胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm of the bile duct:IPNB)
- 膵管内乳頭状粘液性腫瘍lPMNの胆管カウンターパートとして近年提唱された疾患概念。
- 胆管癌取扱い規約に記載されている乳頭型胆管癌、胆管乳頭腫症、原発性肝癌取扱い規約で記載されている胆管内発育型肝内胆管癌の一部、胆管嚢胞腺腫/腺癌の一部をIPNBに含むことができる。
- 粘液過剰産生型(胆管拡張型、嚢胞型)と非粘液過剰産生型に分けられる。
- 胆管との交通性はあることが多い。(付属腺由来のものは交通なし。)
- 粘液産生胆管腫瘍の場合、乳頭状増殖を示す腫瘍が肝門部に近い胆管に認められ、胆管全体が拡張する特異的な画像所見を呈することが多い。
- また、胆管末梢に発生した場合は、分枝型IPMN に似たふどうの房状の形態を呈することが多い
- 予後は通常の胆管癌より良好。
IPN-BとMCNの鑑別のポイント
- 現在、膵のIPMN と膵のMCN は卵巣様間質(ovarian type stroma:OS)の有無で鑑別されるようになった。
- 胆管のMCN も病理学的にはOS が鑑別の手がかりとなる可能性があるが、症例数が少なく、いまだに明確な定義はない。
- IPNBと鑑別の必要なMCNは閉鎖嚢胞であり、胆管との交通がないため閉塞機転ともなりえず、胆管拡張をきたしにくい
- MCNが胆管を直接圧排した場合胆管拡張をきたす場合もあるが、その際は下流胆管の拡張はきたしにくい
- IPMBは胆管の粘膜表面を広く進展している可能性があり、切除範囲を広くする必要がある
- 粘膜内に留まる低悪性度のことが多く、手術によって長期予後が期待できる
- IPN-Bは悪性腫瘍の頻度が高く、主膵管型のIPMNの類縁疾患とするのが妥当とする報告がある
- 本疾患の外科切除後の予後は通常型胆管癌に比して良好なことから、積極的な外科的切除が望ましいと考えられる
- IPNBは前癌病変としてのpotentialを持つと知られている。
- 膵のIPMNの主膵管型と分枝型の癌の有病率には有意差があるが(57% to 92% and 6% to 46%) IPNBでは報告がない。
良悪性の評価
- 悪性の場合、増強効果を示す壁在結節を認める
- PETでの壁在結節のFDG取り込みは悪性を示すかもしれない
膵IPMNにそっくりですね。そのまま胆管版と考えましょう。
付属腺由来の嚢胞型も存在し、この場合は分枝型の膵IPMNに相当します。以前はBiliary cyst adenomaと診断されていたものです。