
先に結論:腎の凍結療法後は「造影されない凍結域が少しずつ縮む」のが順調な経過。数か月は薄い輪状の造影が残ることがあり、結節状・三日月状の造影や増大が再発を疑う所見
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 順調な経過 | 凍結域は造影されず、時間とともに縮む。CTで1年に直径が平均38%縮んだ報告(Beemster 2008) |
| 紛らわしい所見 | 治療後の数か月、凍結域のふちに薄い輪状の造影が残ることがある(Wile 2007)。20%にみられ6か月以内に消えた(Beemster 2008) |
| 再発を疑う所見 | ふちの結節状・三日月状の造影、その拡大、凍結域の増大(Wile 2007、Allen 2010) |
| MRIのコツ | 凍結域はT1で高信号になりやすいので差分画像で造影を見る。T2の低信号の縁が途切れる所は再発を疑う(Lee 2016) |
腎腫瘍の凍結療法と画像の役割
凍結療法(cryoablation)は、腫瘍に刺した針の先で組織を凍らせて壊す治療です。腎臓では小さな腎腫瘍に、経皮的(CT・MRI・超音波で見ながら)や腹腔鏡で行われます。手術と違って腫瘍は体の中に残るため、治ったかどうかは画像でしか判断できません。経皮的凍結療法の総説では、CT・MRIで凍結域全体と治療の余白を評価でき、治療後は決まった間隔で多時相のCTかMRIを行うとされています(Allen 2010)。
画像を読む人が知っておきたいのは、治療が順調なときの見え方と、再発・取り残しの見え方です。用語については、画像誘導下の腫瘍アブレーションの用語と報告の仕方を国際的にそろえた合意文書(2014年改訂版)があり、画像所見の用語や経過観察の報告方法の枠組みが示されています(Ahmed 2014)。
腎腫瘍の診断の進め方は「腎腫瘍の画像診断の進め方|腎細胞癌・オンコサイトーマ・血管筋脂肪腫の鑑別とダイナミックCT」にまとめています。
CTの経過:造影されない凍結域が縮んでいく
凍結した腫瘍はCTで低吸収域になり、造影剤を使って造影されないことを確かめるのが評価の中心です。治療がうまくいった腫瘍は造影されない腫瘤として見え、時間とともに小さくなることが多く、残存・再発腫瘍は異常な造影の巣として見つかります(Kawamoto 2007)。
4cm以下の腎腫瘤47人に腹腔鏡下の凍結療法を行い、CTで経過を追った報告では、6か月以上の経過がそろった26人のうち1人は最初のCTで残存腫瘍がありました。残る25の凍結域では、20%に治療後のふちの造影(rim enhancement)があり、1つには巣状の造影も伴いましたが、6か月以内に消えました。すべての凍結域で、腎周囲の脂肪に造影されない浸潤影がみられました。凍結域の直径は12か月で平均38%縮み、これらの所見は病理診断(良性か悪性か)と関係しませんでした(Beemster 2008)。
| 時期 | CTでよくみられる所見 |
|---|---|
| 治療直後〜数か月 | 造影されない低吸収の凍結域。腎周囲脂肪の造影されない索状影。ふちの薄い輪状の造影(一部) |
| 6か月ごろまで | ふちの輪状の造影が消えていく(Beemster 2008) |
| 1年以降 | 凍結域がさらに縮む(12か月で直径が平均38%縮小、Beemster 2008) |
ラジオ波焼灼との違い
凍結療法とラジオ波焼灼(RFA)を比べた総説では、どちらも治療後は徐々に小さくなるものの、縮み(involution)は凍結療法のほうがはっきりしているとされます。RFAでは腎から突出した腫瘍の焼灼域が「bull’s-eye(標的状)」に見え、生きた腫瘍がなくても腫瘤が残ることが多いと述べられています(Wile 2007)。焼灼後の見え方は肝臓でも似た考え方をします(「肝RFA(ラジオ波焼灼療法)後のCT・MRI画像所見と合併症」)。
MRIの経過:信号の変化が時期で変わる
生検で腎細胞癌と確かめた26人を経皮的凍結療法後にMRIで追った報告では、凍結域の見え方に典型的な時間変化がありました(Lee 2016)。
| 撮像 | 時間とともにどう変わるか(Lee 2016) |
|---|---|
| T1強調像 | 1〜9か月は高信号が主体(3か月で47.1%が強い高信号)、その後は等信号に戻る |
| T2強調像 | 最初の3か月は様々。6か月以降は強い低信号(6か月で58.3%が強い低信号)。凍結域を囲むT2低信号の縁は1か月目から全例でみられた |
| 拡散強調像 | 最初の3か月は拡散制限が目立つ |
| 造影 | 造影効果は6か月まで残ることがあった。この残る造影はダイナミックで徐々に強まり、遅延相で最も目立った |
