
先に結論:形質細胞様尿路上皮癌は、膀胱壁のびまん性肥厚(linitis plastica様)、膀胱外への進展、筋膜に沿った骨盤腹膜への進展が目立つ。再発は腹膜に多く、腫瘤がはっきりしない膀胱壁肥厚でも考える
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| どんな腫瘍か | 形質細胞に似た腫瘍細胞からなる浸潤性尿路上皮癌の亜型。CDH1変異をもつ(Sood 2019) |
| MRIの形 | びまん性が68.3%、5cm超が73.2%、VI-RADS 4〜5が87.8%(Woo 2022) |
| 広がり方 | 膀胱外進展75.6%、骨盤腹膜への進展61.0%(Woo 2022)。筋膜に沿って厚いシート状に広がる(Chung 2017) |
| 再発 | 再発部位は腹膜が最多(23人中19人)(Dayyani 2013) |
| 予後に関わる所見 | 5cm超、びまん性、膀胱外進展、骨盤腹膜への進展、水腎症(Woo 2022) |
形質細胞様尿路上皮癌とは
形質細胞様尿路上皮癌(plasmacytoid urothelial carcinoma、PUC)は、浸潤性尿路上皮癌の組織亜型(variant、subtype)の1つです。腫瘍細胞が形質細胞にとてもよく似ており、免疫染色でも形質細胞と重なる性質があります。遺伝子ではCDH1(E-カドヘリンをつくる遺伝子)の変異をもつのが特徴です(Sood 2019)。
E-カドヘリンは細胞どうしをつなぐ分子で、これが失われた腫瘍細胞はばらばらに組織の中へしみ込んでいきます。PUCは膀胱をlinitis plastica様にしみ込むように広がり、筋膜面に沿って、さらに腹膜へと進展することがあります(Sood 2019)。胃のスキルス癌(びまん浸潤型の胃癌)に似た広がり方と考えると、画像のイメージがつかみやすくなります。
臨床的な特徴
通常の尿路上皮癌に比べて、診断時に病期が進んでいることが多く、手術の断端陽性や診断時の転移も多く、予後が不良です。経尿道的切除(TUR)で粘膜固有層浸潤(pT1)とされたものが、膀胱全摘でより進んだ病期になることも多く、早めの膀胱全摘を考える意見もあります(Sood 2019)。
| 報告 | 対象 | 主な結果 |
|---|---|---|
| Woo 2022 | 治療前MRIのある41人(男性32人)、年齢中央値70歳 | 筋層浸潤73.2%。びまん性・5cm超・膀胱外進展・骨盤腹膜進展・水腎症が生存に関連 |
| Chung 2017 | 22人、年齢中央値74歳、女性3人 | 病理で筋層浸潤86%。初回の画像で遠隔転移2人、骨盤腹膜進展4/20人。経過中16人に再発・残存 |
| Ricardo-Gonzalez 2012 | 膀胱全摘の15人 | リンパ節転移40%、腹腔内転移33% |
| Dayyani 2013 | 31人、年齢中央値63.5歳 | 全生存期間の中央値17.7か月。再発23人中19人が腹膜 |
CT・MRIの所見
膀胱壁のびまん性肥厚
PUCのMRIを調べた41人の検討では、多くがびまん性(28人、68.3%)で、5cmを超えるもの(30人、73.2%)、VI-RADS 4〜5(36人、87.8%)が大半でした(Woo 2022)。マルチパラメトリックMRIを調べた13人の検討では、びまん性の壁肥厚が6人(46.2%)、限局性の壁肥厚が5人(38.5%)で、びまん性の肥厚はしばしばlinitis plastica様の見た目でした(Han 2025)。
通常の尿路上皮癌のような、内腔に突き出る乳頭状の腫瘤がはっきりしないことがあるため、「腫瘤がない膀胱壁肥厚」を膀胱炎や膀胱の収縮不良と片づけないことが大切です。びまん性の膀胱壁肥厚の鑑別はびまん性膀胱壁肥厚の記事、通常の膀胱癌のCT・MRIは膀胱癌の画像診断の記事で説明しています。
拡散強調像と造影
13人の検討では、高いb値の拡散強調像で軽い高信号または等信号にとどまるものが、読影者によって8人(61.5%)と7人(53.8%)ありました。ADC値の平均は1.1×10−3 mm2/sでした(Han 2025)。ダイナミック造影では10人(76.9%)が徐々に強くなり長く続く増強を示し、こうした腫瘍には粘液様の間質と線維組織が含まれていました(Han 2025)。VI-RADS 4以上は11人(84.6%)でした(Han 2025)。
