based Contrast Media in Patients with Kidney Disease: Consensus Statements from the American College of Radiology and the National Kidney Foundation. Radiology. 2021;298(1):28-35. PubMed
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