脾炎症性偽腫瘍(splenic inflammatory pseudotumor)
・様々な臓器に発生(肝、脾、消化管、腸間膜、膀胱、リンパ節、気道、肺、髄膜、 軟部組織、眼窩など)
・無症状、偶然発見例も多い。
・腹痛、発熱、白血球増多、貧血、脾腫などを認めることあり。
・原因は不明であるが、ウイルス感染(EBVなど)や循環不全、限局性の壊死、出血、特殊な細胞性免疫、脾静脈血栓などが考えられている。
・悪性腫瘍を含めた他の腫瘍との鑑別が難しい。特異的な画像所見がなく、脾臓摘出が診断的治療として推奨されている。
・病理:
・線維芽細胞あるいは筋線維芽細胞を含む間質に、形質細胞、リンパ球、組織球といった炎症細胞が浸潤したもの。
・膠原線維バンドを伴うことあり。小さな壊死部を伴うこともあり 。
画像所見
・線維性間質の性状の違いなどに起因して、様々な画像所見を呈しうる。
▶MRI所見:T1WIで等信号〜わずかに高信号、T2WIで低信号〜高信号。
▶造影CT/MRI所見:
・軽度から中等度の濃染あるいは不均一に濃染。
※造影CTで線維化プラークに一致する中心satellite areaが存在すれば、本疾患が示唆されるとの報告あり。
・遷延性、遅延性濃染を示すことが多い。
参考)肝胆膵の画像診断 P504-505