通常の尿路上皮癌のように拡散強調像で強い高信号にならないことがある点は、見落としにつながりうる特徴です。VI-RADSの考え方はVI-RADSの記事にまとめています。
症例 50歳代男性 形質細胞様尿路上皮癌

引用:Han YE, et al. Multiparametric MRI Features of Plasmacytoid Urothelial Carcinoma of the Urinary Bladder. Korean J Radiol 2025;26(9):832-840 (Fig. 1). CC BY-NC 4.0。PMC12394820
尿意切迫で受診した人です。T2強調横断像(A)で膀胱全体に不整なびまん性の壁肥厚があり(矢印)、低信号の筋層が途切れ、膀胱周囲に浸潤しています(VI-RADS 5)。遅延相の造影(B)では厚い膀胱壁が均一に増強され、b値1000の拡散強調像(C)では軽い高信号、ADC値(D)は0.99×10−3 mm2/sです。切除標本(E)では、膀胱のほぼ全体にlinitis plastica様にしみ込む腫瘍が見られました(Han 2025)。
骨盤腹膜・腹膜への広がり
筋膜に沿ったシート状の進展
Chung(2017)は、5mmを超える厚さの軟部組織が筋膜面に沿って広がるものを骨盤腹膜進展(pelvic peritoneal spread)と定義し、初回の画像で20人中4人(20%)に見られました。著者らは、筋膜面に沿って厚いシート状に広がる所見が、局所進行したPUCに特徴的な所見かもしれないと述べています(Chung 2017)。41人のMRIの検討では、骨盤腹膜進展は25人(61.0%)、膀胱外進展は31人(75.6%)に見られました(Woo 2022)。
膀胱全摘の検討では、腹腔内転移の最初の部位として直腸前の腔、卵巣と腟、卵巣と卵管、腸管の漿膜、大網と腸管の漿膜が挙げられ、その後の転移として胸水や小腸の漿膜も報告されています(Ricardo-Gonzalez 2012)。著者らは、連続しない腹腔内の広がりで漿膜面に病変ができることを、手術中の病期診断と経過観察で意識すべきだとしています。
尿管に沿った広がり
膀胱全摘510人の検討では、尿管断端の陽性率が組織亜型のない癌で3.7%、微小乳頭型で17.9%、形質細胞様で32.0%(25人中8人)でした。形質細胞様の8人のうち5人では、上皮内癌ではなく、尿管の漿膜下と外膜に沿って逆行性に縦に広がる浸潤が見られました(Kaimakliotis 2014)。CT・MRIでは、尿管周囲の軟部影や水腎症に注意します。水腎症の見方は水腎症・尿閉のCTの記事で説明しています。
腹膜への再発
31人の検討では、再発部位は腹膜が最多(23人中19人)で、手術の標本で腫瘍が見つからなかった人(pCR)にも再発がありました(Dayyani 2013)。術前化学療法で80%に病期の低下が見られたものの再発は多く、長期生存は少数でした(Dayyani 2013)。経過観察のCTでは、腹水、腹膜の結節や肥厚、腸管漿膜の病変に注意します。腹膜播種のCT所見は腹膜播種の記事にまとめています。
予後に関わる画像所見
41人の検討で生存と関連した画像所見は次のとおりです(Woo 2022)。
| 所見 | ハザード比(95%信頼区間) |
|---|---|
| 5cmを超える腫瘍 | 5.0(1.6〜15.5) |
| びまん性の広がり | 4.0(1.4〜11.2) |
| 膀胱外進展 | 4.5(1.5〜13.6) |
| 骨盤腹膜進展 | 3.0(1.2〜7.4) |
| 水腎症 | 13.7(3.1〜60.9) |
病理の病期(pT3以上)と断端陽性も生存に関連していました(Woo 2022)。レポートには、膀胱壁肥厚の範囲、膀胱外進展、骨盤腹膜進展、水腎症の有無をそろえて書くと、治療方針の相談に役立ちます。
読影のポイント
- 腫瘤のはっきりしない膀胱壁のびまん性肥厚では、PUCを鑑別に入れる(Han 2025、Woo 2022)
- 拡散強調像の信号が強くなくても、進行した癌を否定しない(Han 2025)
- 膀胱周囲、直腸前、筋膜に沿った厚い軟部影(骨盤腹膜進展)を探す(Chung 2017)
- 尿管周囲の軟部影と水腎症を確認する(Kaimakliotis 2014、Woo 2022)
- 経過観察では腹膜・漿膜への再発に注意する(Dayyani 2013)