| 大きさ | 24時間〜1か月はわずかに大きく見えることがある(多くは10%未満)。平均で3か月−22%、6か月−48%、12か月−53%、36か月−73% |
T1強調像で凍結域が高信号になるため、造影前後を見比べるだけでは造影効果がわかりにくくなります。この報告では差分画像(subtraction)を加えて、高信号の背景と造影効果を分けて評価していました(Lee 2016)。CTでも同じで、凍結域に出血などで高吸収の部分があると造影のように見えるため、造影前の画像と比べて評価します。
症例 70歳代男性 腎細胞癌の凍結療法後の典型的な経過(MRI)

引用:Lee HJ, et al. Evolutionary magnetic resonance appearance of renal cell carcinoma after percutaneous cryoablation. Br J Radiol 2016;89(1065):20160151 (Figure 3). CC BY-NC 4.0。PMC5124922
左腎の腎細胞癌を凍結療法した症例です。経過のMRIで、凍結域は3か月と9か月にT1高信号、3か月にT2高信号、9か月以降にT2低信号を示し、9か月までは強い拡散制限がありました。ダイナミック造影では凍結域は造影されず、差分画像で高信号の背景と造影効果を見分けられるとされています(Lee 2016)。
再発・取り残しの見分け方
再発や取り残しの典型は、凍結域のふちに出る結節状・三日月状の造影です。一方で、凍結療法のあと数か月は、ふちの薄い輪状の造影が残ることが多いと述べられています(Wile 2007)。総説では、治療した腫瘍は時間とともに縮むのが通常で、大きくなる、内部や結節状に造影されるものは再発・進行を疑うとされています(Allen 2010)。
MRIの報告では、経過中に4人で再発がみられました。再発腫瘍はT1で高信号の凍結域の中やふちに、等〜低信号の欠損として見えました。T2ではふちの低信号の縁が途切れる所が再発の確かな手がかりになり、造影では動脈相で染まって遅延相で抜ける(washout)三日月状・結節状の造影として見え、その後の検査で造影域が少しずつ広がることで再発と確かめられました(Lee 2016)。
| 所見 | 治療後の反応(経過をみる) | 再発・取り残しを疑う |
|---|---|---|
| 造影の形 | ふちに沿った薄く均一な輪状 | 結節状・三日月状、厚く不整 |
| 造影の時間変化(ダイナミック) | 徐々に強まり遅延相で目立つ(Lee 2016) | 早期に染まり遅延相で抜ける(Lee 2016) |
| 経過 | 6か月ごろまでに消える(Beemster 2008) | 次の検査で広がる |
| 大きさ | 縮んでいく | 大きくなる |
| T2の縁 | 低信号の縁が途切れない | 低信号の縁が途切れる(Lee 2016) |
症例 60歳代男性 凍結療法後の局所再発(MRI)

引用:Lee HJ, et al. Evolutionary magnetic resonance appearance of renal cell carcinoma after percutaneous cryoablation. Br J Radiol 2016;89(1065):20160151 (Figure 4). CC BY-NC 4.0。PMC5124922
右腎の腎細胞癌を凍結療法した症例です。3か月と6か月の検査で凍結域の内上側に大きくなる結節があり、T1高信号・T2低信号の背景の中の欠損として見えます(細い矢印)。造影では皮髄相で染まり腎実質相で抜け、取り残しによる再発と判断されて再度の凍結療法が行われました。9か月では、最初の凍結域は縮んでT1等信号になり、新しく凍結した部分がT1高信号になっています(曲がった矢印)(Lee 2016)。
再発の頻度
生検で腎細胞癌と確かめた単発の腫瘍116人に経皮的凍結療法を行った報告では、技術的成功は116中115(99%)で、治療から3か月を超えてCTかMRIで追えた88人のうち局所再発は1人(1%)でした。この再発は治療から11か月後のCTで見つかっています(Schmit 2012)。頻度は高くありませんが、決まった間隔で画像を追うことが前提になっています。
合併症で見ておきたいこと
総説では、腎の焼灼療法の合併症は多くが軽いものの、出血、尿管狭窄、尿漏、結腸の穿孔や結腸腎瘻、気胸がありうるとされています(Wile 2007)。経皮的凍結療法の総説でも、刺入部の痛み、血腫、治療の取り残しと再発が挙げられています(Allen 2010)。経過観察のCT・MRIでは、凍結域だけでなく、腎周囲の血腫、尿管(水腎症)、隣り合う腸管も見ておきます。
