MRI造影剤(ガドリニウム(Gd))を腎機能障害のある患者に使う場合(禁忌、原則禁忌、慎重投与)

重篤な腎障害のある患者でMRI造影剤(ガドリニウム(Gd))を使用すると腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis:NSF)が報告されています。

そのため、腎機能障害のある患者さんに使用する場合は、その程度により、厳重に分類されなければなりません。

腎機能障害のグレードはeGFRによって行われます。

 

eGFRにより分類する。(ヨードのような輸液負荷は必要ない。)

  • eGFR>60   →通常通り行う。
  • eGFRが45〜59 →基本的には通常通り造影検査を行うが、薬剤はプロハンスとする
  • eGFRが30〜45 →原則行わないが、どうしても必要な場合プロハンスにする。
  • eGFR<30   →禁忌。 

EOB-Gdの場合はどうするか?

肝臓のダイナミックMRI撮影で用いられる、EOB-Gd(プリモビスト)の場合、含有されるGdの量が少ないので、eGFR > 30ならば通常通り造影検査を行う。30以下では禁忌とする。

造影前後での輸液負荷は必要か?

CTのヨード造影剤のような造影剤腎症のリスクはないため、輸液負荷は必要がないとされています。

関連記事)CT造影剤(ヨード)を腎機能障害のある患者に使う場合の注意点

まとめ

ガドリニウムでは腎機能障害の患者さんに使う場合は、十分に注意をしましょう。透析患者ももちろん使用してはダメです。この点がCT造影剤とは異なるので注意が必要です。

なお、前後でCTのヨード造影剤で必要とされる補液を行なう必要はありません。

関連記事)MRI造影剤ガドリニウム(Gd)使用の禁忌、慎重投与すべき患者とは?

ご案内

腹部画像診断を学べる無料コンテンツ

4日に1日朝6時に症例が配信され、画像を実際にスクロールして読影していただく講座です。現状無料公開しています。90症例以上あり、無料なのに1年以上続く講座です。10,000名以上の医師、医学生、放射線技師、看護師などが参加中。

胸部レントゲンの正常解剖を学べる無料コンテンツ

1日3分全31日でこそっと胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学んでいただく参加型無料講座です。全日程で簡単な動画解説付きです。

画像診断LINE公式アカウント

画像診断cafeのLINE公式アカウントで新しい企画やモニター募集などの告知を行っています。 登録していただくと特典として、脳の血管支配域のミニ講座の無料でご参加いただけます。