先に結論:びまん性陰影とは
- 「びまん性(瀰漫性)」は病変が一か所にとどまらず、広く一面に広がっているという意味です。反対の言葉は「限局性」です
- 胸部画像の「びまん性」は、陰影が両肺に広く分布していることを指し、目安として片肺の1/3以上を占める陰影が両側にある状態です
- びまん性の浸潤影は肺胞を埋める病態(肺水腫・肺炎・肺胞出血など)、びまん性の線状・網状影は間質の病気、びまん性の粒状影は両方ありえます
- 実際にはHRCTで分布(上下・内外・小葉内の位置)を見て鑑別を絞り込みます
「びまん性」の意味と読み方
「びまん性」は漢字で瀰漫性と書き、「びまんせい」と読みます。「瀰漫」は、気分や煙などが一面に満ちて広がるという意味の言葉です。医学では英語のdiffuseの訳語として使われ、病変がある範囲にまんべんなく広がっていることを表します。
反対の言葉は限局性(focal, localized)で、病変が一部分にとどまっている状態です。肺だけでなく、「びまん性肝疾患」「びまん性甲状腺腫」「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」のように、臓器全体に広がる病気の名前にも使われます。
「びまん性浸潤」は、病変が周りの組織にしみこむように広く入り込んでいるという意味で、塊(腫瘤)をつくらずに広がる病変を表すときに使います。
びまん性陰影の定義
・両肺に広く分布する陰影(「片肺の1/3以上を占める陰影が両側にある」は教科書的な目安で、国際的に統一された数値定義ではない)
(無理に肺胞性か、間質性か決めなくてよいが)
- びまん性浸潤影をみたら肺胞性。
- びまん性線状影をみたら間質性。
- びまん性粒状影は肺胞性、間質性両方ある。
「びまん性」と「多発」の違い
Fleischner Societyの胸部画像用語集では、陰影の種類(コンソリデーション、すりガラス影、網状影、粒状影など)と分布を分けて記載することが勧められています。「びまん性」は分布を表す言葉で、病変の種類を表す言葉ではありません。レポートでは「びまん性」で済ませず、陰影の種類と分布をセットで書くと鑑別が伝わります。
HRCTで見るべき分布
- 頭尾方向:上肺優位か下肺優位か
- 軸位方向:胸膜直下(末梢)優位か、気管支血管束に沿う中枢優位か
- 二次小葉との関係:小葉中心性、リンパ路性(気管支血管束・小葉間隔壁・胸膜に沿う)、ランダム

びまん性粒状影の考え方
びまん性の粒状影は、二次小葉との関係で3つに分けると整理しやすくなります。
| 分布 | 見分け方 | 代表的な疾患 |
|---|---|---|
| リンパ路性 | 葉間胸膜・小葉間隔壁・気管支血管束の上に粒が乗る | サルコイドーシス、癌性リンパ管症 |
| 小葉中心性 | 胸膜から数mm離れて並び、胸膜面には接しない。分岐状(tree-in-bud)を伴うことがある | 細気管支炎、経気道性の感染、過敏性肺炎 |
| ランダム | 胸膜面にも小葉内にも無秩序に散らばる | 粟粒結核、血行性転移 |
まず胸膜面(特に葉間胸膜)に粒が乗っているかを見て、乗っていれば「リンパ路性かランダム」、乗っていなければ「小葉中心性」と考えると早く絞り込めます。
落とし穴
- びまん性のすりガラス影は肺胞を埋める病態と間質の病態のどちらでも起こり、所見だけでは区別できないことが多い。経過・臨床情報と合わせて判断します。
- 呼気不良や重力側の荷重部の濃度上昇を、びまん性すりガラス影と取り違えないよう注意します(必要に応じて腹臥位撮影)。
参考文献
- Hansell DM, Bankier AA, MacMahon H, et al. Fleischner Society: glossary of terms for thoracic imaging. Radiology. 2008;246(3):697-722. PubMed
- Raoof S, Amchentsev A, Vlahos I, et al. Pictorial essay: multinodular disease: a high-resolution CT scan diagnostic algorithm. Chest. 2006;129(3):805-815. PubMed
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びまん性という用語の定義を書いていただき、ありがとうございます。
定義を書かれた文章はほとんど見たことがありません。
小生は、多数の各々独立した病変があり、一定の分布傾向を呈するものをびまん性疾患と考えています。