腎機能が落ちている人では造影剤の使い方に配慮が必要です。考え方は「造影CTは腎機能が悪いとダメ?eGFR・クレアチニンの基準と造影剤起因急性腎障害」にまとめています。検査をどうするかは主治医と相談してください。
よくある疑問(Q&A)
Q. 凍結療法後に凍結域が消えないのは失敗ですか?
A. 失敗とは限りません。凍結域は時間をかけて縮むもので、CTでは12か月で平均38%(Beemster 2008)、MRIでは36か月で平均73%の縮小でした(Lee 2016)。大事なのは造影されないことと、大きくならないことです。
Q. 治療直後に凍結域が元の腫瘍より大きく見えるのはなぜですか?
A. 凍結域は腫瘍のまわりの腎実質も含めて凍らせるため、腫瘍より大きくなります。MRIの報告でも、24時間〜1か月はわずかに大きく見える人がいました(多くは10%未満、Lee 2016)。
Q. ふちが輪状に染まっていたら再発ですか?
A. 治療後数か月の薄い輪状の造影はよくみられ(Wile 2007)、CTの報告では20%にみられて6か月以内に消えました(Beemster 2008)。結節状・三日月状、厚い、広がっていく造影は再発を疑います。
Q. 良性腫瘍でも同じ経過になりますか?
A. CTの報告では、ふちの造影や縮小の程度は病理診断と関係しませんでした(Beemster 2008)。
治療後の検査の予定や、腰の痛み・血尿などの症状が気になるときは、治療を受けた医療機関に相談してください。
参考文献
- Beemster P, Phoa S, Wijkstra H, et al. Follow-up of renal masses after cryosurgery using computed tomography; enhancement patterns and cryolesion size. BJU Int. 2008;101(10):1237-42. PubMed
- Lee HJ, Chung HJ, Wang HK, et al. Evolutionary magnetic resonance appearance of renal cell carcinoma after percutaneous cryoablation. Br J Radiol. 2016;89(1065):20160151. PubMed
- Kawamoto S, Permpongkosol S, Bluemke DA, et al. Sequential changes after radiofrequency ablation and cryoablation of renal neoplasms: role of CT and MR imaging. Radiographics. 2007;27(2):343-55. PubMed
- Wile GE, Leyendecker JR, Krehbiel KA, et al. CT and MR imaging after imaging-guided thermal ablation of renal neoplasms. Radiographics. 2007;27(2):325-39; discussion 339-40. PubMed
- Allen BC, Remer EM. Percutaneous cryoablation of renal tumors: patient selection, technique, and postprocedural imaging. Radiographics. 2010;30(4):887-900. PubMed
- Schmit GD, Thompson RH, Kurup AN, et al. Percutaneous cryoablation of solitary sporadic renal cell carcinomas. BJU Int. 2012;110(11 Pt B):E526-31. PubMed
- Ahmed M, Solbiati L, Brace CL, et al. Image-guided tumor ablation: standardization of terminology and reporting criteria–a 10-year update. Radiology. 2014;273(1):241-60. PubMed
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