治療は膀胱全摘や化学療法などを組み合わせて検討され、方針は主治医と相談します。血尿や排尿の異常が続くときは、早めに医療機関を受診しましょう。
よくある疑問(Q&A)
Q. 画像だけで形質細胞様の亜型だと分かりますか?
A. 分かりません。22人の検討では原発巣の画像所見はPUCに特有ではありませんでした(Chung 2017)。びまん性の壁肥厚や骨盤腹膜進展は手がかりになりますが、診断は病理で決まります。
Q. 拡散強調像で目立たなければ、癌の可能性は低いですか?
A. PUCでは高いb値で軽い高信号か等信号にとどまる例が半数以上ありました(Han 2025)。信号の強さだけで判断しません。
Q. 腹膜への広がりは膀胱から続いているのですか?
A. 筋膜に沿って連続して広がる形(Chung 2017)のほか、連続しない腹腔内の漿膜面への広がりも報告されています(Ricardo-Gonzalez 2012)。
Q. 化学療法は効きますか?
A. 31人の検討では、術前化学療法で80%に病期の低下が見られましたが、再発が多く、長期生存は少数でした(Dayyani 2013)。治療は主治医と相談します。
参考文献
- Woo S, Ghafoor S, Das JP, et al. Plasmacytoid urothelial carcinoma of the bladder: MRI features and their association with survival. Urol Oncol. 2022;40(3):108.e1-108.e10. PubMed
- Han YE, Sung DJ, Cho HY, et al. Multiparametric MRI Features of Plasmacytoid Urothelial Carcinoma of the Urinary Bladder. Korean J Radiol. 2025;26(9):832-840. PubMed
- Chung AD, Schieda N, Flood TA, et al. Plasmacytoid urothelial carcinoma (PUC): Imaging features with histopathological correlation. Can Urol Assoc J. 2017;11(1-2):E50-E57. PubMed
- Ricardo-Gonzalez RR, Nguyen M, Gokden N, et al. Plasmacytoid carcinoma of the bladder: a urothelial carcinoma variant with a predilection for intraperitoneal spread. J Urol. 2012;187(3):852-5. PubMed
- Dayyani F, Czerniak BA, Sircar K, et al. Plasmacytoid urothelial carcinoma, a chemosensitive cancer with poor prognosis, and peritoneal carcinomatosis. J Urol. 2013;189(5):1656-61. PubMed
- Kaimakliotis HZ, Monn MF, Cheng L, et al. Plasmacytoid bladder cancer: variant histology with aggressive behavior and a new mode of invasion along fascial planes. Urology. 2014;83(5):1112-6. PubMed
- Sood S, Paner GP. Plasmacytoid Urothelial Carcinoma: An Unusual Variant That Warrants Aggressive Management and Critical Distinction on Transurethral Resections. Arch Pathol Lab Med. 2019;143(12):1562-1567. PubMed
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